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第九十六話 新キャラクターで検証 その二

 

「ふむ……こちらのことをよく分からないやつだと言うのは結構だが、自分も貴殿のことを知らないのだ、ひとまず名前くらい名乗ってもらいたいものだな」


 王立学校への初登校で朝のホームルームに遅刻をするという検証を終えた、最初の授業までの休憩時間……。


 教室の後方で雑談をしていたグリィ殿とアクセル殿を含む三人グループに、初めて声をかけてきた彼……なぜか【人族共通語】スキルが勝手に言葉を関西弁に変換してしまう独特のイントネーションで話す青年に対して、自分はさっそくキャラクター情報を収集しようと、とりあえず自己紹介を求めた。


「ん? あっはっは、それはそうやな……では失礼して……わいはウィル、王国一の情報屋を目指しとるFランク冒険者や、よろしゅうな」


 そして、軽快に笑ってから求められた通りに自己紹介をしてくれた、ウィルと名乗るその青年……。


 関西弁で情報屋の男性キャラクターと聞くと、糸目だったり、小さめのサングラスをかけていたりするような、見るからに怪しげなキャラをイメージしてしまうが、彼に関しては別にそんな怪しい雰囲気はせず、普通に元気で明るい学生といった雰囲気である。


 どちらかと言えば、学園が舞台のゲームで情報屋と聞いてなんとなく思い浮かぶ、あることないことを本人の許可を取らずに記事にしてしまう新聞部、というような雰囲気の方が近いだろうか。


「なるほど、情報屋と来たか、こちらこそよろしく……自分は先ほども名乗ったが、オースというデバッガーチームのリーダーで、ここにいる二人が……」


「デバッガーチームってのになった覚えはないっすけど、オースさんの冒険者パーティーに所属してるグリィっす、よろしくっす」


「同じく、共に冒険者として活動している、ソメール教国第三王子のアクセルだ、よろしく頼む」


 情報屋という単語が気になりつつも、一応、挨拶をされたらこちら側も返さなければと自分たち冒険者パーティーメンバーも簡単な自己紹介と挨拶を返す。


 きっと全体の自己紹介の時も言っているんだろうなとは思っていたが、アクセル殿はしっかりと自分の立場に関して隠すことなく明らかにするようだ。


 そんなことをすれば厄介ごとが後を絶たないような状況に陥りそうだが、検証という面で見ればそんな目に見えて危険な状況こそ率先して飛び込むのが正解だろう……うむ、やはり彼をデバッガーチームに引き入れて正解だったな。


 自分自身でもそんな厄介ごとだらけの状況を検証してみたいところではあるが、そちらに時間を割いてしまって他の検証に手が回らなくなってしまっては困るからな……これはいい役割分担と言えるだろう。


 しかし情報屋か……目指しているということは、この世界には普通にそういった職業が存在するということだろうか……。


 少なくとも今まで隅から隅まで検証しつくしたアルダートンや王都、グラヴィーナ帝国の帝都にはそういった店を見かけなかったが……ゲームでたまにある裏の情報屋というような設定で、世間的には全く違う店などを装いながら情報を売買しているのか?


 うーむ……ここにきてまた気になる検証項目が増えてしまったな。


「隣国の王子様に、噂の怪力娘に、意味不明な男……と……遠目から見てまさかと思うたけど、ほんまにこんな話のネタにしかならへんやつらが同じ冒険者パーティーとはな……」


「ほう……やはりウィル殿はこのパーティーに本物の王子がいると分かった上で話しかけてきたのか……素晴らしい勇気の持ち主だな」


「はっはっは、そうだな、僕としては同じ学校に通う学友には身分関係なく接してほしいと思っているし、自己紹介でもそういったが、そう言われてもなかなか出来ることではないだろう、ウィル君は自身の勇気を誇っていいぞ」


「そうっすねー、私もなんだかんだ慣れるのに時間がかかったっすから……って、いやいやいや、まぁ確かにそれも凄いっすけど、もっと突っ込むところがあるっすよ! なんすか、〈噂の怪力娘〉って! 並び的に私のことっすよね!?」


