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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

正義の声が聴こえるかい?

作者: チャットの復旧を願う一住民www略して住民www

時は現在 場所は日本の都市部、東京 だが少しばかし違うのは普通の人間と違う人間が生きていること。


しかしその違う人間とも普通に共存できた立派な世界だ。


え?違う人間とは?進化してセミ人間!とかカニ人間!とかでは無い。ただ少し異能な力を持っただけのこと


なぜ異能な力を持ったかというのは未だに原因は不明・・・。しかし進化論を説いたと言われる、「ダーウィンの再来」そう謳われた科学者は、こう言った「現人口は72億 7552万 100人、益々増えるだろう。能力者は進化ではなく、細胞の変化である。進化とは一方通行である。この者達は、別の道を辿った人類である。これは偶然起きるものでは無い・・・、昔から決まっていることだった」と言った


確かに古代文明からそう予言されていた。地球が終わるその意味は、今いる人類とは違う人類に成ること、さなぎが蝶に羽化することと同じことだった。


普通の人のことを通常類。能力持ちのことを、超〝脳力者”と分類される。


超"脳力者"は15年前から年々増えっていった・・・。


まあ分類されても、それを病気だーとか進化だーとか言っても、もう通常類は減る一方だから遅いんだけどね。











夜 十一時 2015年 季節 夏



夜の公園は一際感覚が鋭くなる気がする。


その公園は簡素なものだった。


周りには少し高めのすべり台と、ジャングルジムと鉄棒、砂場、弱々しく白い光を放ち、羽虫がブンブンとまとわりつく電灯。あとは昔からある錆の目立つ時計と大きな大きな松の木だ。


そこにいるのは、いかにも不良と言える素行の悪い3人と、学ランを来ていて足がガクガクに震えている紺色のショルダーバッグを持った、いかにもいじめられていそうな細い男だった。


「おい、太一、金は持ってきたか?」


そういったのは、灰色のパーカーを着て色鮮やかなキャップ帽をかぶった、いかにもお母さんを困らせていそうな男だった。


キャップ帽は友達最高!とか仲間最高みたいなことをホザクあほだ。


一時の感情に乗りやすい、中堅クラスの不良だ。


やりチンでどうしようもないくずだ。


頭もよくなく、しいての特徴ならムキムキの筋肉だけ!!だった。


三人の内一人はプラスチック製のベンチに足を組みながら座っている。あとの二人はその1人を守るように、立っていた。


その三人の前には、学ランを着ている男、太一がいる。


勉強はできるが運動神経と服のセンスは中の下で、女友達もいない童貞でオドオドしている男だった。


だから東京という名の街にいる太一は友達がいなく、母親とまあまあまな暮らしをしていた。


太一は顔をフルフルと横に振り、持ってきていないと答えた。


友達のいない太一に眼をつけたのが、いかにも俺達童貞ではありません。中学のころに同い年の女子中学生とヤりました。みたいな顔して、いていかにもお母さんを困らせている親不孝高校生達だった。


「はぁ、じゃあどうするんだよ俺たちの遊び代?なあどうする、ピンク?」


そう鮮やかなキャップをかぶった奴は聞いてきた。


もちろんピンクという、キラキラネームではない。


本名は桃色飛鳥だ。そこからピンクと名前を付けた。要するにあだ名だ。


ピンクは親が金持ちで、週2でジムに通うが怠けるのが上手で中背中肉に毛が生えた程度である。しかし自分の下半身に居る息子は日本人からしてみれば平均サイズの倍はあった。もしかしたら筋トレをすればするほど息子が大人になってくるのかもしれないというくらい成長している。


そして、性欲の権化である。まああんなもん出し入れされたら誰でも気持ち良いわな。死ね。



因みにそのジムに下っ端の二人も連れて。



「ああそうだなーなら、お仕置きだ。ほれよっと」


ピンクはニヤッと笑いスッと、右手を太一のほうに伸ばした。


すると太一は、ゆっくりと浮かんでいった。


「わっわっわ!!!」


太一は足や手をじたばたさせて、必死に抵抗するがフワフワと浮き、



「邪魔をするな」


そう面白くなさそうに言った。


左手も前に伸ばし、指をまるで傀儡くぐつを操るようにうごかして、ピンクの超〝脳力”で手足の自由も効かなくされた。


そう、ピンクの超〝脳力”は念動力、物を浮かす力。


そのまま三メートルの高さに達した。


三メートル、よくテレビで聞いてそれなりに高そうではないがもしもその高さから思いっきり投げられたら?


