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聞き間違いかしら。
今ルカがさりげなく…いえ、きっぱりと自分も行くってぼざいてませんでした?
「…ルカ?あのね私、別に遊びに行くわけではないのですわよお父様の虫除けになるためもありますけど、ここのもの達にもう迷惑かけたくないから王都にいくのです」
そういうとルカロアは綺麗に笑って返事をした。
「はい」
はい…じゃーなーいーのっ。もうっ。
なんなのかしら。伝わってない?
私はルカ。あなたのことが本当に好きなのよ。だから離れる決意したのよお姉様は!
「ルカ!あなたはここに居なさいっ」
つい声を張り上げてしまった。けれど、ルカは聞くもんかとプイッと顔を背けた。
〜〜こいつっ。
いつから生意気になったのかしら。「姉様〜」っていつも後ろついてきた私の可愛い弟はどこに行ったの⁉︎
「…姉様は言いたいことだけ言って、勝手に王都にいくって言ったんです。僕達の気持ちなんて関係なくね?だから、僕も勝手にします」
何を無茶苦茶なっ!!
「では、私もメイド長に急ぎ挨拶に行って参ります」
アガサはペコだと頭を下げて、この場から立ち去ろうとする。
待て待て。アガサの動きがあまりにもスムーズすぎて「ええ」って言いそうになったわ…嫌な予感がするわよ?
「待ちなさいっ、アガサ!いったい何の挨拶に行くのかしら?一応聞いておくわね?」
アガサは当然なことを言うようにコテンと首を傾けた。
「お嬢様が王都へ行く。つまり、お嬢様付きの私も王都について行く…挨拶やすませるべきこと早めにしておこうと思っていたのですが?」
あんたもかいっ!
なんかもう、行くことが決定しちゃってるみたいな言い方ねっ。
ふぅ〜…落ち着け、落ち着くのよ私。
「なんでわかってくれないのよ!!」
ルカロアは無言でティアナまで距離を近づくと指輪を付けている右腕を掴見上げる。
「ちょっと⁉︎何するの?」
混乱するティアナを無視して指輪を何とか取ろうとするルカロア。
「いたっ、ちょっと、痛い痛い痛いっ」
「ルカ〜、女の子に。ましてや姉に暴力はいけないよ。あ、ちなみになんだが、指輪を外したいなら指輪についているダイヤルを後に回せば能力解放するよ」
お父様!?
ルカロアはそう聞くが早くダイヤルを5にした。
⁉︎
やだっ…やだやだやだ。
ティアナは目を見開き、両手を耳に当てうずくまる。咄嗟のことでダイヤルを1にすればいいだけのことだけ彼女の頭の中はそれどころではなかった。
『このバカっ!!!』
『お嬢様…私は常に心を聞かれても別に構いません。まぁ、お嬢様への愛情のデカさにお嬢様が引いてしまわれるかは…少し不安に思いますがっ!!エヘヘ』
『私の忠誠心を舐めてもらっては困りますねお嬢様』
途端に響いてくる声。
…。
誰も、誰一人としてきみわるがってない。なによ、これ。
ティアナの耳を塞いでいた両手から力が抜ける。そして、ティアナはゆっくりと目線を上げた。
目に水が溜まり見えづらいが…そこには間違いなく、
僕のことを舐めるなと息巻くルカ。
頬に手を当てて照れているアガサ。
目を閉じて胸に張り口元の笑っているザバス
がいた。
ルカロアはしゃがみ込んでしまったティアナと同じ目線にしゃがみ語りかける…それはもう優しく。
「わかりましたか?姉様は自分に自信がなさすぎです。僕は姉様のことが大好きです。ここにいるアガサもザバスだってそうです。そんな能力があるだけで姉様のこと嫌いになったりなんてぜっっったいありえません」
「では皆で王都へ引っ越そう」
「はい…」
ティアナはポロポロと頬をつたる涙を拭いルカロアの頬をつねる。
「ルカ…あんたさっきバカって言ったでしょっ。もう…姉に向かってなんてこと言ってるの?ふふっ」
「口には出していませんよ?へへっ」