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2.淑女はほくそ笑んで決意する

2021/3/13 加筆修正


2話目です。

結構えぐめのR-18にならない程度のR-15表現が引き続き描写されています。

でもそれが彼女がそうなった理由でもあるのです。

まぁ前回のように8000文字超えではないのでやろうと思えば

もっと膨らませれるかもしれませんが、

そうしてしまうと流石にR-18になるので短くまとめたつもりです。

ではご覧ください。


???

『んっ……ここは……どこだ?』


目覚めた先に見たのは燃える家々と黒い靄になりつつある

人の形をした影だった

自分はその光景に何もできずにただそれを見ている

いや……見ているのではない、ただその光景に隠れているのだ

自分は何者だ?

何者の目線にいる?

自分が出した命令に従わないこの身体はなんだ??

すると自分の袖を掴むものが右後ろに感じ取れた



―――おねえちゃん。



お姉ちゃん?

いや俺は―――僕は―――じゃないぞ?

言葉が……翳む……そんな中自分が見る

その身体の主はその子に告げた



―――大丈夫、目が覚めれば全部悪い夢だから。安心して"アリスィア"



アリスィア?

今アリスィアといったかコイツ

アリスィアはこんな見た目の子供ではない

こんな齢一桁に見える、物心もまだつきそうにない子供ではないはずだ

仮にアリスィアとしてそう呼ばせているのはどこのどいつだ??



―――だから安心して眠りなさい。私が気を引くから。



すると自分の目線に立つ者は腰を上げ立とうとする

待て、火事なんだろう?

そもそもなぜ助けない?

なぜ隠れている?

なぜだ?

……何ゆえにその自分の身体は強張っている?



―――大丈夫、また会えるわ。きっとあなたを見つけるから。



またというのはどういうことだ?

2人で逃げれば良いだろうにどうして見つけるのか?

そこにいるだろうに



―――わかったよアリスおねえちゃん、ぼくずっとまってる



アリス……?

この身体はアリスなのか?

それに待ってるだと?

こんな場所でずっと待つだなんてこいつは何を考えているんだ?

死ぬだろうに、待つのではなくて逃げれば良いのに

どうして……



―――……うん、きっと会えるわ私の可愛い弟、アリスィア



未だ強張る身体の腰が上がり目線は再び燃える家々に映る

その光景を見る自分もまた身体の血の気が引いていくのを感じた

なぜならその家々に映る人の形をした靄は所々に骨のような白いものが見えて、

靄とは到底思えなかったからである

これは……まさか

と……思っていると燃える家々から目線は暗闇へ

そこでは悲鳴が絶えなかった

震える

自分が震えている

だが身体は震えずにその場所を通り過ぎる

何をしているのかを確認したかった、だが

その悲鳴には嗚咽が混ざっており

身体の主は必死に見ないようにしている

だが正直何が行われているのかは謎のままであった

そうして開けた場所に出る

そこは出口のような場所であった



―――もう出られない。私はもう行けないのね



何を言ってる?

出口はすぐそこだ、なのにどうして退いている

何を見ている?

身体がまだ強張っているのはなぜだ?

皮膚の表面がちくちくとざわついている

もうだめだ、そんなことを身体の奥で誰かが叫んだ

そして後ろを振り向かえるとそこに立っていたのは

白色の騎士のような甲冑を着た者達だった


……"アリス"は呟いた


アリス

「あなたたちはたすけてくれるの?」


白色の騎士

「この状況を前に何言ってんだよ糞餓鬼」



少女の身体はそう言われすぐに横に吹き飛ばされる。

メキメキと右腕の骨が砕け内臓が弾ける音ともに

吐血しながら嗚咽混じりに少女は見上げた。

騎士の背中には白い翼がありそれはとても美しく

純白でとても綺麗に美しく見える。

だが私はその美しい羽よりも足元から

微かに見える出口の先の光を見つめていた。

すると鈍い痛みとともに吹き飛ばされたときとは違う痛みが

身体の背から身体中に走り始めると私は身動きも取れず無抵抗のまま、

その華奢な身体を上下に道の泥とともに塗れ汚れていく。

中で何かが膨らむのようなまた鈍い痛みが来ると

空虚感と共に汚い命の結晶が私の身体を染めた。

そしてまた次々と蟻が食べ物に群がるように私の身体に白い蟻が囲む

私はそれに抵抗できずにただ受け入れていくしかない。

これはただの時間稼ぎだ、あの森で見た光景を見てしまったあの時。

私はどことなく察してしまった。

あの場に男はいなかったから、白い蟻はいたけれど。

出口の光がやがて消えて行く。

夜更けになるにつれ白い光は橙色になり私は身体についた

命の生臭い臭いに涙しながらそれでも我慢をする



―――悲鳴は上げたい



けれど何故かもうそんな気も失せてしまった

するとナイフが私の首筋をスーッと立てられて自我を取り戻す


白色の騎士A

『反応が鈍いぜお嬢ちゃん。

 首筋をスーッと切ればさ血の気が引いて頭が冴えてくるだろう?

 おっと……抵抗するなよ。

 このまま掻っ切ってやりてぇがまだうちの旦那が来てねぇ

 どこのどいつも栄養が足りねぇのか死んじまうんだよ

 だがお前は違う。ここまで犯してるのにも関わらず

 悲鳴は上げずに健気で良い娘だよお前……激しく壊してやりたくなるッ!』


白色の騎士B

『情緒不安定かお前、まだ俺もヤり足りねぇんだ。

 終わったら貸せよその"袋"』


白色の騎士C

『分かってるての。

 でも俺が言いたいこと分かるよな??

