表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
251/310

第二百十五話 教都の危機で検証 その五

 

 ソメール教国、教都。


 上空に浮かぶ魔法陣により生成された巨岩から街を守ろうと、その街に住む者はもちろん、他の国や街から来ていた者も含め、その場にいた全員で協力し始めて数時間。


 その巨大な岩を魔法で少しずつ削っては、降って来た小さな瓦礫を出来るだけ街の外へ飛ばしていくということを繰り返し、街をまるごと押しつぶしかねない大きさだった岩はついに、その大きさを十分の一程度にまで縮めていた。


 ここまでくれば、岩を完全に消し去るまであと一歩。

 もう数十分ほど頑張れば、街の被害をゼロにできるだろう。


 だが……。


「はぁ……はぁ……」


「もうダメ……あとはお願い……」


「いや、俺ももう限界だ……」


 汗をかき、肩で息をする住民たちが、ひとり、またひとりと倒れていき、屋根の上や大通り、広場など、様々な場所でそのまま仰向けに寝転がってしまう。


 それは、単純な疲労と魔力切れ。

 特に何か怪我をしたわけでは無く、体力的にその人物の限界が来たのだ。


 今回の作戦には、戦闘経験のある騎士や兵士だけでなく、ただ少し魔法が得意な民間人も協力していたので、元々体力や魔力にバラツキがあり、これまでにも少しずつ、作戦継続が困難になり、脱落していった者達がいた。


 脱落者の数が増えるにしたがって岩の大きさも小さくなっていったので、その度に防御魔法を張る範囲も狭めていき、何とか耐えていたのだが……今脱落していったのは、民間人ではなく、戦い慣れた兵士である。


 残念ながらもうすでに民間人は全員退場しており、救護班に運ばれて箱舟に避難済み……その後、騎士や兵士など、民間人よりも体力や魔力の多い者たちで作戦を継続していたが、ここにきて、その中の兵士まで脱落してしまった。


 騎士と兵士の違いは、主に、生まれの血筋……それはこの世界で、魔力保有量に大きな影響を与える。


 検証の結果、獲得したスキルの数が魔力の最大値に影響を与えることは分かっているので、戦闘スキルなどを豊富に持っているであろう兵士が、戦闘経験がない民間人より体力的にも魔力的にも優れているのは確かだが、血筋的にベースの魔力量が多い貴族の騎士と比べると流石に少ない。


 そんな彼らが脱落した今、疲労の顔を見せながらも未だに立っていられているのは、この国の貴族たちと、マギュエの試合を見るために訪れていたジェラード王国やグラヴィーナ帝国の王子や騎士たち……そして、我が検証チームの数名だけである。


「君たちはまだ大丈夫かい?」


「私は全然大丈夫っすよ、昔からオースさんに鍛えられているっすから」


「オレも、少なくとも戦鎚を持ってる手が震えてる姉ちゃんよりは平気かな」


「な、なに言ってんの? べ、別に、全然震えてないし? それよりアンタこそ、さっきから足がガクガク震えてんじゃないの?」


「そ、そんなことねーし!」


「ふんっ、この状況でそれだけ騒げるなら、あと一弾くらいは行けそうだな。だが貴様ら、絶対に無理はするな、これは命令だ」


「えー、なにー? ヴィーコ、アタシたちのこと心配してくれてんの?」


「なっ、いや、そうじゃない! 出来ないことを無理に出来ると言われても、作戦を立てるボクにとって迷惑だと、そういう話をしているんだ!」


 うーむ……アクセル殿、グリィ殿、ヴィーコ殿はまだ平気そうだが、ロシー殿とカイ殿は持ってあと数回か。


 自分は【超観測】で遠隔から街や仲間たちの様子を確認しながら、そんなことを考える。


 作戦の協力者全員に配るポーションの作成で頑張ってくれたアーリー殿と、上空に出現させた魔法陣から岩を大きくする部分を消してくれたカヤ殿は、既に魔力切れで脱落して、箱舟で休んでもらっている。