ピンクは両手を真上にかざし、白い簡易トイレのほうに腕を向けた。


そのまま腕に力を込める。


ピンクがやった順にそって、太一はトイレに勢いよく投げ飛ばされた。


太一の背中にずどぉぉんと音を立てて、当たった。


「げほ。げっほげほ。」


太一は涙を流し、呼吸が難しいようだった。


下手をすれば背骨が折れ、歩けなくなっていたかもしれない。


そのまま四つん這いの形になり、「オ゛エエエ」夕飯と胃液を吐いた。


「おい、太一のカバンの中身を探せ」


ピンクがそう言うと、仲間の鮮やかなキャップともう一人の金色の指輪は太一のショルダーバックを奪いとり、中身を探った。


中身は新品の本(中身は黒いカバーでかくされている)と折りたたみのシンプルな青と緑の財布だけだった。


「財布があるだろ?それの中の金、三人で山分けなハハ」


ピンクはそうにやけて言った。本当にこいつらは悪だった。


そんな時だ


「おい!なにをしているんだ!!」


ライト片手に警察官が一人、遠くから叫んだ。


のっそのっそと熊みたいな歩き方でその警察官はやってきた。


警察官は背が低くくひどいデブで吹き出物が沢山出ており、肩で息をしていた。


髪はボサボサで脂っぽい。そして、軽いテンパがかかっており何日も風呂に入ってないと思わせられる。


制服は夏用の制服なので半袖だが、お腹と、胸の辺りがピチピチで汚かった。


高校でも一人や二人は絶対百キロ超えてる奴いて、そういうやつって女子から嫌われるんだよなー。


太一は本能から察した。こいつは生理的に近づきたくないと。



助けに来てくれては何だが、あまり頼りに無さそう・・・だった。


デブ警察官は「ひぃーひぃーふーうーうー」豚の断末魔みたいに息切れをして「ふぅーふぅー」息を整えていた。本当に頼りに出来そうに無い。



三人は別に怯えてはいなかった。


キャップ帽と指輪はシャキンとどこで手に入れたかわからない特殊警棒を持って、ピンクは手を伸ばし、念動力が使える範囲まで待った。


「君たち、そこでなにをしているんだ?」


「別に何もしてないですよ、お巡りさん。ただみんなで遊んでいただけですよ」


指輪が作り笑顔を振りまいた。


指輪はそれなりに社交性があり、初めて知り合った人を表面化の〝友達”としてパシリやらなんやらに使う。もし女子ならそのまま肉体関係に陥るのだろう。


正直、くずだ。


指輪は何が愉快なのかわからないが、警棒を手のひらでポンポンと叩きながらそう答えた。


「そうか、でももうこんな時間だ、交番まで来てもらうよ」


「行くわけないじゃないですか、それにもうすぐに帰りますし」


じりじりと、話し合いは続いていた。


警察官と奴らとの距離は大体六歩の所で、警察官がピタッと止まった。


そこからピンクの念動力の範囲ぎりぎりまでで話をしていた。


「その財布は彼のか?」


と右手で持っている、懐中電灯で照らした。


「そうです」


ピンクが早々に答えた。


しかし


「じゃあ君のか?」


太一に優しく聞いた。


太一は無言でコクリと頷いた。


「そうか、じゃあまずは窃盗罪としてまず来てもらおうかな?きみもだけどね」


「はあそんなわけねえだろ。ピンクだってこういってんだから信じてやれよ!」


キャップ帽が荒々しく言った。


ほれ見ろ、こうやって怒り出す。


さも、自分達は悪いことを何もしてませんよ。とか言い出しそうなのに・・・、探せば出てくるだろうけども。


そして嘘をついている奴は、信じ込ませたいと口が汚らしくなり、嘘にうそを重ねる・・・


「でもね、見てごらんもう十一時三十分だ。」


自分の腕時計をライトで光らして見せた。


「まあ取り敢えず青少年保護育成条例にそってきてもらうよ。さあ」


と手を伸ばしデブ警官は手のひらを空に見える様にして指も上にして、まるで挑発をしているように来いとジェスチャーした。


クイクイとゆっくりやる。


