表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/310

第百八十三話 箱舟の仕様で検証 その二


「うむ、マギの目を直接破壊するのも不可能か……」


 箱舟の船内に設けられた牢獄の中。

 自分はメモ画面を開き、今検証した『石を投げてマギの目の破壊を試みる』という項目に『魔法障壁で防がれる』という検証結果を記入する。


 船内を巡回する衛兵を睡眠ポーションで眠らせようとしたところを、マギによって阻まれて、逆に自分自身が眠ってしまい、牢獄で目を覚ました自分が、すぐにその檻を破壊しようとしたところを、またマギに止められて、衛兵を呼ばれる、といったことがあってから一時間弱。


 その間も色々な方法で脱獄を試みる検証を続けているのだが、未だ実現には至っていなかった。


「一番厄介なのは、魔法の無効化だな……」


 最初にチャレンジしたように、純粋な魔力を練り上げて拳による攻撃の威力を高めるようなことは出来るようだが、この牢獄に入れられる原因にもなった通り、魔法という形で行使しようとすると、どれも不発で終わってしまう。


 風を発生させるだけの魔法も、炎の槍を放つ魔法も、水蒸気を集めて凍らせるような魔法も、檻自体を変形させるような魔法も、魔法陣を描き、そこへ魔力を流す工程までは何事もなく進むのだが、発動句を唱えてもその魔法が具現化することは無かった。


 それならばと、物理的な攻撃を検証し始めて、鉄格子自体への攻撃を試したり、その鉄格子の間から衛兵に石を投げてみたり、同じくマギの目へ石を投げてみたりしたのだが、今のところ、そのどれもが魔法障壁に阻まれて、対象に届かないという結果で終わっている。


 ちなみに、その検証に付き合ってもらっていた衛兵の皆さんは、いくらその肉体的ダメージを魔法障壁が防いでくれるとは言っても、拳大の石が剛速球で眼前まで何度も何度も飛んでくるという経験による、精神的ダメージまでは防いでくれなかったのか、いつの間にかその全員がこの区画から出て行ってしまった。


「うーむ、もう少し衛兵の方に対する検証もしたかったのだがな……」


 まぁ、いなくなってしまったものは仕方がない。


 これまでに検証した結果で、何となく解決の糸口も見えてきたので、ダメそうな方法から優先して、一つずつ気長に検証していこう。


—— コンコン ——


 と、そんな風に今までの検証の振り返りや情報の整理を行って、検証を再開しようとしたところで、この区画のドアが外側からノックされる音が聞こえてきた。


 はて、別にこの部屋は自分の部屋ではないのだが、この場合は何か返事を返した方がいいのだろうか。


—— ガチャ ——


 そして、返事をするにも、どんな言葉を返すのが一般的なのだろう、というようなことを考えている間に、返事を待たずしてドアは開かれ……。


「ああ、やっぱりオース君だったか、侵入者を牢屋に入れたが行動が意味不明すぎて手に負えないと連絡を受けて、きっと君の事だろうなと思っていたのだ、はっはっは」


 牢屋のあるこの区画へと入ってきたのは、全身鎧を脱いで、王族らしい煌びやかな衣装に着替えたアクセル殿だった。


「ふむ、とくにおかしな検証は行っていないのだが」


「はっはっは、それは申し訳ない……だが、残念ながら、君以外にとっては、その検証という行動自体が理解不能だということに、そろそろ気づいた方がいいかもしれないな」


 まぁ、確かに、同じオンラインゲームを遊んでいるプレイヤーという関係ならともかく、ゲーム内のキャラクターが検証という行為を理解できないのは仕方が無いか。


「……それで、アクセル殿は自分をここから解放しに来てくれたということだろうか」


「うーん、僕もそうしたいところなんだけど、どちらにしても、今日中には難しいかな」


「む? 何故であるか?」


「まぁ、間違いなく君が暴れていたせいだろうね……さっき、ここに捕まっているのはきっと僕の友人だから解放して欲しいって、責任者に伝えたんだけど、そうだとしても危険すぎるって言って、首を縦に振ってくれなかったんだ」