「ふむ……まぁ、それも気になるところではあるが……自分だって〈意味不明な男〉と不名誉な称号を与えられているのだ、お互い様だろう」


「オースさんのは自業自得っす!」


 うーむ……そういわれると、確かにこのデバッガーという職業があまり認知されていない世界での自分の行動は他人から見ると、それがいかに真っ当で計算のしつくされた完璧な行動であっても、理解できない部分が多少はあるのかもしれないし……。


 それを考慮すると、出会ったばかりで、おそらく自分が見ていない自己紹介でも特にまだ怪力と言われるような行動をしていないであろう彼女に対して、どうして彼はそのような称号をつけているのだろうか……。


 いや、〈噂の〉というくらいだから、もしかすると本当に世間的にそんな称号が広まっているのか?


 自分はそう疑問に感じて、久しぶりにグリィ殿のステータスを【鑑定】すると……。


 ……なるほど、確かにそんな称号が増えていた。


「ウィル君、僕は冒険者になってそんなに時間がたっていないのでそういった大衆の噂には疎いのだが、グリィ君はそんな称号持ちの有名人だったのか?」


「せやなー、有名かどうかでいったら、もちろん高ランク冒険者とかには負けるし、知名度があるわけやないけど、けったいな噂が好きな連中の中で少し話に上がるくらいには知られてるみたいやな」


「え? 私、知らないところで誰かに噂されてるんすか?」


「ああ、その連中は『アルダートンで低ランクに見合わない早さで大物を狩りまくってた怪力娘が、王都に活動拠点を移してさっそくドラゴンズベビーを狩ったらしいぞ』とか『いくら怪力娘でもそれはないだろう』とか『いや、俺はベビーじゃなくて本物のドラゴンを一人で倒したって聞いたぞ』とかいうとったな」


「ひぇー……いくら何でもドラゴンを一人でとか無理っすよ……人の噂って恐ろしいっすね……」


「はっはっは、別に悪い噂でもないし、あのトカゲを倒したのは本当だろう……明るい話題を提供できている分には言わせておけばいいさ」


「ほあ? ドラゴンズベビーを倒したんは本当なんか? あれも最近誰ぞに倒されたっちゅう噂と混じってついた、尾ひれの一つやと思うてたんやけど」


「まぁ、その倒したメンバーの一人っていう意味では本当ではあるっすけど……別に一人で倒したわけじゃないっすよ? アクセルさんも……あと一応、オースさんも一緒に戦ったっすから」


「はーん……王子様と一緒とはいえ、一応、嘘ではないって感じやったんかー……これはまた、ほんまえらい冒険者パーティーと一緒のクラスになってしもたなー……」


「こらこらウィル君、僕もそれなりに活躍できたと自負しているが、それでもやはりグリィ君やオース君の助けがあったから無事に倒すことができたんだ、まるで僕一人の功績のように受け取ってほしくない」


「っちゅうことは、やっぱりオースはんもそれなりに強い冒険者で、その討伐でも大活躍しとったりするんか?」


「うーん、まぁ……いや、確かに、たまに強いのは強いっすけど……その時は最初から最後までずっとトカゲに食べられてたっすねー……」


「最初から最後まで食われてた!? それはそれでよう無事やったなぁ……」


「はっはっは、そうだな、タフさでいったらこのパーティーで一番かもしれないな、身体的にも、精神的にも」


 ふむ……自分もあの時はトカゲの身体の中からせっせと毒攻撃を仕掛けて貢献していたとは思うのだが……まぁ、別にあえて公言する必要もないか。


 その後も、情報屋ウィル殿は、やはり裏の情報屋というよりも噂好きの新聞部というような形で様々な噂話を話してくれて、思ったよりもすぐにこのパーティーと打ち解けた。


 隣国の王子という権力者を前に動じない精神力と、人の興味を引く話題をうまく展開する会話力もさることながら、相手にそうと感じさせない気遣いや丁寧な物腰も兼ね備えていて、確かに会話での情報収集能力は高そうだなと感じる青年だ。


