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カミングアウトなんて無理
私が記憶を取り戻してから3年後。
10才になる年の春に両親から学園に通うよう伝えられた。
幼いころから家庭教師をつけられ様々な習い事もさせられたが、多分それは私が学園に入学しても恥をかかないための優しさだったのだろう。
私は素直にうなづいた。
公爵家である私には王族との結婚がすでに決まっている。
両親との食事を終えた私はベッドにうずくまりため息をついた。
ゲームの始まりは”私”が16才になってから。
そこで”私は様々な男性と出会い、そのうちの一人と恋に落ちる”のだ。
記憶が戻る前なら問題はなかっただろう。
けれど今はそれは無理なのだとわかる。
だって、私は……。
「恋愛対象は女だなんて、どうすればいいのやら……」