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第七十四話 ジェラード王国への帰還で検証 その一

いつも『派遣デバッガーの異世界検証譚』を読んでいただきありがとうございます!

ついに総合評価1,000pt越えというひとつのハードルを乗り越えることができました!!


ブックマーク登録して追いかけてくださる方や、評価の星をつけて応援してくれる方々には、この場を借りて改めてお礼を申し上げます、本当にありがとうございます!


これからも皆様の期待に応えられるように、ちょっと変なデバッガーの愉快な日常を追っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 秋の中ごろに、突然発生した王位継承戦イベントによって、それまでいたジェラード王国からグラヴィーナ帝国へ移ることとなり、武闘大会や、王子という立場でしか行えない検証など、ここでしか出来ない検証をこなしつつ、普段通りの当たり判定やマップの整合性を確かめる検証などを進め始めていた自分だが……。


 時が経つのは早いもので、あれからそれなりの日数が経過した現在。


 ……季節は冬へと変わっていた。


 こちらに来てからも、大会でばったりフランツ殿と出くわしたり、ボリー殿に検証用の化粧品を注文したりしており、向こうでの知り合いと全く関りが途切れたというわけではないので、自分自身はそれほど長い期間離れている気はしていないが……。


 事前にジェラード王国の知り合いへ伝えておいた「一か月くらい離れる」という予想期間からそれなりにオーバーしているので、実際のところはどうか分からないが、もしかしたらファビオ殿やアーリー殿あたりは何か商品の進捗で話したいことが出てきているかもしれない。


 そしてなにより……。


「グリィ殿は一人でうまくやれているだろうか……」


 自分は城の自室でジェラード王国へ持ち帰る荷物を整理しながら、一番心配な人物、同じ冒険者パーティーの仲間である少女の顔を思い浮かべてそう呟く……。


 出会ってから一緒に冒険者として活動している間にそれなりに成長し、ステータスやスキル的には他の冒険者に劣らないほどになっていたが、初めて行うことは必ず失敗したり、分かりやすい詐欺に簡単に引っかかったりと、自ら進んで危険な検証に飛び込んでいくあの意欲的な姿勢は、頼もしいと同時に少し心配である。


「マップ画面で位置を確認する限り、生きてはいるようだが……ふむ……なぜ王都にいるのだろうか……?」


 自分はマップ画面でグリィ殿の現在位置を確認すると……街をまたいだ冒険者の依頼だろうか、それとも何か全く違う新しい検証だろうか……彼女の位置を示すマーカーは活動拠点の冒険者ギルドがある商業都市アルダートンではなく、そこから村を一つまたいだ距離にあるジェラード王国の王都に存在した。


 まぁ、依頼でも私用でも、自分がジェラード王国の王立学校へ入学試験を受けに王都へ行った際に会うことになるだろうから、そこで訪ねればいいだろう。


 自分はそう考えをまとめると、脳内で並行処理していた帰省のために買っておきたいリストをメモ画面に書き残し、廊下で待機していたコンラート殿を連れて、城下町へと買い物に出かけた。


 ついいつもの癖で、どのルートでどんな動きをすればコンラート殿を撒けるかと頭に思い浮かべてしまうが、今は別にそういった行動が必要になるような検証中ではないし、彼が着いてきて邪魔になるような予定もないので、その思考は頭の隅に追いやっておく……。


「食料はこちらにいた期間はいつも誰かが用意してくれていたものだから消費していないし……買うものは布切れなどの消費が激しい雑貨と、この国でしか手に入らなそうな武器防具類と、知り合いへのお土産くらいか……?」


 いや……防具はゲーム的なスキルが設定されていないのか、何か獲得条件を逃しているのか、いくら使っても盾以外スキルは獲得が出きなさそうなので、今は特に買い足したりする必要はないかもしれないな。


 ゲームによっては重装備や軽装備、金属製鎧や革製鎧などにカテゴライズされていて、それらを使い込んだりスキルポイントを割り振ったりして、より使いこなせるようになったりするのだが……。


 どうやらこの世界にはそういったシステムは導入されていないようで、防具を身に着けたまま壁に頭を擦りつけても、スライムに叩かれ続けても、防具系のスキルは全く獲得できるようすはなかった。


