はじめまして
「セ、セレナ様! 御髪をどうされたのですか?」
学園に入ってからできた友人たちに取り囲まれる。
「あの美しい御髪が……」
「あぁ……でも短い髪のセレナ様も素敵」
「本当ですわ。セレナ様がもし殿方でしたら、私……」
好き勝手に騒ぐ令嬢たちはまぁ多少うるさいと思うけれど、可愛らしくもある。
「ありがとう。嬉しいわ」
一人の令嬢の腰を抱くとその令嬢は顔を真っ赤にしてぴとりと体をよせてくる。
あぁ。本当に女の子って可愛いなぁ。
一人悦に入っていると視界の端に一人の少女を見つけた。
「あの子は……?」
素知らぬ顔をして聞くと令嬢たちは少し顔を曇らせてこう言った。
「あの方はナタリー・ジョーンズ様ですわ」
「今日、転入していらしたんだけど……ねぇ」
「ふぅん……」
私は腰を抱いていた令嬢の肩を掴み、やさしくひき離す。
私は知っている。ナタリーは孤独だった。
親の都合で転入させられ、素直になれない性格から友人はできなかった。
同じように孤独だった第一王子に執着ともとれる恋慕を向けるのだ。
もしこれが違ったら……?
私はナタリーに近づいた。
「はじめまして。私はセレナ・ヘンリー・メア」
「私とお友達になってくださらない?」