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不穏な歓迎会~其の2

またもや、セツナの妻は王族だった。


「そんな! ランが、ランが女王様の末娘だったなんて。」

「リン、言い過ぎー。」

「ごめんね。」

「それでだ。ランはセツナと『番』になったのだろう?」

「そうだよー。」

「そうだった。ランはもう冒険者ランでは無くてクロツバキを治める王族の1人だ。」

「セツナよ。その先は言わんでも判る。だから、謝罪等はいらん。ただ、これからも、ランを大事にしてくれれば良い。後、セツナとランの番を認める。」

「女王様……」

「当然。私の事を『お義母さん』と言って良いぞ。」

「いえ、私的な場では『ヒルドさん』と呼びます。」

「ちっ。先を読まれたか。まあそれで良いわ。」


 俺は何とか、ヒルドさんの思考を読み、「ヒルドお義母さん」だとかの恥ずかしい呼びを回避出来た。


「セツナよ。それだけの美少女を侍らせて……」

「そこは『連れて』です。」

「……連れているんだ。それ相応に強いだろうな?」

「俺としては、それ相応の武力を持っている自負は有る。」

「なら、一応ランの番としての強さを見せて貰う(つい)でに、ある『化け物』を倒して欲しい。」

「分かった。その『化け物』は何処に居るんだ?」

「地下闘技場だ。」


 俺達はヒルドさんとマヤさんに案内され、地下闘技場とやらに向かっている。


「ヒルドさん、何故にマヤさんも同行しているんですか?」

「ああ。マヤは色々とそれらしい言い訳をしているが、実際は責任有る立場になると面倒くさいのが分かっているから、普段は実力を隠しているが、実際はクロツバキで最強の魔法使いなんだ。」

「……ああ。」

「そうなんですよ。筆頭宮廷魔導師とかになると、偉い立場では有るけど、(しからみ)に縛られていて窮屈そうで嫌なので、実力を隠していますが、私の魔法使いとしての実力は其なりだと自信が有ります。」

「それは凄いね。つまり、マヤさんを必要になる可能性を持つ化け物が居ると?」

「そうだ。基本的には、クロツバキの者は『物理』であれ、『魔法』であれ、防御系が得意でな。マヤは例外的に『魔法』の攻撃が得意なので、こういう場面では特に重宝している。」


 等と話していると、地下闘技場に到着した。

 闘技場を見下ろすと、中央に拘束されている女性が居る。


「アレは、私を殺して私に成り代わろうした吸血姫だ。」

「え!?」

「一時期はかなり危なかったが、宰相の機転のお陰で吸血姫を捕らえる事が出来た。しかし、倒せる程の力を持つ者が居ない。あの化け物を倒せるなら、ランの番として認めよう。」

「分かった。」


 俺達やヒルドさんやマヤさんは、闘技場に降りて吸血姫の前に立つ。


「誰ですの?」

「俺はお前を滅ぼす者だ。」

「とうとうこの日が来たんですの。覚悟は出来ていますの。わたくしを殺しなさいの。」


 俺は違和感を覚え、吸血姫に質問した。


「お前は何をしたんだ?」

「上の命令でクロツバキの中枢部に入り込むように言われましたの。」

「その『上』は誰?」

「分かってて聞いているでしょう? 拷問に掛けられても言えないですの。」

「では、何をしようとした?」

「夜は、血を頂きながら洗脳を。昼間は影に潜り込んでいたんですの。頭や心に負担が重なると血が不味くなるから、たまに頭や心の中を洗脳を使って解放していましたの。」

「それで、最近の女王様は変だったのね。」

「マヤ、そんなに変だった?」

「はい。女王様。」

「ヒルドさん。王都だけではなく近辺の町には奇行が噂されていますよ。」

「セツナよ。本当?」

「……はい。」

「セツナよ。必ずその化け物を倒して!」

「なあ、何で暴力等で支配しようとしない?」

「『上』からの命令で、『友好的』と言われておりますの。それに、暴力的な方法ですると家族が悲しむと思いますの。」

「お前は、上やこの闘技場から解放されて自由になれたら、何をしたい?」

「詩集や物語を読んだり、草花を育てたりしたいですし、刺繍をしたいですの。」

「くっ! 私より女子力が高い。」


 何か、ヒルドさんが多大な精神的ダメージを受けていた。

 後、この吸血姫は無害とまでは言えないが、それ程は問題無いような気がする。

 俺がそんな事を考えていると、全員にとっての死角から声が聞こえた。


「やっと見つけましたよ。数日間、姿が見えないので殺られたと思っていた所ですよ。……なる程。魔封じの枷で囚われていた訳ですか。」

「お前は!?」

「お久しぶりです。あの時はゴミ掃除の後片付けをして下さりまして助かりました。」

「何故、此処に現れた?」

「私の仕事はゴミ掃除ですから。」

「待って下さいですの。まだ、捕まって数日間しか経っていないですの!」

「いえいえ。捕まった時点で用無しですね。『あの御方』からも命令を賜りましたから。『ゴミを片付けろ。』とね。」

「……そんなですの。」


 俺はこの2人の会話を聞いて、突然現れたコイツもその上に居るで有ろう『あの御方』も危険と判断した。

 俺は吸血姫の魔封じの枷を斬り壊した。


「ヒルドさん、マヤさん、ラン、セレン、ミヤは吸血姫を守ってくれ。残りはコイツを倒すぞ!」

「はい。」×8

「おやおや。業務外の仕事はしたくないのですが、降りかかる火の粉は払わなければなりませんね。」


雷乃弾丸(ライトニングバレット)!」

凍獄葬儀(ブリザードコフィン)!」

雷乃矢(ライトニングアロー)!」

魔棘乃拘束(ソーンプリズン)!」

光乃牢獄(ライトプリズン)!」

「光の希望。闇の安息。紡がれし調和の中で立ち上がる力を。再生乃祝福(ブレスオブリバース)!」


 シャオの魔法で強化された瞬間、俺とリーナとレイカが前に出た。

 奴は俺達の攻撃を時には避け、時には防ぎながら楽しそうに話し始めた。


「では、改めて自己紹介を致しましょう。無駄に終わると思いますが、名も知らないまま死ぬのは(いささ)かではありますが、憐れと思いますので。私の名は『スベジャ』と申します。所属は魔王様に従う5人の最上位魔族の1人『魔竜将バラー』様の副官です。以後お見知り置きを。そして、さようなら。」


 奴……いや、スベジャから魔力の波を受け、俺達は吹き飛ばされた。


「グッ!」

「キャア!」

「ナッ!」


「それでは、此方も反撃に移りますかな?」

「シャオ!」

「分かっておるのじゃ。」

「おや? 何をされるのですかな?」

「こうするのじゃ。『龍紋破軍(ドラグヴェータ)』!!」


 俺はシャオの「龍紋破軍(ドラグヴェータ)」で、俺本来の力を解放した。

 しかし、おかしい。龍王様との鍛練では制御出来なかった龍力を制御出来ている。しかも、あの時とは比べる事すら出来ない力が溢れている。

 これならいける!


「何ですかその力は!?」

「言う必要は無い!」

「この化け物があぁ!!」





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