「……なるほど」


 これは、もしかするとイベントの分岐を逃したのだろうか……。


 牢獄に入れられても、特定の条件に引っかからなければ、アクセル殿が逃がしてくれたが、検証をしているうちに、その条件に当てはまってしまった……というような。


 うーむ……まさか、ちょっと脱獄を試みる検証をしていただけで、牢屋から解放されるイベントに影響を与えてしまうとは……そこまで考えていなかった。


「まぁ、君が伝承に記された輪廻の勇者だってことも伝えるから、あとでまた担当者が〈能力解析器〉持ってくると思う。この間と同じように対応してもらえれば、その結果を元に責任者たちが協議して、明日には出してもらえるんじゃないかな」


「承知した、それならば今日は大人しくここで検証していよう」


「はっはっは、まぁ、ほどほどにね」


 アクセル殿はそう言って軽快に笑うと、おやすみと挨拶して、この区画から出て行く。


 そう挨拶されて気づいたが、時間を観測すると、どうやらもう夜をそれなりに回っているらしい……この区画も含めて、箱舟内は魔道具の明かりでずっと明るかったので気が付かなかった。


「何もしなくても、明日には出られるか」


 事前に牢獄から出してもらうイベントは逃したようだが、流石にストーリー進行には影響のないようになっているようだな。


まぁ、そうだとしても、残念ながら自分が脱獄を試みているのは、ここから解放されることが目的なわけではなく、脱獄を試みるという行為自体が目的なので、その検証を止める理由にはならないが……。


「ふむ……なるほど……よし」


「検証再開だ」


 自分はそう意気込んで頷くと、亜空間倉庫から冒険者道具のピッキングツールを取り出した。



▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【全耐性】:あらゆる悪影響を受けにくくなる

【全強化】:あらゆる能力が上昇する

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔術】:自分の魔力を特定の法則に則って思いのままに操れる

【錬金術】:素材と魔力で様々なものを生み出し、扱うことが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【冒険術】:冒険に必要な行動を高い水準で実行することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【工作】:様々な素材を思い通りの物に加工することが出来る

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【舞踊】:あらゆる条件で思い通りに踊ることができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる

【古代魔術語】:古の魔法陣を読み解き、描き、呪文を詠唱することが出来る


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】

【権威を振りかざす者】

【禁断の領域に踏み入れし者】

【自然に逆らいし者】

【奪いし者】

【獣を操る者】


▼アイテム一覧

〈水×999,999+〉〈土×999,999+〉〈石×199,680〉〈木×20〉〈薪×820〉〈布×89〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1,960日分〉〈保存食×20,000〉〈飼料×4,340〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×500〉〈獣生肉(上)×480〉〈茶蕎麦×500〉

〈獣の骨×710〉〈獣の爪×260〉〈獣の牙×248〉〈羽毛×40〉〈魔石(極小)×69〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライム草×100〉〈抑制の首輪×5〉

〈着替え×1,000〉〈本×100〉〈遺物×10〉〈宝石・鉱石×170〉

〈冒険者道具×1〉〈調理器具×1〉〈錬金器具×1〉〈変装道具×7〉

〈掃除道具×1〉〈茶道具×1〉〈絵画道具×1〉〈手持ち楽器×4〉

〈木刀×1〉〈ミスリル合金の軽鎧×1〉〈ミスリル合金の短剣×1〉

〈音信のイヤリング×1〉〈睡眠ポーション×10〉

〈教国軍の消耗品×200,000〉〈教国軍の装備品×20,000〉〈教国軍の雑貨×100,000〉

〈金貨×0〉〈大銀貨×1〉〈銀貨×11〉〈大銅貨×135〉〈銅貨×84〉


▼ 商業ギルドからの借金

オース名義:金貨2枚

グリィ名義:金貨2枚


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