キャップ帽はこのやろーと激情し、警棒を目いっぱい振る為に上に伸ばし、デブ警官の所まで一歩二歩と

近づき、渾身の力で振りかざす。


警官は仁王立ちのまま両手を下げて立っていて、よける素振りを一切しなかった。



そしてデブ警官は当たるぎりぎりまで避けず、キャップ帽を睨んでタイミングよく左足を後ろに引き、クルンと回りキャプ帽を後ろから抑え瞬間型手錠で拘束した。


拘束されたキャップ帽はぐたりと眠った。



瞬間型手錠とは・・・、対象の人の手錠にはめるだけで、瞬時に麻酔が付いた針を打ち込み黙らせる超"脳力者"捕縛用の手錠である。


デブなのに身軽に動けている。


「あーとりあえず公務執行妨害と見なして、君は現行犯逮捕ね。あとの2人はどうする?」


ライトでキャップ帽を照らし、聞いてきた。


狼狽(うろた)えるなデブ1人、さっさと倒して水嶋を助けるぞ 」


どうやらキャップ帽は水嶋という名前らしい。


だが、デブ警察官は1歩も動いてない。念動力の射程範囲に入っていないため、ピンクも太刀打ちできなかった。


警察官も無理には動こうとしなかった。


無駄な時間だけが過ぎていった。


太一はトイレの所で座って見ているだけだった。


先に動いたのは、溜息を1つ零した、デブ警察官だった。



「あーあー応答願います。こちら府中交番、府中公園に深夜徘徊している学生の身柄を確保したい。支給パトカー1台頼む」


淡々と状況を報告している。



────えーこちら交番から、至急応援に行く。十五分で着く。少し待て


こちらも淡々言っていた。だが、明らかに違うのは、女性と思われる高い、美しい声だった。


奴ら2人は口を開けてポカーンとしていた。


「えーてことで君たちを取り敢えず連行さしてもらう。ただし、拒否権や逃げたりはしちゃダメだよ?一様、最後の宣言ね」


二人は、顔を真っ青にして、驚いていた。


先に動いたのは、指輪だった。


指輪は大降りに力任せに降るのではなく前に突き、横に薙ぎ払い、細かく振っていた。


実際に大降りのほうがかわしやすい為、指輪の攻撃はよけにくそうだった。


それでも警官は両手を下げて臆することなく、バックステップを軽やかに踏み、足を前に出し転ばした。




その間ピンクはただチャンスを待っているように、じっと二人の戦いを見ていた。


太一はボーっとしていた。


指輪はハイキックをしたが、またデブ警官はクルンとまわって後ろに入った。


それに追いつこうと、指輪も後ろを向き、警棒を振った。


デブは2、3歩小股でバックした。


ピンクはにやけた。


今だ!と、ピンクの念動力の射程距離に入った。


デブ警官は、射程内に入った事を察すると前進しようとしたが時すでに遅し・・・。


ピンクは下半身の自由を奪い、歩けなくした。


指輪が顔面めがけてズドーンと硬い警棒で殴り掛かった。


当たった瞬間、デブ警察官の前腕がボキッと乾いた音が夜の公園に鳴り響いた。



基本警棒は自己防衛の為の物であり、必要暴力の為に使うものでは無い。


ましてや特殊警棒でも何回、何十回叩かないとあんな音は鳴らない。


まあ、その前に棒が折れるのだがな。


警官は、腕を交差する形で何とか耐えたが前腕ぜんわんは赤黒く腫れている。


確実に骨が折れていた。


2人の持っている特殊警棒は改造した物だろう。


骨が折れるなんてそうそう無い。


殴る部分をプラスチックではなく鉄にしている。


「ハァハァあ゛あ゛あ゛ぁぁ〜〜〜がァァァァーー」


膝から崩れ落ち四つん這いの様な形で痛みを(なげ)いた。


そして、ガサゴソと懐から何かを探していた。


2人はハハハと喜びハイタッチをしてから、スマホで写真を撮ろうと相談していた。


「コイツクソ弱ええwwどうする?撮る?撮るべww」


とピンクは笑っていた。


そのままカシャッと写真を撮った。多分、有名な青い鳥の某SNSサイトに挙げるのだろう。


本当のクソリア充(ゲロ以下クソ馬鹿不良)だ。


が、喜びは本の一瞬だった。


