表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
237/310

第二百三話 マギュエの第四試合で検証 その一

 

「……始め!」


「【上級強化(ハイ・ブースト)】!」


「【上級強化(ハイ・ブースト)】」


「なっ……!」


 第四試合、ソメール教国のトップ、マルカント・ソメール教皇様と、我がデバッガーチームの頼れるエース、アクセル殿の試合は、彼や観客席から沸き起こった驚きの声から始まった。


 なんと、アクセル殿が身体強化の魔法を発動すると同時に、教皇様の方も同じ身体強化魔法を発動したのだ。

 そして、教皇様はアクセル殿の驚きが収まるのを待つこと無く、地面を踏み込んで一気に間合いを詰めると、その黄金の杖を思い切り叩きつけた。


 —— ガキンッ ——


 長年続けているタンク役の反射神経だろうか、アクセル殿はそれが身体に届く前に盾で防ぐことに成功したが、そのミスリル合金の盾で受けとめた音を聞く限り、あのゴテゴテした黄金の杖は、魔法の触媒として使えるだけでなく、打撃武器としてもそれなりに優秀な攻撃を与えられる仕様のようだ。


「【盾の咆哮(シールド・ロア)】!」


 しかし、接近されるのは、遠距離の攻撃方法を持たないアクセル殿にとっても都合の良いこと……杖による打撃をお見舞いしてくれたお返しとばかりに、そんな超近距離の状態から、シールドバッシュ兼魔力波を放つ。


 だが……。


「【マギの盾(マギズ・バリア)】】」


 教皇様が落ち着いた様子で一歩下がった後に発動させた魔法障壁は、その一撃でアルドヘルム殿下の体力を二割も削った魔力の塊を完全に防ぎ切り……。


「【爆発(エクスプロージョン)】」


 攻撃が防がれたと認識した時には、既に次の魔法陣を展開させ、アクセル殿に向かって大きな炎弾を飛ばしていた。


 そう動くことが自然であることのように、無駄のない流れるような放たれたその炎弾は、両者の距離が近かったこともあり、アクセル殿が避ける間もなく、着弾し、爆発する……。


 眩しい光と共に弾ける爆風は、教皇様が着ている祭服を激しくはためかせているが、彼自身は煙に目を細めるだけで、巻き起こる風に煽られてふらつくような様子は全く無かった。


 先ほど一歩で踏み込んだだけでアクセル殿の眼前まで距離を詰めていた時にも思ったが、いくら身体強化の魔法を発動しているとはいえ、これだけの動きが出来るのは、元々の身体能力が高い者だけだ。


 皺の刻まれた顔からはあまり想像できないが、身体のラインが見えないその祭服の下には、もしかするとそれなりに筋肉質な身体が隠れているのかもしれないな……。


「ほう……すんでのところで防御が間に合ったようだな」


 しかし、フィジカルの高さであれば、我がチームのエースも負けてはいない……。

 煙が晴れたその場所には、盾をどっしりと構えて微動だにしていないアクセル殿の姿があった。


 スクリーンの表示を確認したところ、どちらの体力ゲージも試合開始時点から一ミリも変動していない……おそらく、アクセル殿の方も持ち前の瞬発力で【要塞(フォートレス)】の発動を間に合わせたのだろう。


 この試合……なかなか長期戦になりそうだ。


「まさか父上が、遠距離魔法ではなく、いきなり近接戦を仕掛けてくるとは思いませんでした……そして失礼ながら、ここまで動けるとも……」


「息子にそうまで言ってもらえるとは、父親として素直に喜ばずにはいられぬな」


「ですが……いえ、だからこそ……そんな父上に勝つことで、僕の成長した姿を見てもらいたいとも思いました」


「そうか……そうだな……それも一つの父親冥利というものか……だが……」


 そこで教皇様は言葉を区切り、杖を天高く放り投げ……祭服の襟部分を片手でガシッと掴むと、いったいどんな魔法を使ったのか、そのまま上着を一瞬で脱ぎ捨てた。


 そして、上裸となったその姿で、上空から返ってきた杖を掴むと、まるで棍術師が演武を披露するかのように、身体の周りでくるくると杖を振り回し、最後にその杖を片手で背後に構えて、もう片方の手を前に突き出す形で制止した。


「息子の前ではいつでも強い父親でありたいというのもまた、父親の心根よ」


「……」


 アクセル殿も、観客席の貴族たちも、その教皇様の姿を見て、唖然とする……。


 今までの動きから、多少は筋肉があるとは思っていたが……上半身をさらけだした教皇様のソレは、グラヴィーナ帝国の武闘家と言われた方がまだ信じられる、決して魔法大国のトップに立つ魔法使いとは思えない身体だった……。


 だが……その姿に納得できる部分もある。


 ソメール教国第一王子のアルドヘルム殿下も、第二王子のジェイラス殿下も、かなりの魔法の使い手だった……だったらなぜ、第三王子のアクセル殿は、肉弾戦に特化していたのか……。

 ……その答えがきっと、目の前の真実。

 アクセル殿が兄弟の誰よりも、教皇様の血を色濃く受け継いでいたからなのだろう。


「ゆくぞ」


「はい!」


 教皇様の号令で、二人は同時に地を蹴り、急接近する。


 魔法でしかダメージを与えられないこのマギュエで、正面からぶつかり合う近接戦を見ることになるとは……やはりこの試合の検証は、面白いものになりそうだ。


▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【全耐性】:あらゆる悪影響を受けにくくなる

【全強化】:あらゆる能力が上昇する

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔術】:自分の魔力を特定の法則に則って思いのままに操れる

【錬金術】:素材と魔力で様々なものを生み出し、扱うことが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【冒険術】:冒険に必要な行動を高い水準で実行することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【工作】:様々な素材を思い通りの物に加工することが出来る

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【舞踊】:あらゆる条件で思い通りに踊ることができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる

【古代魔術語】:古の魔法陣を読み解き、描き、呪文を詠唱することが出来る


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】

【権威を振りかざす者】

【禁断の領域に踏み入れし者】

【自然に逆らいし者】

【奪いし者】

【獣を操る者】

【世界征服を目論む者】

【魔王と呼ばれし者】


▼アイテム一覧

〈水×999,999+〉〈土×999,999+〉〈石×199,680〉〈木×20〉〈薪×815〉〈布×89〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1,960日分〉〈保存食×20,000〉〈飼料×4,340〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×500〉〈獣生肉(上)×480〉〈茶蕎麦×500〉

〈獣の骨×710〉〈獣の爪×260〉〈獣の牙×248〉〈羽毛×40〉〈魔石(極小)×69〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライム草×100〉〈抑制の首輪×5〉

〈着替え×1,000〉〈本×100〉〈遺物×10〉〈宝石・鉱石×170〉

〈冒険者道具×1〉〈調理器具×1〉〈錬金器具×1〉〈変装道具×7〉

〈掃除道具×1〉〈茶道具×1〉〈絵画道具×1〉〈手持ち楽器×4〉

〈木刀×1〉〈ミスリル合金の軽鎧×1〉〈ミスリル合金の短剣×1〉

〈音信のイヤリング×1〉

〈教国軍の消耗品×200,000〉〈教国軍の装備品×19,990〉〈教国軍の雑貨×100,000〉

〈金貨×0〉〈大銀貨×1〉〈銀貨×11〉〈大銅貨×135〉〈銅貨×84〉


▼ 商業ギルドからの借金

オース名義:金貨2枚

グリィ名義:金貨2枚


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