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リペイント・ワールド  作者: ベータ アルファΣ
一章 新たなる扉
4/5

"月華"


四話目の更新です!



◆古エリシャ王国 王都アテネ


サカキの視界に光が戻ると、サカキは大きな広場の中心部にいる事に気づいた。周りを試しに見渡してみると、ベンチや背の高い木々などがあり、多くの人々が思い思いに会話を楽しんでいるように見えた。


「へえ……ここが、王都。これが、ROね……。随分と活気に溢れているもんだな……文明レベルは良く分からないけど」


サカキが興味深げにその広場を眺めていると、何処と無く見覚えのある水色のポニーテールの女が声を掛けてきた。


「ねぇ、榊くんだよね?」

「……? あ、ああ。高津か」


サカキが待ち合わせ相手で間違っていないということを知れて安堵する高津。


「良かった、榊くんで合ってた! 間違ってたらどうしようかと思ったよ……」

「そういえば、同性のプレイヤーがいるとか何とか言ってたな。高津はプレイヤーネーム何にしたんだ? 俺はそのままサカキにしたんだが」

「ユズリハよ。榊くんと同じく、思いつかなかったから名前をそのまま使ったの」

「ユズリハか」


高津のプレイヤーネームを聞いたことで、ROを調べている中で見つけた名前に関する情報を少なくともサカキより知識があるユズリハに確認する。


「そういえば、確か…… MMOとかの中で現実の名前で呼んだらしない方が良いんだっけか」

「マナー?らしいね」

「これから気をつけないとな」


互いにプレイヤーネームを確認し合終わった所でユズリハが思い出したかのように提案する。


「とりあえず、此処から移動しようよ。お姉ちゃんと待ち合わせしてる場所に行きたいし」


先導をしているユズリハは少しばかりうろ覚えのようで、時々立ち止まりながら進んで行く。それによって流石に心配になったのか、サカキはユズリハに確認する。


「なあ、何処が合流地点なんだ?」

「えっと確か……レストランソロモンって名前の建物らしいよ、看板が出てるって」

「ソロモンって……えらく物騒な名前だな」


ソロモン。旧約聖書に登場するイスラエル王国の王。超常の力を持った恐ろしく強大で聡明な王。その名を冠するレストランとは一体、どんな魔境なのか。と推測するサカキに不思議そうな表情をするユズリハは、遂に看板を見つける。ソロモンと赤字で書かれていて、これ以上なく禍々しい感じをアピールしてくるような看板だ。


「 あったよ! 此処!」

「お、此処か。お姉さん、中に居るんだろ? 」

「うん」

「じゃあ、入るとしますか」


二人が黒いドアを開け、入るとそこにはモノクルを付けた大男が一人、立っていた。その男は二人の顔を一瞥すると、残念そうな顔をして口を開いた。


「いらっしゃいませ。此処はレストランソロモン。一見様お断りの店となっております。申し訳ございませんが……」

「あ、あの。ユズって人と此処で待ち合わせして居るんですけど……」


そのモノクルの男が全てを言い終える前に、ユズリハがそれを遮って説明する。その説明にモノクルの男は少しばかり眉根を寄せた。ユズから連れが後で遅れて来るなんて聞いていないとでも言わんばかりの顔だ。それでも、そこはプロらしく、頭を下げて笑みを浮かべた。


「なんと、ユズ様の御友人でしたか。これは失礼しました。では、ご案内させて頂きます。こちらへ着いてきてください」


二人が薄暗い店内をモノクルの男に着いて行くと、A-4と記されているドアの目の前を示された。


「はい、こちらにユズ様がおります」


モノクルの男に軽く礼をしてからそのドアを開けると、そこにはふてぶてしい表情を浮かべたユズリハにそっくりな女性が座っていた。二人が中に入るとユズは立ち上がり、二人の肩を叩いて笑みを浮かべた。


「やあやあ、我が妹。そしてその幼馴染の榊くん。久しぶりだね」

「ユズさん、久しぶりです」


サカキの挨拶の後、ユズは二人を座らせて先に来ていたユズが時間潰しの為に頼んでいた料理を食べながら話し始める。


「それでだね。面倒なので手っ取り早く説明するが、態々君たちをこんな所に呼んだ理由を言おうと思う。……君たち、勿論スキルの設定などはまだしていないね?」

「はい。直ぐにユズさんと会いに来ましたし。だよな?」

「うん。そんな暇は無かったよ」


サカキとユズリハは広場で合流したら直ぐにレストランソロモンを探し歩いた。だから、スキルを習得する時間なんて存在していなかったのだ。


「そうか、それは良かった。いいか、他人にあまりスキル構成などを見せたりするなよ。対策を練られたりして集団リンチに会う、なんてことも起こりうるのだからな」


スキル構成とは、この世界に於ける重大な個人情報の一つといっても過言ではない。何故ならスキル構成が人に知られればそのスキルに対するメタを取られかねず、完封されて此方は手も足も出ないなんてことが普通に起こっているのだから。ちなみに、それを防ぐ為に防音がしっかりとしている密室でスキルを決めることが推奨されている。本来ならチュートリアルで謎の声が教えるべきなのだが、チュートリアルではその情報を教えていない。


「盗賊やPK連中とかが普通に居る世界だ。延々とPKされたくないだろう? 」

「はい、それは勿論」

「良い返事だ。そういう事が無いようにここの個室のあるレストランに呼んだのだからな。それと、もう一つ。これは基本的な事だが……レベルが低い内は、あまりトッププレイヤー連中と争わない方が良い」

「トッププレイヤー……?」


首を傾げるユズリハ。ユズはその頭を撫でて、得意げな顔をする。


「トッププレイヤーって言うのはな。我が妹よ。私のような連中だよ」

「お姉ちゃんみたいな?」

「私は、この世界の中で "月華" と呼ばれているトッププレイヤーだ。私が言うのもアレだがな。そんなにスキルが強力じゃないし」


まあ、日頃から私程の才能ならばどの分野でも成功者になるのは世の摂理と豪語しているユズであるからして、トッププレイヤーと呼ばれるのも当たり前と思っているのに、妹の前では気恥ずかしいらしく謙遜するということから妹の前ではいい子ぶりたいらしいということをサカキは読み取り、笑いを堪える。そのサカキをジロッと軽く睨むとユズは話を続ける。


「そういうトッププレイヤー連中は持っているスキルが厄介な事がひたすらに強力な事が多い。戦闘になったらまず低レベル層では勝つ事ができないだろう」


トッププレイヤーと低レベル層では、レベルも違う。職業の階級も違う。スキルも、装備も、ステータスも何もかもが異なるのだ。それ故に、戦いの場で相対したら低レベル層は少しも持つことができないだろう。


「そんなに……」

「そういうものだ。それで、だ。以上の二つの事項を心に留めた上での本題といこう」






中々話が進まないですね……。


次の更新は明日になります。


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