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パリーーーーンッ。
部屋に運ばれた綺麗な料理は1人の少女によって床に投げ捨てられた。
「いやぁぁぁーーー…はぁ…はぁ。うるさいうるさいうるさいっっっ。誰も入ってこないで!出て行ってよぉぉぉ」
ロズファリア伯爵家には2人の子供がいる。
ティアナ・ロズファリアとルカロア・ロズファリアだある。
2人はロズファリア伯爵家を象徴するとても綺麗な緑色の髪をしている。
ティアナの瞳は金色に輝き、母親の美しさを生き写したかのように整っ容姿をしている。
一方、ルカロアは父と同じ赤い瞳をし父親似でからまた美少年である。
2人の母親は早くに亡くなり、父親は仕事柄ほとんど王都の屋敷にいる。
そのため残された2人の兄弟はとても仲良く助け合っていた。
そんなか、長女ティアナは12歳を迎えるとともにおかしくなっていった。
仲の良かった2つ下の弟ルカロアでさえ部屋から遠ざけ、部屋に近づくことさえ許さなかった。
おかしな事に部屋の前で声をかける前に、まるでドアの外にいるのを知っていたかのように扉に何かを投げつけ「私の部屋の近くには誰もこないでって言ってるでしょ!」と叫ぶのであった。
誰も近付いてないにしろ、彼女は度々悲鳴をあげる。
まるで近くに誰かがいるかのように。
最初は心配していたメイド達もティアナ様はおかしな物が見えているのではと噂し始めた。
ルカロアは父に相談することも出来ず、嫌がられるのを分かっていても、毎日姉の部屋のドア前に行って話しかける。
「姉様…」
しーーーーん。
いつもなら既にもう、ドアに何かものをぶつける大きな音がするのに今日は静かだ。
おかしい。
そう思いルカロアはドアノブに手をやるとカギがかかっていない、もしくは壊れているようで簡単に入ることができた。
ルカロアは息を呑んだ。
カーテンはビリビリ。
クッションは羽をむしられ、クローゼットや棚が所々潰れている。
まるで盗人に入られたみたいな有様な部屋。
ふと、窓に目をやる。
そこには半年ぶりにみる姉が窓に腰を下ろしている。
伸びきった前髪、頬には自分でかいた際にできたであろうたくさんの爪痕。
そんな所に座るなんて危ないと声をかけようとする前に、変わり果てたティアナは口を開ける。
「ふふふっ。…ルカァ。ごめん…なさい」
彼女はそのまま後ろに体を倒す。
「ね、姉様ぁぁぁぁぁーーーー!」
ドサッ。
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