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優しい世界
ナタリーは私の言葉が信じられないものだったのだろう。
口をパクパクさせて私を見る。
「え……、それは……」
私の友人たちとはいうと絶句という表情をしていた。
当たり前だろう。
公爵家の令嬢が格下の者に『お友達』になろうだなんて。
学園内では平等と表側では決まっているが、きちんとスクールカーストは存在しているのだ。
ナタリーは目を白黒させながら、それでも伯爵令嬢として正しく振るまおうとした。
「こ、光栄ですわ」
緊張でこわばった顔と涙目がなんとも愛くるしいのに気づいた時、友人の一人が口を挟んできた。
「えっと……、ナタリーさん?よろしくね」
それを皮切りに口々にナタリーに声をかける友人たち。
どうやら彼女らは誰も寄せ付けない雰囲気のナタリーに不満こそあったが、私が誘ったことで”仲間”と認識したのだろう。
そもそも人にあからさまに敵意を向ける人間をそばに置くつもりはない。
ナタリーは私に声をかけられた時よりも緊張しながら応える。
「よ、よろしくお願いいたします……」
そこで私は本日2回目の悦に入る事になる。
『なんなの、ナタリーもみんなも可愛すぎでしょ』