 お前は他の奴らとも違うてことだよ……安心しな。

 俺達もそこまで猿じゃねぇ。

 旦那の気分次第だがどうせ最後はそこで終わる。」


と慣れない鈍い痛みと空虚感が続いて身体はもう

どこが肌色なのか分からなくなっていた。

そうして足元に見えていた光はもうなく

今もまだ燃え続ける火がその蟻達を薄暗く照らす。

するとそこに一際でかい蟻が出てきた。

なにやら話しているがやはりそれも人間ではなく虫のようである。

私はその大男に腰を掴まれるとそのまままた鈍い痛みが身体を貫いた。

何やらその男は凄い凄いと言っているが私はもう抵抗できない。

そしてそのままその生命の結晶を受け入れた。

白濁に染まりまた中も外もぐちゃぐちゃになった私は

出されたことに何故か安堵した気持ちになっている。

そしてその時轟音が鳴り響く。


白色の騎士C

『なんだこの音は……?!』


白色の騎士D

『ティフォナス隊長、あれを……』


私は気力も体力も尽き果て死を待つばかりとなった

その身体の首を横に倒してその方向を見た。

見覚えのある小さい背の少年にアリスは起き上がることが

既にままならない身体を起こそうとしてその少年を必死に

見ようとするが蟻が多すぎて何も見ることが出来ない。

だが先ほどまでの空虚感が満たされていく

謎の安心感とそして畏怖が混ざり合った気持ちに包まれた。


???

「……ねェ……ちゃンを……返セッッッ!!!」


少年の瞳が紅く光り同時に血涙を浮かべた憎しみの顔で叫ぶ。


白色の騎士A

『なんだこのがッ―――」


とその場にいる数十もの蟻が一応に武器を構えていたが一斉に動きを止める。

そして直立不動のまま頭を地面を見るかのように、

人形から魂が抜かれたようにだらんと力を無くした。

その場でその状態になっていないのは大男とアリスだけ。

大男は叫ぶ。


ティフォナス

『なっ……貴様ら何をしておる?!!』


???

『―――』


すると大男の目の先にいる少年は何かに取り憑かれたかのように右腕を上げ、

そのまま右拳を何か掴むようにしてくるっと左右に回した。

すると直立不動していた蟻が一斉に自分の首を、

左右の両手を前と後ろに当て引き剥がす要領でぐるりと回してそのまま首が回る。

ゴキッという音ともに骨が砕け一斉に倒れ伏した。

甲冑から血と血ではない何かの液体を流しながら生気だけがそこからは消えている。

その光景にアリスは身震いしてなんとか起き上がると

いつの間にか身体に塗りたくられた白い生臭い結晶は

綺麗に消え、白く輝く身体が露わになっていた。

また大男は異常な力の前に腰を抜かすも、背後にいた

少女の純白な綺麗な身体に思わずその下心を大きくする。

大男は動けずにいたが少年は無視しアリスの方へとなおった。

そして少年が手を伸ばしアリスもまた手を伸ばした矢先、地面が割れる。


アリス

「えっ―――」


ティフォナス

『なっ?!!まさか崩壊かッ?!!』


大地が割れ少年は意識を失いそのまま倒れる。

それを大男が思わず抱きかかえるのを、崩れる大地の先で見ながら

アリスは手を伸ばすがそのまま大地の先で手が重ね合うこともなく

アリスは残された大地と共に地中に沈んだ。

大男は意識を失った少年を抱え一人その世界を後にする。

ただ大男は大天使の翼を広げまだ震える腕を必死に抑えつつ

意識のない少年を見て微笑んだ。







沈みゆく大地の中でアリスは絶望に染まっていた。

アリスィアを逃がそうと気を引いたのにも関わらず

その工程も虚しく何もかも塵へと化してしまったためである。

アリスは未だ生臭い結晶が自分のお腹の中にあるのを感じると

歯がゆい気持ちになったまま虚ろにまた遠くなる太陽を見つめた。


アリス

「ねぇ、神様―――いえ、神様なんてのがいるなら私はとうに死んでいるわよね。

 いたら良かったのに神様、あなたに最後の命乞いをしようとおもったの。 

 ―――でもね、神様。私絶望の中なのにどうしてか笑っていられるの。

 純血も、貞操も、人格も、粉々にされてそれでも私笑っていられる。

 壊れたのよ、不思議の国とその生き残りは。

 ―――いや、壊れたのは世界ではなく私自身なのよね。」


昔、父に聞いたことがある。

私の力を。

アリスィアの力を。

似て非なる二つの授かった力を。

私は決意する。

もう絶望しかないはずなのに決意してもう滅んでしまう大地に感謝を捧げる。

語りたくない歴史や想いも一緒に投げ捨ててしまって。

ありがとう、私にこの力をくれて。

ありがとう、私を侮辱してくれて。

ありがとう、私の処女を破ってくれて。

ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、

ありがとう、ありがとう、ありがとう、



―――お陰で私は壊れた(目覚めた)かもしれないわ。



私は"世界"を作る。

私の力は【終焉】、無限を有限にする力。

力は使いよう、私はそう言って無限に不変するこの不思議の国を終わらせる。

崩れる大地に手を触れてそれを一か所に収束させる。

まるでブラックホールのように。

そしてその収束させた地点を有限にさせ新たな世界を作る。

どこにでも普遍して存在し、だが干渉ができない世界と世界の間、”狭間の世界”を。

私はそこで何とかして間に合わせる。

アリスィアを、取り戻すために。

アイツらを終わらせるために。


アリス

「(―――狂ってしまったものを直す方法は壊すことくらいしかないわ。

だってそうでしょう?誰が直したがるの?そんな歯車。)」


アリスはそう言って有限の世界に足を踏み入れる。

その刹那不思議の国にまだ残っていた小さな生命を手に取って。


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