 まぁ、防具の質が上がるわけでもないのに、自分の防具熟練度が上がるだけで防御力が変化するというのも、現実的に考えると少しイメージしずらいので、この変なところでリアルな部分を出してくる世界では、今のところスキルが存在しないと考えておいてもいいだろう。


 武器に関しても、既に全ての武器を使いこなせるスキルは獲得しているので別に新たに買う必要はないのかもしれないな……。


 スキルの熟練度は上げておきたいので、それぞれのジャンルの武器を一つずつくらい持ってはおきたいが、経験値稼ぎをするくらいなら訓練用の武器で十分だろう。


 つまり……ジェラード王国からこちらに来る時もそうしたように、今回もこの帝都の城にあるものを拝借していけばいいのだ。


 この城には王都の城と違って魔法で封印された開かずの間のような場所はなかったので、帝都の全てのマップ検証が終わった今、どこにどんなものが置いてあるかは全て把握しているし、今回は他人の家というわけでもないのでアイテムを拝借する代わりにお金を置いていく必要もない……。


「ふむ、武器防具は買い物リストから除外だな……それと……雑貨も兄上たちの部屋から勝手に拝借してくればいいか……うーむ、そうすると……買うものはお土産くらいだな……」


 自分は城から歩きながら並行処理でそんな風に買い物リストと睨めっこして、城下町に着いた頃にはずいぶんとシンプルになった買い物リストが出来上がっていた。


 そして、そのリストを頼りに今までこつこつマップ検証をしてきた実績を活かし、一切迷うことなく、最短ルートで、目的のアイテムが一番安価で高品質な状態で手に入る店を効率よく巡っていく……。


 この街の全ての店で購買検証も済んでいる自分には、もうどの店でどんなアイテムが売っていて、それらを買うときにいくらかかり、売るときにいくらになるのかが分かり切っている……目的のものをより良い状態で素早く買うなど簡単なことなのだ。


「殿下、それはジェラード王国へのお土産ですかな? 王に挨拶へ赴く際の手土産でしたらこちらでご用意しておりますし、あちらでお世話になられた方への感謝の品でしたら経費から出しますぞ」


「ふむ、そういえば向こうからこっちに来るときもダーフィンにそんなことを言われたな……」


 自分は護衛としてついてきたコンラート殿からそんなことを言われて少し考えてみるが、冒険者として関わったボリー殿やファビオ殿には、グラヴィーナ帝国の第三王子オルスヴィーンとしてではなく、Fランク冒険者のオースとしてお土産を渡したい……。


 しかし、街での購買検証の時に、普通の買い物で勝手に経費を使って怒られるという検証は行ったものの、こういったちゃんとした場面で正しく経費を使う検証はしていなかったな……ふむ……確かに、出来るのであればこの機会にそのあたりの検証もしておきたいところか……。


「よし、ではあちらの城で生活していた時に世話になった同じ第三王子、ヴェルンヘル殿下へのお土産は経費で買わせてもらうとしよう」


「承知しました……それでは、あちらの王子宛てのお土産を買われる際は拙者が城への請求書を店主に渡すので言ってください……絶対に、ご自身で勝手に書いて、しかも請求額の桁をあえて間違えるなどしてはなりません」


 ふむ……そういえば前にそんな検証もしたな……あの時もダーフィン殿の説教が長くて大変だった。


 だがそんなことはどうでもいい、一度検証した項目はゲームのアップデートでも来ない限り繰り返す必要はないのだ……まぁ、必要がないというだけで、どこでどんな不具合が見つかるか分からない以上、絶対にやらないという保証はどこにもないのだが……とにかく今はそれよりも、経費を使って王子へのお土産を買う検証が優先だろう……。


 元の世界でお土産としてよくあるものを考えると、その土地の名物であるお団子やまんじゅうなど、和菓子あたりを買って行くのが喜ばれそうなものだが……酸化防止剤などの添加物が発展しているわけではないこの世界では、そういった食べ物をお土産に選ぶのは、国を超えるどころか街を渡るだけでも訝しがられそうだ。


 自分には食べ物が腐ったりしない亜空間倉庫があるので、食べ物が大好きでそういった考えに無頓着なグリィ殿には珍しい和菓子などを買っていってやろうと思っているのだが、他の人にはまず警戒心を抱かれたり苦い顔をされたりするだろうな……。