キャップ帽の手錠を外す前に、奴ら2人はデブ警察官の近くで後ろを向きながら、煙草を吸っていた。


吸い終わる頃だった・・・。


「〈壱速(いっそく)〉・・・っ!」


シュウウウウウウウと音がした。


まるで脂の乗った肉を焼くような、いい音がした。


2人は何事かと驚き振り向いた。


後ろにいたのはデブ警察官では、無かった・・・。


煙草を思いっきり吸うと、白い煙をゴフウゥゥと吐いた。


確かに制服を着ていたが別人がいた。それは筋骨隆々でさっきまで、推定150cm前後だったのに180c辺りになってさっきまでの全身にへばりついていた脂肪は無くなり、コンクリートブロックを思わせる程の筋肉に変わっていた。腕と脚も丸太に近いと表現して方が正しい気がする。



図太い首をゴキゴキ鳴らしてふうぅぅとと呼吸していた。


「よくもやったくれたな」


右手に持っていた煙草を思いっきり捨てた。


拳を鳴らして、ズカズカと歩いていった。


拳には沢山の小さな古傷があり、ゲンコツは潰れていて人を殴り倒すために特化した凶器と化していた。


腕と脚は丸太に近いほどの大きさだった。


「お前らは軽犯罪の博物館かよ。煙草に深夜徘徊、窃盗数えるだけでも酷いもんだな・・・」




「だから・・・正義の名の元に俺は」


そう言うとスーっと体を半身に動かし、右足に重心を乗せて左足はつま先立ちにして、右の拳をあごの近くに添えた。左の拳は若干高めに目線のあたりに添えて、脇を絞って小さく構えた。そして警官は深く呼吸を整えた。


「・・・お前らの行動を否定する!!」そう断言した。


それは死刑宣告をするかのごとく覚悟ある声でそう言い放った。


警官はさっきまで闘おうとするそぶりを見せなかった。


しかし、今やった動き・構えは〈猫脚立〉という攻撃に特化した空手の実践的な型である。


警官はシュンと音を立てて真っ直ぐに走った。逮捕をするために。 


警官の殺気は尋常ではなかった。


「か、壁っ!!」そう言い、指を二本、人差し指と中指を前に出す。


ピンクは防衛の為と念動力で壁を造った。



警官はドンっとぶつかりよろけたが直ぐに態勢を立て直して、スッと右にサイドステップを踏んでから指輪とピンクの所に向かった。



そう〈壁〉とは念動力で空気を固めて畳一枚分の広さにした技だ。その〈壁〉というのを警官の前に出したのだ。


ピンクまでの道のりは僅か七歩の所だった。


ピンクは両手を空高く上げた。


指輪は事態に把握できていないようで理解しようと少し時間が必要だった。


そのことにピンクは気づいたのと警官がダッシュでこちらに迫ってきていることを同時に理解して、念動力の力で指輪を操った。


そのまま操り、ダッシュで向かってくる警官と衝突させようとした。


要するにピンクは仲間を売ったのだ。この三人は屑で仕方がないほど屑だ。


「お、あああああ」


指輪は、戦争で敵兵にとどめを刺される直前なのにまだ足掻こうとしている五月蠅い負け兵を思わせられる。



警官も、押し出されて「盾にされた」とよくわかった。


しかし警官は動きを止めず、猪突猛進をした。


指輪と警官がぶつかる瞬間だった。


「おい少年!歯ぁ食いしばりなぁぁっ!」


フッと肺に空気を取り込み指輪の頭を押さえつけて地面に叩き、その反動を殺さず上にムーンサルトをした。クルクルと綺麗に回りドスンと地面に着地した。


指輪はピクピク、死んだ魚のようにして気を失った。失禁して。。。ざまぁwwwwwwww


目の前にはピンクがいた。


そして警官は、ご本の指先を揃えて前に突きだした。


これは〈貫手(ぬきて)〉という空手の立派な型だ。


それをピンクの目の前で、した。


どこのだれが見ても明らかだった。一人はムキムキの筋肉野郎でそれなりに武道の道にいる。もう方や普通の肉体で親のすねをかじる事と人をいじめないと気が済まないようなゴミ屑な脳みそを持つくそばかやろうで勝敗を握っているのは警官。果たしてどちらに軍配が上がるのだろうか?


