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第百八十四話 箱舟の仕様で検証 その三


「うむ、ここで検証できることはこれくらいだな」


 代り映えの無い……いや、あちらこちらに物が散乱し、ここへ連れてこられたばかりの時とは大分印象が変わった牢獄の中。


自分は表示したメモ画面に洗い出した検証項目の見直しを行うと、その殆どにチェックマークの付いたその状態にそれなりの満足感を得る。


 昨日、この場所を訪ねてきたアクセル殿と別れてから検証を再開し、現在、計測画面に表示された時刻は既に朝を示していたが、他の場所と異なる点が多すぎる、次はいつ入れるか分からない特別なマップで、検証をせずにのんきに寝ていることは出来なかった。


 もちろん、結果として得るものは大きかったが、近々ボス戦が待っているかもしれない状況でもあるので、まだ時間に余裕があるなら軽く睡眠をとっておいてもいいかもしれないな。


—— ガチャ ——


 そんなことを考えていると、特にノックも無く、この区画の扉が開かれる。


まず入ってきたのは、この船内で何度かその同じ格好をした人物を目にした、この船の衛兵のようだったが、彼はこの区画に入るとそのまま開いた扉を支えるように横へ移動して、控えるように立った。


 そして、その開いた扉から次に入ってきたのは、昨日、また明日と言って別れたアクセル殿だったのだが……。


「手錠に……ロープに……刺股?」


 アクセル殿のその姿は、服装こそ昨日と変わらない王族らしいものだが、その両手首は木製の手錠で拘束され、その手錠と繋がったロープの先端を持った衛兵と、刺股のようなものを片手に持った衛兵を連れだった、どう見ても犯罪者の末路という様子だった。


「やあ、オース君、昨日ぶりだね」


「殿下、こちらへ」


「分かっているよ」


 自分の檻の前で、いつものような元気のない、少し陰のあるような笑みを浮かべながらそう挨拶をしたアクセル殿は、自分がその言葉に返す暇もなく、衛兵に促されるままに隣の檻へと入れられてしまう。


 —— ガシャン ——


 ジェラード王国の地下遺跡でも使われていた〈再生物質〉という謎物質で作られた頑丈な檻の扉が閉められ、しっかりと鍵をかけられた上で、もう一人の衛兵によってちゃんと鍵がかかっていることに対する二重チェックまでされたあと、衛兵は檻の隙間からアクセル殿の手錠を外し、簡単な挨拶を残してそのまま立ち去ろうとする。


「あー、衛兵殿、ちょっといいだろうか」


「なんだ」


「いや、その、あまり大きな声では言えないことなのだが……」


「……」


 自分はそんな姿で連れてこられたアクセル殿のことが気になりつつも、それよりもこちらの方が重要だろうと、立ち去ろうとする衛兵を呼び止めて、声を控えながら手招きをする。


 先ほどまでアクセル殿に対しては丁寧に接していた衛兵は、自分の対応になると少々ぶっきらぼうになる仕様なようで、ものすごく面倒くさそうに数秒こちらを睨んでから、ため息をついて近づいてきた。


「すまないな、衛兵殿」


「謝罪は良いから、さっさと要件を言え」


「そうだな……その、要件なのだが……特に何もない」


「は?」


「呼んでみただけ、というやつだ」


「……くそっ」


 ぶっきらぼうな態度の割に、わざわざこちらへ近づき、声を潜める自分の言葉に耳を傾けてくれた衛兵は、自分がそんな返答をしても、そう言って舌打ちをするだけで、とくに暴力を振るってくるようなこともなく、仲間に引き返すようジェスチャーをしつつ、そのまま一緒に去って行ってしまった。


 あの反応を見るに、もしかすると【マギ】によって暴力行為を阻害されるのは、自分のような外部の人間だけでなく、衛兵や王族などの内部の人間も変わらないということなのかもしれない。


 拘束したアクセル殿を連れた衛兵が他の武器を携帯しておらず、刺股のような非殺傷捕具を持っていたというのも、そういった理由であると考えられる。


 もし敵味方関係なく、全ての暴力行為が阻害されるという仕様であれば、人を傷つける行為が出来ないとしても、逃げるだけなら簡単そうに思える。


まぁ歴史的に、今となっては抜け道の多いこの箱舟の仕様は、近くに陸地の無い海上であるからこそ機能していたものも多くあるのだろうし、それで言えば、そもそも逃亡を考える必要は無かったのかもしれない。


 ……とりあえず、これでまた少し検証項目が埋まったな。


「ふむ……」


 だが、いくらそういった小さな検証項目も大事だとは言っても、今、一番気になるのは、やはり、隣の部屋に引っ越してきた新しい入居者のことだ。


 昨日の話では、アクセル殿がこちらへ来るのではなく、自分がアクセル殿の父上、この国の教皇様に会いに行くという話だったと思うが……いったいどうしてアクセル殿が拘束されてこちらに……しかも牢屋の中に来るという展開になったのだろうか。


「とりあえず、何があったか話してくれるだろうか?」


 自分は隣の部屋で力なくうなだれるアクセル殿に、そう声をかけた。



▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【全耐性】:あらゆる悪影響を受けにくくなる

【全強化】:あらゆる能力が上昇する

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔術】:自分の魔力を特定の法則に則って思いのままに操れる

【錬金術】:素材と魔力で様々なものを生み出し、扱うことが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【冒険術】:冒険に必要な行動を高い水準で実行することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【工作】:様々な素材を思い通りの物に加工することが出来る

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【舞踊】:あらゆる条件で思い通りに踊ることができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる

【古代魔術語】:古の魔法陣を読み解き、描き、呪文を詠唱することが出来る


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】

【権威を振りかざす者】

【禁断の領域に踏み入れし者】

【自然に逆らいし者】

【奪いし者】

【獣を操る者】


▼アイテム一覧

〈水×999,999+〉〈土×999,999+〉〈石×199,680〉〈木×20〉〈薪×815〉〈布×89〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1,960日分〉〈保存食×20,000〉〈飼料×4,340〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×500〉〈獣生肉(上)×480〉〈茶蕎麦×500〉

〈獣の骨×710〉〈獣の爪×260〉〈獣の牙×248〉〈羽毛×40〉〈魔石(極小)×69〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライム草×100〉〈抑制の首輪×5〉

〈着替え×1,000〉〈本×100〉〈遺物×10〉〈宝石・鉱石×170〉

〈冒険者道具×1〉〈調理器具×1〉〈錬金器具×1〉〈変装道具×7〉

〈掃除道具×1〉〈茶道具×1〉〈絵画道具×1〉〈手持ち楽器×4〉

〈木刀×1〉〈ミスリル合金の軽鎧×1〉〈ミスリル合金の短剣×1〉

〈音信のイヤリング×1〉〈睡眠ポーション×10〉

〈教国軍の消耗品×200,000〉〈教国軍の装備品×20,000〉〈教国軍の雑貨×100,000〉

〈金貨×0〉〈大銀貨×1〉〈銀貨×11〉〈大銅貨×135〉〈銅貨×84〉


▼ 商業ギルドからの借金

オース名義:金貨2枚

グリィ名義:金貨2枚


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