 うーむ……無難に考えるのであれば、この国の特産品の一つである陶磁器か、保存のきく調味料などか……花瓶か壺かは分からないが、陶磁器は輸入雑貨店であるファビオ殿のお店でも高値で取り扱っていたし、お土産として喜ばれるものを考えるのであれば間違いはないはずだ。


 お土産として喜ばれることを考えるのであれば……。


 そう……せっかく他国の王子に、この国の王子としての立場からお土産を渡すのだ……こんな機会に普通に喜ばれそうなよくあるお土産を買っていくなんて、デバッガーとしてあるまじき行為だろう。


「よし、修学旅行で買ってから後悔する木刀や龍のキーホルダーをプレゼントしよう」


 自分はそんなチョイスでヴェルンヘル殿下へのお土産を選ぶと、ボリー殿やファビオ殿には普通に喜ばれそうなもの……ミュリエル殿やエネット殿には王子と同じく喜ばれるか微妙な品を選んでいった……。


▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【物理耐性】:物理的な悪影響を受けにくくなる

【精神耐性】:精神的な悪影響を受けにくくなる

【時間耐性】:時間による悪影響を受けにくくなる

【異常耐性】:あらゆる状態異常にかかりにくくなる

【身体強化】:様々な身体能力が上昇する

【成長強化】:あらゆる力が成長しやすくなる

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔力応用】:自分の魔力を思い通り広い範囲で精密に操ることが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【薬術】:薬や毒の効果を最大限に発揮できる

【医術】:医療行為の効果を最大限に発揮できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【サバイバル】:過酷な環境で生き残る力を最大限に発揮することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【解体】:物を解体して無駄なく素材を獲得できる

【収穫】:作物を的確に素早く収穫することができる

【伐採】:木を的確に素早く伐採することができる

【石工】:石の加工を高い技術で行うことができる

【木工】:木の加工を高い技術で行うことができる

【調合】:複数の材料を使って高い効果の薬や毒を作成できる

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる



▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】


▼アイテム一覧

〈1~4人用テント×9ずつ〉〈冒険道具セット×9〉〈キャンプ道具セット×9〉

〈調理道具セット×9〉〈登山道具セット×9〉〈変装セット×1〉〈調合セット×1〉

〈その他雑貨×8〉〈着火魔道具×9〉〈方位魔針×9〉〈魔法のランタン×9〉

〈水×54,000〉〈枯れ枝×500〉〈小石×1,750〉〈倒木×20〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1089日分〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×709〉〈獣生肉(上)×1005〉〈鶏生肉×245〉

〈獣の骨×720〉〈獣の爪×270〉〈獣の牙×258〉〈羽毛×50〉〈魔石(極小)×64〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライムの粘液×850〉〈スライム草×100〉

〈棍棒×300〉〈ナイフ×3〉〈シミター×2〉〈短剣×3〉〈剣×3〉〈大剣×3〉

〈戦斧×3〉〈槍×3〉〈メイス×3〉〈杖×3〉〈戦鎚×3〉〈弓×3〉〈矢筒×3〉〈矢×10,000〉

〈訓練用武器一式×1〉〈雑貨×50〉〈お土産×20〉

〈魔法鞄×4〉〈風のブーツ×4〉〈治癒のアミュレット×4〉〈集音のイヤーカフ×4〉

〈水のブレスレット×4〉〈装飾品×5〉〈宝石×6〉

〈一般服×10〉〈貴族服×4〉〈使用人服×2〉〈和服×1〉

〈ボロ皮鎧×1〉〈革鎧×1〉〈チェインメイル×2〉〈鋼の鎧×2〉

〈バックラー×1〉〈鋼の盾×2〉

〈上治癒薬×19〉〈特上治癒薬×5〉〈魔力回復薬×10〉〈上解毒薬×7〉〈猛毒薬×10〉

〈筋力増加薬×5〉〈精神刺激薬×5〉〈自然治癒上昇薬×10〉〈魔力生成上昇薬×10〉

〈金貨×26〉〈大銀貨×7〉〈銀貨×5〉〈大銅貨×2〉〈銅貨×6〉

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