しかし・・・ピンクはにやけていた。何回かしている、あのにやけだ。


ピンクがにやけるというのは何かしらの悪知恵が働いた時だからだ。たぶん今もだろう。


「超〝脳力者”対策基本法第七条一項・・・」


ドシーーーーーン!!!!!


何かが降ってきた。いや、表現の仕方が違うな。落ちてきただ。


周りの地面からは土ぼこりが起き、地面は十センチほど沈んでいた。


警官は倒れていてた。ピンクは「ひゃははははははははははははははははぁあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー」と歓喜の奇声をあげ、腹を抱えていた。


「はぁぁさぁてと」錆の目立つ時計を見て思い出す。  


・・・十一時三十四分・・・


無線でのやり取りを────゛十五分で着く”


あと十一分ッッ!!


ピンクは考えた。あと十一分しかないなら、二人をほっといて走って帰ろう。顔はばれているかもしれないがそんなこと気にせず、逃げようと。あの二人は捕まるだろうけど、パパとママの金の力、金力で何とかすると誓って・・・。


しかし、太一は殺さなきゃ意味が無い。


「なあ、太一、お前は殺す!金をさっさとよこさなかったからの罰だぁ」


そう言い、にやけてなく怒りに理性が飛びそうだった。


「ハァ、ハァ・・・逃げんなよクソ野郎」


太一は怖くて、逃げ出したかった。しかし、怖くて逃げたせなかった。まるで地面から鎖が出ていて、それが足に繋がれている様で動けなかった。手をジタバタさせても、汚いほふく前進をめいっぱいしている様にしか思えず、一向に進めなかった。


「ハァ、さあ、死ね」


ピンクは人を殺す事の恐怖を、道徳心を忘れていた。右手を伸ばして念動力の射程範囲まで近付いた。


ピンクは、太一の首を絞めた。


ぎゅううううと強く握り、殺そうとした。


「あ゛っあ゛、あっ」


太一は苦しくて苦しくてたまらなかった・・・。視界がボヤけてきた。もう、考える事も出来なくなり白目を向いていた。


でも、太一は死ねなかった。母さんを残して死ねない!と想った。心の中で何かが力をくれた。だから「た、助けて!」そう、警官に言った。喉からは声は出せなかった。でも、そんな理論なんかでは片付けてはいけないもの、それは勇気だ。多分届いてないだろう。小さい声だったし、距離も距離だった。それでも、でも・・・勇気を振り絞った。


ジャリッ。ジャリっ。

 

何かの音がした。


ピンクは振り向いた。


後ろには、大きな何かが居た。倒れていたハズのもの。



そう警官が立ち上がったのだ。警官はボロボロで膝もガクガクだった。しかも所々、小さく皮膚が切れて血が出ている。


さっきの落ちたものは当然だが、ピンクの念動力で作り出された空気の塊だった。警官が来るときに両手を上げげたのは塊を作る為だった。


警官は懐から白い箱に七つの星が付いているマークの十二タールの煙草と百円ライターを出した。


警官は立つのでもやっとの事だった。



ピンクは思わず、太一にかけていた念動力を解いた。


「おいおい、〈隕石(メテオ)〉を喰らっても立ちあがるのかよ・・・」


絶句していた。



ふらふらなのに立ち上がり、煙草に火を付けて、吸った。


「はぁはぁぎりぎり、〈弐速(にそく)〉・・・」そう言い白い煙を吐き出して、煙草を捨てた。


その瞬間さっきまでフラフラで血も出ていたのに、ジュウウウウと音を発して、回復した。しかも筋肉がムキッと引き締まった。


警官の超"脳力"は重度喫煙者用肉体強化(ヘビースモーキンガー・ドーピング)である。これはタバコを吸うことにより、肉体が強くなり、〈壱速(いっそく)〉、〈弐速(にそく)〉と連続で吸う(たび)に筋力が増す。そしてデブの時は温厚で優しそうな人だったのに超"能力"を発動させるための鍵となる煙草を吸うと傲慢になってくる。精神も強くなるようだった。


