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第百十六話 遺跡調査で検証 その一

 

 あれから足りない装備を補充しながら何度か依頼をこなし、冒険者ギルドの昇格ポイントを貯めて、アクセル殿、カヤ殿、アーリー殿もEランク昇格試験を突破した……。


 その間にグリィ殿はDランク昇格試験を受けているが、もちろん、彼女は何も言わなくても不合格になるパターンの検証をしてくれている。


 ちなみに、その直近の検証内容としては、試験日を一日ずれで覚えていて、試験が終わった翌日にDランク試験を受けに行ったようなのだが……Dランク昇格試験を受けられないだけでなく、間違えてその時にやっていたFランク昇格試験に参加してしまうという、かなりレアなパターンの検証をしてくれたらしい……。


 参加できてしまったこと自体が不具合のような気もするが、Fランク昇格試験は若い孤児などが身分証を手に入れるために受ける簡単な試験ということで、受付や試験官に新人の職員が割り当てられることが多いらしく、こういったことはたまにあるとのこと。


 そして、そんな珍しい検証をしてくれた彼女は、さらにそこで不合格となる成績を収める検証までしてくれたようで……その結果、せっかくEランクにまで上げた冒険者ランクが無印に……とはならなかったものの、ギルド職員からランク偽装の疑いをかけられ、何日か依頼を受けることが出来なくなった。


 うむ……流石グリィ殿だな……彼女はいつも自分が気づけないような特殊な検証を進んでやってくれて、非常に助かる。


 とまぁ、グリィ殿の検証の話は置いておいて……。


 今回、パーティー全員が冒険者ランクをEランクにあげたことで、このパーティーで依頼を受注する場合は、メンバーの一番下のランクに合わせた一つ上のランクまで……つまり、Dランクまでの依頼を受けることが出来るようになった。


 ソロならその単独の冒険者基準で一つ上のランクの依頼まで受けられるので、一足先にEランクに上がっていた自分とグリィ殿は、既にいくつかDランクの依頼を受けており、達成したり失敗したりを、三対七……いや、二対八くらいの割合でこなしているが……。


 まぁ、前回はそんな風に依頼を失敗してばかりだったところ、王都の冒険者ギルドのブラックリストに載ってしまい、出入り禁止となりかけたからな……今回はそうならないギリギリを見極める検証も大事になってくるだろう。


 そして今日……。


 冒険者学科の自分やグリィ殿、アクセル殿……魔法研究学科のカヤ殿……錬金術研究学科のアーリー殿という、学科の垣根を超えた冒険者パーティーで活動する自分たちが、学校でも一緒に活動できる機会が訪れた。


 それは、全学科、全学年、合同実習……。


 毎年、冒険者学科の先輩後輩を含めた全学年での合同実習や、同じ一年生、二年生、三年生でいくつかの学科が合同で実習することはあるらしいのだが……全学年の全学科が合同で実習することは、なかなかないらしい。


 そんな学校の歴史としても珍しい出来事が、プレイヤーが学校に所属している時期に起こるなんて、実にゲームらしい展開だが……その内容に関しても、同様の感想が持てるものだった。


 授業内容としては、遺跡調査の体験ということらしいのだが……その調査する遺跡というのが、なんと自分が以前ゴブリン掃討作戦でフランツ殿たちや他の先輩冒険者たち、多くの騎士たちと共に攻略し、そこ住み着いていた大量のゴブリンをせん滅した、あの洞窟の奥にあった遺跡とのことだ。


 あの遺跡は、自分たちがゴブリンを掃討してからはずっと国が管理しており、騎士や研究家たちが調査していたのだが、あまりにも広く、そして、比較的安全なことが分かったので、今回、学校の生徒たちの手も借りてみようということになったようだ。


 学校の各研究学科の生徒たちは、将来的に今遺跡を調査している研究家たちの部下になる可能性もあることだし、そういった面でも、今から実地訓練のようなことをしておいてもいいという考えで……。


 王族・貴族学科がそこに加わるのは、貴族が調査の指揮を執ったり、騎士として研究家の護衛をしたりすることもあるからで……職人学科は、単純に研究学科の補佐が出来るから。


 そして……冒険者学科は……。


 他の学科の先生方が引率として生徒と一緒に出払ってしまうと、当然、受けられなくなる授業が出てきて……戦闘系の授業など、元から科を跨いで合同で行う授業なども機能しなくなるから、という理由と……。