 残った仲間のうち、アクセル殿は、街の大聖堂に元から設置されていた、大聖堂全体を魔法障壁で覆う魔法陣を発動させる役に回り、ヴィーコ殿は現地での臨機応変な作戦進行指示。


 ロシー殿とカイ殿には、彼ら自身の戦鎚で降って来た岩を迎撃する役を任せていて、グリィ殿には、ちょっと武器としてカテゴライズされるか微妙な、ただの大きな丸太を持たせて、同じく迎撃班として働いてもらっている。


 グリィ殿は、一応、武器を魔力で覆うことも出来なくはないのだが、それほど訓練期間が設けられなかったのに魔力の形や大きさも何となく調整できるようになったロシー殿やカイ殿と違って、そこまで調整するまではいけていないからな……。


 そのままでも岩を撃ち飛ばすのに十分な大きさの丸太に、その強度を上げるための魔力だけ通して、それを思い切り振ってもらうことで、岩を迎撃してもらっているのだ。


 そんなことが出来るのは、初期ステータスは素早さ寄りだったのに、成長補整が筋力寄りだったのか、いつの間にか誰よりも筋力ステータスが高くなっていた彼女だけなのだが……まぁ、出来るなら何の問題も無いだろう。


 問題は別にあるのだ……。

 それも、もっと重要な……。


「グリィ殿、聞こえるか?」


『あれ? オースさん、どうしたんすか?』


「少しヴィーコ殿に伝えて欲しいことがあるのだが……」


『了解っす、っていうか、すぐ隣にいるからこのまま話しても聞こえるっすよ』


「そうか……では言うが……」


『……』


「自分も魔力切れだ……申し訳ないが、あとは任せた……」


 そう伝えると同時に、全身から力が抜け落ち、今まで維持していた魔法陣が消えて……自分は意識を失った。



▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【全耐性】:あらゆる悪影響を受けにくくなる

【全強化】:あらゆる能力が上昇する

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔術】:自分の魔力を特定の法則に則って思いのままに操れる

【錬金術】:素材と魔力で様々なものを生み出し、扱うことが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【冒険術】:冒険に必要な行動を高い水準で実行することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【工作】:様々な素材を思い通りの物に加工することが出来る

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【舞踊】:あらゆる条件で思い通りに踊ることができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる

【古代魔術語】:古の魔法陣を読み解き、描き、呪文を詠唱することが出来る


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】

【権威を振りかざす者】

【禁断の領域に踏み入れし者】

【自然に逆らいし者】

【奪いし者】

【獣を操る者】

【世界征服を目論む者】

【魔王と呼ばれし者】

【人の道を外れし者】

【民衆を脅かす者】

【人とみなされぬ者】


▼アイテム一覧

〈水×999,999+〉〈土×999,999+〉〈石×199,680〉〈木×20〉〈薪×815〉〈布×89〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1,960日分〉〈保存食×20,000〉〈飼料×4,340〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×500〉〈獣生肉(上)×480〉〈茶蕎麦×500〉

〈獣の骨×710〉〈獣の爪×260〉〈獣の牙×248〉〈羽毛×40〉〈魔石(極小)×69〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライム草×100〉〈抑制の首輪×5〉

〈着替え×1,000〉〈本×100〉〈遺物×10〉〈宝石・鉱石×170〉

〈冒険者道具×1〉〈調理器具×1〉〈錬金器具×1〉〈変装道具×7〉

〈掃除道具×1〉〈茶道具×1〉〈絵画道具×1〉〈手持ち楽器×4〉

〈木刀×1〉〈ミスリル合金の軽鎧×1〉〈ミスリル合金の短剣×1〉

〈音信のイヤリング×1〉

〈教国軍の消耗品×200,000〉〈教国軍の装備品×19,990〉〈教国軍の雑貨×100,000〉

〈金貨×0〉〈大銀貨×1〉〈銀貨×11〉〈大銅貨×135〉〈銅貨×84〉


▼ 商業ギルドからの借金

オース名義:金貨2枚

グリィ名義:金貨2枚


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オースの魔力切れ!珍しすぎますねえ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