警官は、煙草アレルギーだった。厳密に言うとニコチンアレルギーだった。


しかし、煙草を吸うことによって肉体が強化されるのは、IgEアイジーイー抗体というものが作り出されるからだ。


免疫反応で作られた抗体で、抗体というものはタンパクでありそれが新陳代謝をうながし、筋肉を作って、太マッチョになり、ある程度の外傷も回復するという原理だった。


筋トレをするとメンタルも強くなると聞いたことがある。そういうことなのだろう。


「お前の勇気、ちゃんと伝わったぞ!」


太一にそう叫んだ。


そして、ザッと地面を踏み込み走り出した。ここら先は警官の維持とピンクの逃げ出したいプライドの勝負だった。



ピンクはまた両手を夜の星に〈隕石(メテオ)〉を作り出した。


隕石(メテオ)〉を作るのには時間がかかった。


三分で警官を倒した威力になる。その威力は上から軽トラックが落ちてくるレベルだ。


それに手を上げたままじゃなくては作れないというわけでは無い。手を上げていなきゃ、元気が集まるわけでも無いからだ。


念動力で作った力の球を打ち上げると、まるで意思があるかのように空気を暴食する。そして、できた球を落とすのだ。


これを使うのにはデメリットのほうが多かった。


まず打ち上げた場所にしか落とせない事。だからピンクは動かなかった。いや、動けられなかったのだ。


それに、打ち上げてからすぐに落とすと威力は警官を倒したレベルには届かない。


だから時間がかかる為、あまり使えない。


警官はまた走り出した。


ピンクも〈壁〉を作り〈隕石(メテオ)〉の時間を稼いだ。


しかし、〈壁〉は警官の回し蹴りでバリィィィンとガラスが割れる音を発して壊された。


「あまい!一度もらった技なんて二度目でどうにかなるんだよ!」



「なら、はあぁぁー」


掌を警官に向けた。ブウウンと音がして、ピンクはそれを掌で押し出した。


<念力玉>という、<隕石(メテオ)>の原理に近いものをピンクは作りだし、警官に飛ばした。


<隕石(メテオ)の時間稼ぎとしては寂しいものだった・・・。


警官は片手で弾いた。



そして〈弐速(にそく)〉で強化された身体で走ったためにすぐにピンクの元についた。


「お、お前は一体何者なんだよ!?やめろ!捕まりたくないんだー!」


「俺か?俺はな、単なるヘビースモーカーの警官だっ!!」


そのまま走ったスピードを生かして大木のごとく腕と大きな拳を後ろに引き、「うおおおおおお!!」とけたたましい声で殴り、ピンクの顔を潰した。


グシャと。


ピンクは後ろに二回、三回と転びぐてっと倒された。


警官はピンクの胸のあたりに立ち、拳を引いて殴る準備を、止めを刺す用意をした。



「お前の命はこの拳にかかっている。慎重に言葉を選んで発言すれよ」


低い声で恐々といった。


「ふん。何が掛かっているだ・・・。警官が・・・人を殺してもいいと思ってんのかよ・・・!?」


ピンクはかろうじて生きていた。 


でももう立ち上がる力もなく、超〝脳力”を使うことも"切り札"にしていた、〈隕石(メテオ)〉も使えなくなった。


出来ることと言えば呼吸すること、ぎりぎりの会話をする程度だけだった。


「超〝脳力者”対策基本法第七条一項・・・もし、特別公務員に対し超〝脳力”を使い反発した場合だけ警官の考えで超〝脳力者”生死を握ることをと認める。だ」


「はあ・・・はあ・・・これで俺も、終わりか・・・俺だってやっとあの組織に入れたのに・・・」


ピンクは涙を瞳に浮かべた。


「あぁこれで本当に終わりだ」


ズドンと地面に拳を打ち付けた。


「俺は警官であり、命は奪わない。さあ逮捕だ」


ガチャリと瞬間型手錠をはめ、麻酔で眠らせた。


公園の時計を見て、「十一時三十五分・・・逮捕」ピンクを捕まえた。


うーーーーとパトカーの独特でいやでも耳に入るサイレンの音が聞こえた。


「ふう、やっと来たか」


スタスタと太一のもとにきた。


「おい少年、立てるか?」と手を伸ばしてきた。


太一はそっと怯えるようにフルフルと警官の大きな大きな掌に小さな掌を乗せて、ぐいっと引っ張た。





そして、「少年、名前は?」


かれはそう尋ねた。


「ち、千田太一ちだたいち・・・、です・・・」ぼそっとぶっきらぼうに答えた。


  


