表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/310

第百八十九話 箱舟への再侵入で検証 その二


「おい、ソメールの王子、いいのか? こっちで」


「? 父上のいる船橋は、こちらの道であっているよ?」


「そうじゃない、こっち側のグループに付いてきて良かったのかと聞いているんだ」


「ああ、そういうことか……」


 箱舟の船内。


 自分、ロシー殿、カイ殿の三人が先頭を走る後ろで、ヴィーコ殿とアクセル殿がそんな会話をしている。


 数分前、自分たちは、アクセル殿の妹君と会い、部屋に軟禁されているらしい母を助けて欲しいと頼まれたのだが、教皇と話して戦争を止めることも優先的に対応しなければならない項目だったため、二手に分かれて行動することにしたのだ。


 ヴィーコ殿は、その時のグループ分けで、アクセル殿が母君を救出するグループの方に行かなかったことに対して問いかけているのだろう。


「グループ分けの時にも言ったけど、今は世界で起きている問題を解決する方が優先だ、そして、そのことを父上と話すなら、僕もその場にいた方がいい」


「ふんっ、いかにも王子らしい、真面目な回答だな」


「ははは、そうだね……でも、きっと、同じ状況になったら、ヴィーコ君も僕と同じ選択をするタイプだろう?」


「……知らん」


 ヴィーコ殿はそう言っているが、旅の道中、街や村が大雨の被害にあっている時、彼は率先して街の人たちを助ようと提案していたからな……。

そんな国や市民のために行動する人物であれば、アクセル殿と同じように、大切な家族一人よりも、より多くの人を救う方を優先する可能性は十分にありえる。


「だけど、勘違いしないで欲しい……僕だってきっと、信頼できる仲間がいなければ、自分の手で母上を救出しに行ったと思う……学校やこの旅で一緒に過ごした経験を考慮して、彼女たちなら母上を任せられると思ったから、託したんだ」


「言われなくてもそれくらい分かる」


「……それは、ヴィーコ君も、今回の旅の仲間を同じくらい信頼している、ってことかな?」


「……まぁ、少なくとも戦闘能力に関しては、それなりに信頼してやってもいいとは思っているな」


「ははは、そういうことにしておくよ」


 どこか含みのある彼らの会話の真意は、自分にはあまり分からなかったが、何やらアクセル殿とヴィーコ殿との間には通じるものがあるようだ。


「む? 前方に敵影が十人以上だ、ロシー殿、カイ殿、戦闘準備だ」


「ここを抜けたら船橋まですぐだから、きっと次が最後の戦闘になると思う、三人とも、頼んだよ」


「うむ」「仕方ないわね」「任せろ!」


 自分がマップ情報から敵影に気づき、アクセル殿が船内の構造から状況を説明して、ロシー殿やカイ殿が自分と一緒に返事をする。


 ヴィーコ殿もアクセル殿と一緒に、アーリー殿から預かった粘着ポーションを構えているようだし、準備万端であるな。


「全員、突撃!」


「「おおー!」」


 さて、こちらは順調だが、グリィ殿、アーリー殿、カヤ殿グループの方は、問題なくアクセル殿の母君を救出できているだろうか……。



 ♢ ♢ ♢



オース達と別れた、グリィ、アーリー、カヤの三人は、アクセルの母親でもある、この国の皇妃を救出するため、アクセルの妹であるシェスリアの案内で、箱舟の居住区画を進んでいた。


 元々この辺りには騎士や衛兵が少ないのか、案内役のシェスリアが衛兵などの通らない道を選んでいるのか、そういった戦力は現在オース達の方に集中しているのか、彼女たちの行く先に今のところ敵影は一つも無い。


「皆さまは、アクセルお兄様の、お友達……ということですよね?」


 そんな状況から、ひとまず喋っても問題ないと判断したのか、ただ単に知らない人たちと無言で行動するのに耐えられなかっただけか、シェスリアがグリィ達に向かって、そんな問いを投げかける。


 後方を歩くアーリーとカヤは、この状況で普通に会話をしていいものか悩んでいるのか、どう答えればいいのか悩んでいるのか、首を傾げ、互いの顔を見つめ、しばらく口を開かない時間があったようだが、シェスリアのすぐ後ろにいたグリィは、その後ろの二人の様子など気にせず、少し考えてから口を開いた。


