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1.

初投稿、初めて小説を書きます。

文章が分かりにくい、おかしなところがある、誤字脱字などありましたら、お手柔らかに教えて頂けると嬉しいです。

朝5時、馬屋番の朝は早い。

騎士様達が馬を迎えに来るまでに彼らの馬の世話をするためだ。


僕は寝ぼけた顔に水をぶっかけ、急いで着替え、ブーツに足を突っ込み、ふわふわ金髪のひどい寝癖もそのままに部屋を飛び出した。


急いで馬屋に行くと馬達はもう起きて僕が来るのを待っていた。

「みんなおはよう」

一頭一頭顔を見ながら挨拶をする。

僕の顔を見ると嬉しそうに顔を寄せてくる。全くかわいいやつらだ。


彼らとはもうすっかり仲良しだが、実はつい3日前に出会ったばかり。


つまり、僕…いや、私がこの城に連れてこられた日の翌日の事だ。私はまだ記憶に新しいこの王宮に連れてこられた日のことを思い出した。


私は小さな村で1人で暮らしていた。住んでいた村は小さかったけど、いい馬を育てる事で有名で、時々偉い人が訪れたり、馬を買って行ったりしていた。


私もその村で馬を育てる手伝いをしていて、私の世話する馬は健康でよく調教されていると村ではちょっと有名だった。

私は物心ついた頃から動物達の言いたい事が顔を見ればなぜか分かったし、私の言いたいことを動物達も分かってくれる、そんな不思議な力があった。


この力は私にとっては瞼を開けば目が見えるのと同じくらい自然な事だったし、村人にとっても私が動物達と話す姿は見慣れたもので、ありふれた日常生活の一部となって特に騒がれることもなく平凡に暮らしていた。


でも、4日前その平凡とはオサラバする事になった。


その日は珍しく仕事が早く終わったため、ワンピースに着替え、お隣のキャシーにハーブクッキーを焼く約束をして、ハーブを摘みにフンフン鼻歌交じりに出かけた。

「カーリー!ご機嫌だな!またハーブクッキーを焼くんならうちにも分けてくれよ!」

「大量に焼くから任せてよ!今日は疲れに効くアーラのクッキーだよ!焼けたら奥さんに渡しとくよ。」

いつものように村人たちに見送られ、森への小道に入ると、村の子ではない馬が一頭道端に佇んでいるのを見つけた。

「あれっ、きみどうしたの?主人はどこにいったの?」

いつものように話しかけるとじっと目を見つめた。きっと、主人にここで待つように言われたとか、そんな返答予想して。それなのに…

「はっ?王様が…私を?あなたの主人が騎士団長?ど、どういう事?」

彼からの返答はこんな小さな村では縁のない単語ばかりだった。

「驚いたな、噂は本当だったのか。」

ぬっと大きな影がさしたかと思ったら低い声が背後から聞こえ、私は飛び上がった。びっくりした!気配が無かった!!

振り返ると一目で騎士だと分かる30代くらいの背の高い男がいた。茶色い短く刈られた髪に頬に走る古い傷跡、鋭い茶色い目に私は少しびびった。

「き、騎士様?えっと、噂とは…?」

「この村に馬と話すケイリー・クーンという調教師がいると聞いてきた。君のことだな。少年だと聞いていたのだがまさか女性だったとは」


少年とは失礼な!!確かに邪魔だからと髪は短くしてるし、作業着の時は男の子だと思われがちだが…。私は少しむくれた。

「私はケイリー・クーンじゃなくて、カタリナ・クーンです。私の愛称がカーリーとかケイリーなんです。

それから、この子が王様が私を探してるって教えてくれたのですがどういう事でしょう?あなたは騎士団長様なんですか?」

鋭い茶色にビビりつつも気になって仕方ないことを聞いた。声が震えなかったのは奇跡だ。

「ああ。私は第三騎士団団長のパウル・ヴォルツマン。陛下があなたをお探しだ。村の長には話を通してある。悪いが王宮まで一緒に来てもらいたい。詳しいことは馬車の中で話す。」

突然現れたでかい騎士団長様は、拒否はできないと言外に言っていた。


それからは村の外にあった馬車にあっという間に馬車に乗せられて、195センチはあるだろう騎士様と2人、狭苦しく王宮までの道のりを行く事になった。


騎士様によると、これはこの国の人なら皆知っている事だが、先王が先日亡くなった。その先王が大層大事にしていた愛馬が最近元気がないそうな。先王の大事な馬を寿命以外で死なせるわけにはいかないが、王宮獣医でも原因がさっぱりわからない。そういえば以前いい馬を育てる村に馬と話すかわった調教師がいるという噂を聞いたような…。嘘かもしれないが、王様は藁にもすがる思いで私を連れてくるようにと命令したとか。


「そういうわけだ。さっきはろくに説明もせず悪かったな。しかし、噂の調教師というのは本当のようだが女性とは…まずい事になったな。」

はっ!まさか…

「あのぅ、騎士団長さま?私は調教師じゃなくて、ただ世話を手伝っているだけで…。それにまずい事って?」

女だから用はないって王宮に着いた途端放り出すんじゃないだろうな!そうなったら馬車にしがみついてでも村まで送らせてやる!!ウガー!!

「パウルでいい。調教師かどうかはたいした問題じゃない。それよりも、騎士団は馬屋番だろうと女人禁制、先王の愛馬でも馬は全て騎士団管理だ。陛下はどうなさるのだろうか。」

勝手に連れて来たくせになんて計画性がないんだまったく!と心の中で叫んでいたが目の前の鋭い茶色に睨まれないように大人しくしていた。


やっと王宮に着くとパウル団長はサッとどこかに行ってしまって、私は長い事上品な部屋で待たされた。いつ帰れるのかな、とか、村のみんな心配してないかな、とか考えながらぼんやり座って待っていたのだが、そろそろ豪華な部屋も眺め飽きてきたぞ、という頃にやっとパウル団長が戻ってきた。


「陛下から伝言を預かって来た。君には騎士団管理寮に住み込みで第一騎士団の馬屋にいる馬達の世話を命ずる。そこに先王陛下の愛馬であるロホもいるためよく目をかけるように。今までよりも多い給料を約束するとおっしゃっていた。

それから君は不本意かもしれないが隊の秩序と君の身の安全のために少年として生活してもらう。君が女性だと知っているのは陛下と私だけだ。困ったことがあれば私に言うといい。出来るだけ対処する。すまないな。」


パウル団長は申し訳なさそうに私の頭をくしゃくしゃに撫でると優しく目を細め、少年のお仕着せを渡すと出ていった。

頑張るぞ〜〜!

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