無題8
ひどい有様だ。家々は焼け落ち、黒こげた死体がごろごろ横たわっていやがる。人の腐ったひどい臭いに、ハエやウジがたかっている様子。私は初めてその光景を感じた。私はまだ、感覚というものを知らなかった。
女王の承認祭。今日新たな女王としてヴィクリーン女王が君臨なされる。ホールの中心では、貴族たちが楽しそうにダンスをしている。いや、楽しいという仮面をつけている。どうにも心地よくふるまっているのが気持ち悪い。
「おお、あなたも参加していたのですか。いやはや、今日は本当にめでたい日だ。記念に写真をとってくれないかね」
そうおっしゃられたので、私は仮面をつけて、「わかりました。では」と、笑いながらパチリと取った。
家には、愛犬の太郎がいた。太郎とともに夕飯を取った。太郎に「あしたも仕事だぁ。もう嫌だよぅ」と言った。
太郎は「ワン! 」と吠えた。