「そうっすねー、アクセルさんは学校で一緒に食堂のご飯を食べるお友達でもあって、冒険者の依頼で外に行って、一緒にキャンプ飯を食べる仲間でもあったっすよ」


「は、はぁ……」


 だが、彼女の答えは、シェスリアの予想していたそれとは少し違ったようで、どう返事をしたものか分からない曖昧な相槌を返すだけで精いっぱいの様子だ。


「あ、あの、きっとグリィちゃんは、グラヴィーナ帝国に伝わる『同じ釜の飯を食う』という、ことわざの事を言っていて、それは、他人同士でも同じものを食べて生活を共にした仲間という意味の……」


「まぁ、きっとこの子はそんなところまでは考えていないでしょうけど、とりあえず友達や仲間だと思っているのは本当よ……もちろん、あたしたちもね」


 そんな、グリィの回答を、カヤやアーリーがフォローするが、シェスリアはそんな三人のやり取りを見て少々不安げな顔を見せる。


 だが、先ほど、別れて行動を開始するときに、アクセルが、三人の事は信頼していいと話していたことを思い出したのか、シェスリアはぶんぶんと首を振ると、元の優し気で明るい表情に戻り、また三人に問いを投げかける。


「えっと、お兄様は、外ではどんなご様子でしたか?」


「美味しいご飯をいっぱい奢ってくれたっす!」


「国の機密とか全く気にしない様子で、何でもペラペラ喋ってたわね」


「えっと、えっと……すみません、わたしはあまりアクセルさんと直接はお話をしていなかったもので、よくわかりません……」


 そして、シェスリアの表情は、その作られた明るい表情のまま、固まってしまった。


 どうやら三人の回答は、またしても彼女の予想とは違う物だったらしい。


 シェスリアはそこで彼女たちとの会話を区切ると、視線を前に戻し、自身の役目である皇妃の自室へ向けた道案内に集中し始めた……。


 兄の事を想うシェスリア、食欲に忠実なグリィ、思ったことを正直に答えるアーリー、人見知りのカヤ……彼女たちの関係性は、今の段階ではまだあまり深くならないようだ。



▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【全耐性】:あらゆる悪影響を受けにくくなる

【全強化】:あらゆる能力が上昇する

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔術】:自分の魔力を特定の法則に則って思いのままに操れる

【錬金術】:素材と魔力で様々なものを生み出し、扱うことが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【冒険術】:冒険に必要な行動を高い水準で実行することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【工作】:様々な素材を思い通りの物に加工することが出来る

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【舞踊】:あらゆる条件で思い通りに踊ることができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる

【古代魔術語】:古の魔法陣を読み解き、描き、呪文を詠唱することが出来る


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】

【権威を振りかざす者】

【禁断の領域に踏み入れし者】

【自然に逆らいし者】

【奪いし者】

【獣を操る者】


▼アイテム一覧

〈水×999,999+〉〈土×999,999+〉〈石×199,680〉〈木×20〉〈薪×815〉〈布×89〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1,960日分〉〈保存食×20,000〉〈飼料×4,340〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×500〉〈獣生肉(上)×480〉〈茶蕎麦×500〉

〈獣の骨×710〉〈獣の爪×260〉〈獣の牙×248〉〈羽毛×40〉〈魔石(極小)×69〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライム草×100〉〈抑制の首輪×5〉

〈着替え×1,000〉〈本×100〉〈遺物×10〉〈宝石・鉱石×170〉

〈冒険者道具×1〉〈調理器具×1〉〈錬金器具×1〉〈変装道具×7〉

〈掃除道具×1〉〈茶道具×1〉〈絵画道具×1〉〈手持ち楽器×4〉

〈木刀×1〉〈ミスリル合金の軽鎧×1〉〈ミスリル合金の短剣×1〉

〈音信のイヤリング×1〉

〈教国軍の消耗品×200,000〉〈教国軍の装備品×20,000〉〈教国軍の雑貨×100,000〉

〈金貨×0〉〈大銀貨×1〉〈銀貨×11〉〈大銅貨×135〉〈銅貨×84〉


▼ 商業ギルドからの借金

オース名義:金貨2枚

グリィ名義:金貨2枚


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