 危険度が少ないなら護衛としても役立つだろう、という理由……まぁ要するに、消去法による、ただのおまけである。


 色々なゲームをプレイしてきた自分からすると、遺跡調査や、トレジャーハンターのような仕事こそ、冒険者が張り切る仕事になりそうなものだが……どうやらこの世界では遺跡は全て国が管理することになっているようで……。


 遺跡を発見しても報告しなかったり、その遺跡を許可なく調べたりすると、最悪、犯罪奴隷となって、国から一生キツイ仕事を与えられるような立場になってしまうそうだ。


 どうしてそんな世界観設定になっているのか、詳しいところはまだ分からないが、そんな普通ならできない経験ができる機会が与えられるということを考えても、今回のイベントは本当にゲームらしいイベントではないか……。


 おそらく学園で発生するイベントの中でも大きい類であろう、この遺跡調査……一流のデバッガーとして……絶対に、隅から隅まで検証しなくてはならないだろう……。


 自分はそうして、この合同実習に大きな期待とやる気を満ち溢れさせ……そして……。


「フランツ先生! オース君がまだ来ていないのですが!」


 ……その授業開始の集合場所に現れなかった。


「あー、アクセル、同じパーティーで冒険者やってるお前なら分かると思うが、あいつはそういうやつだ……念押しするほどその逆の行動を取ろうとするあいつが悪い……放っておいて先に行こう」


「……くっ、了解しました……すまない、オース君……仲間として庇ってあげたいが、僕にはフランツ先生に返せる言葉が見つからない……」


 アクセル殿が一応は引き留めようとしてくれたようだが、どうやら失敗したようだな。


 だがまぁ、フランツ殿のいう通り、先週、これまでにないほど大勢での団体行動になるから、時間厳守で、絶対に遅刻するなと何度も釘を刺されたのだ……きっとああいった状況を耳にタコができると言うのだろうな……。


 デバッガーとしては、それだけやるなと念を押されたのであれば、逆にやらないわけにはいかないだろう……それがデバッガーの責務であり、自分が誇りに思っている仕事だからな。


 まぁ、実際には、教室の窓の外で壁に張り付き、フランツ殿が他の生徒たちに話していた注意事項などはきちんと聞いているのだが……それも注意事項を破ったらどうなるかの検証をするためなので、相手からすると聞いてないも同じだろう。


 とりあえず、この遅刻の検証結果としては、遅刻をしても問答無用でイベントは進み、プレイヤーは置いて行かれる、ということが分かった。


 プレイヤーが草原でステータスウィンドウを連打していても時間が経過する世界だし、ここで不自然に時間が止まって、プレイヤーの到着を待つ方がおかしいからな……つまり、ここに異常や不具合はないということだ。


 そうして自分は、つかず離れずの距離を保ちながらクラスメイト達の跡をたどり、切りの良いタイミング……では合流せず……あえて切りの悪そうな、学園長が全校生徒へ向けた挨拶をしている最中というタイミングで合流するのであった……。

▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【全耐性】:あらゆる悪影響を受けにくくなる

【全強化】:あらゆる能力が上昇する

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔術】:自分の魔力を特定の法則に則って思いのままに操れる

【錬金術】:素材と魔力で様々なものを生み出し、扱うことが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【サバイバル】:過酷な環境で生き残る力を最大限に発揮することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【採集】:自然物を的確に素早く採取し、集めることができる

【工作】:様々な素材を思い通りの物に加工することが出来る

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる

【古代魔術語】:古の魔法陣を読み解き、描き、呪文を詠唱することが出来る


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】

【権威を振りかざす者】

【禁断の領域に踏み入れし者】


▼アイテム一覧

〈水×26,000〉〈薪×110〉〈小石×1,070〉〈布×116〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×1627日分〉〈保存食×90〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×640〉〈獣生肉(上)×615〉〈鶏生肉×50〉

〈獣の骨×710〉〈獣の爪×260〉〈獣の牙×248〉〈羽毛×40〉〈魔石(極小)×64〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライム草×100〉

〈木刀×1〉〈着替え×20〉〈宝飾品×100〉〈本×100〉

〈体力回復ポーション×9〉〈魔力回復ポーション×5〉

〈冒険者道具×1〉〈調理器具×1〉〈錬金器具×1〉〈変装道具×10〉

〈掃除道具×1〉〈茶道具×1〉〈絵画道具×1〉〈手持ち楽器×4〉

〈金貨×11〉〈大銀貨×6〉〈銀貨×7〉〈大銅貨×4〉〈銅貨×3〉


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