 流石、入力待ちの強制イベントで現れたキャラだけあって、クラスメイトとして話す最初のキャラクターとしては、これからも多く関わっていきそうな雰囲気のある人物だったが、このクラスにはまだまだたくさんのキャラクターがいる。


 もうすぐ最初の授業が始まってしまうだろうが、その次の休み時間でも、なんなら授業中でも、今後の検証のために、この調子でどんどん他のキャラクターの情報を集めていこう……。



▼スキル一覧

【輪廻の勇者】:不明。勇者によって効果は異なる。

【物理耐性】:物理的な悪影響を受けにくくなる

【精神耐性】:精神的な悪影響を受けにくくなる

【時間耐性】:時間による悪影響を受けにくくなる

【異常耐性】:あらゆる状態異常にかかりにくくなる

【身体強化】:様々な身体能力が上昇する

【成長強化】:あらゆる力が成長しやすくなる

【武器マスター】:あらゆる武器を高い技術で意のままに扱える

【武術】:自分の身体を特定の心得に則って思いのままに扱える

【魔力応用】:自分の魔力を思い通り広い範囲で精密に操ることが出来る

【実力制御】:自分が発揮する力を思い通りに制御できる

【薬術】:薬や毒の効果を最大限に発揮できる

【医術】:医療行為の効果を最大限に発揮できる

【家事】:家事に関わる行動の効果を最大限に発揮できる

【サバイバル】:過酷な環境で生き残る力を最大限に発揮することができる

【諜報術】:様々な環境で高い水準の諜報活動を行うことが出来る

【解体】:物を解体して無駄なく素材を獲得できる

【収穫】:作物を的確に素早く収穫することができる

【伐採】:木を的確に素早く伐採することができる

【石工】:石の加工を高い技術で行うことができる

【木工】:木の加工を高い技術で行うことができる

【調合】:複数の材料を使って高い効果の薬や毒を作成できる

【指導術】:相手の成長を促す効率の良い指導が出来る

【コンサルティング】:店や組織の成長を促す効率の良い助言ができる

【超観測】:任意の空間の全ての状況や性質を把握できる

【人族共通語】:人族共通語で読み書き、会話することができる

【人族古代語】:人族古代語で読み書き、会話することができる


▼称号一覧

【連打を極めし者】

【全てを試みる者】

【世界の理を探究する者】

【動かざる者】

【躊躇いの無い者】

【非道なる者】

【常軌を逸した者】

【仲間を陥れる者】

【仲間を欺く者】

【森林を破壊する者】

【生物を恐怖させる者】

【種の根絶を目論む者】

【悪に味方する者】

【同族を変異させる者】

【覇者】


▼アイテム一覧

〈水×34,000〉〈枯れ枝×400〉〈小石×1,690〉〈倒木×20〉〈布×100〉

〈食料、飲料、調味料、香辛料など×2000日分〉〈保存食×100〉

〈獣生肉(下)×1750〉〈獣生肉(中)×706〉〈獣生肉(上)×993〉〈鶏生肉×242〉

〈獣の骨×720〉〈獣の爪×270〉〈獣の牙×258〉〈羽毛×50〉〈魔石(極小)×64〉

〈革×274〉〈毛皮×99〉〈スライムの粘液×949〉〈スライム草×100〉

〈木刀×1〉〈着替え×20〉〈変装セット×10〉〈宝飾品×100〉

〈調合セット×1〉〈調合素材×100〉〈空き容器×99〉〈本×100〉

〈上治癒薬×6〉〈特上治癒薬×3〉〈魔力回復薬×8〉〈上解毒薬×4〉〈猛毒薬×5〉

〈筋力増加薬×3〉〈精神刺激薬×3〉〈魔力生成上昇薬×8〉

〈掃除道具一式×1〉〈茶道具一式×1〉〈絵画道具一式×1〉〈手持ち楽器一式×1〉

〈金貨×0〉〈大銀貨×0〉〈銀貨×0〉〈大銅貨×0〉〈銅貨×3〉


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