パトカーが着き、そこから髪の長い女が拳銃を片手に、降りてきた。



「おーーい!朝比巡査ーー。こちらでーーす」


ぶんぶんと腕を振って場所を教えた。


「自分で歩けるか?」


太一は首をコクリと縦に振った。


警官は太一の体調を確認してから、朝比巡査の元へ行った。


朝比巡査は、長い黒髪でサラサラとしていて体は細く背は高かい。顔は整っていて長い眉とはっきりとした瞳で何かしらの自分の意思があるのだなと感じられる。


小さいミカンが乗っているのかと思われる程度の胸だった。まあ嫌いではない。


大和撫子(ヤマトナデシコ)と言われる様な女性だ。


「ねえ、青木、これはどういう事?説明してちょうだい?」


「まあまあ取り敢えず、説明は署でするとしておいて、運ぶの手伝って」


と緩やかに苦笑いをして、二人は三人組をパトカーに運んだ。


途中、「超〝脳力”使ってんだから、自分で運べるんじゃないのよ・・・」そうぶつくさと朝比巡査はぼやいていた。


見た目はすごい美人なのに、中身は少し残念な女性だった。しかもこの、高く、透き通る声はさっきの無線での声の主だった。


そして、二分辺りでまた、じゅううううううと音を青木からした。


青木はマッチョではなく汚い警官に戻った。


「あらら、戻ちゃった。ははは」


重度喫煙者用肉体強化(ヘビースモーキンガー・ドーピング)のデメリットは五分しか持たない事だった。まぁ、どっかの3分しか戦えない怪獣キラーで手から相手を死に至らしめる、光の光線を放つ奴らよりはましだね。




美人警官が乗ったパトカーで三人組は連れていかれた。三人組は目覚めたら、留置所の中とか、可愛そうだな・・・。いや、それなりの報いだし、ざまぁだわ。


「さてと、君も事情聴取の為に来てもらうよ。でも逮捕とかじゃないから怖がらなくていいから」


そう微笑み、太一の元へ歩み寄った。


「まぁちょっと遠いけどね」


そう言い、二人で夜に交番を目指した。


太一は兎のように怯えていて少し震えていたが、青木の後ろをついていった。


青木も警戒されていると知って、少しでも緊張をほぐす為に自分の身の上話を語った。


緊張をほぐす時は自分のはなしをするのが1番である。


事情聴取の際にはかつ丼とか飲食物は出しちゃダメなんだ。とか、昔は煙草を犯人に吸わして心を落ち着かして話を聞いたりしていたらしいけど、いまは法律でなくなったらしいとか等であった。

それでも太一は聞いてはいたけど無言だった。


「僕さ、この体型だからパトカー乗れないんだよねホント困っちゃうよ。さっきの美人な人にも不潔だなんだといわれて気持ち悪がられるし・・・そろそろ名誉棄損で訴えてもいいころだよね」なんて冗談まじりで愚痴を零していた。




はははと付け足してから、



太一は警官の2歩後ろにいる。 警官は太一頭をポン、ポンとゆっくり撫でてから、


「僕はさ、少しでも犯罪のない世界になればいいなと思ってるんだ。だって傷つく人を見たくないんだもん。まあきれいごとにしか過ぎないよね・・・。ははは」


青木は満点の星空を眺めながら、なにか自分の過去を思い出すように言った。


交番が目に見えてきた頃、太一はやっと口を開いた。


「あ、あの・・・、」


「ん?どうした?」警官は聞いた。


「ぼ、ぼくはそ、そんなきれいごとの世界の方が良いです」


「ありがとう」そう微笑んだ。




それからは朝比が三人組を事情聴取した。


あの三人組は身分証明書が自分の持ち物の中に入っていたため、名前と学校がバレ保護観察で終わった。


因みにピンクは桃色飛鳥  指輪は水嶋五月みずしまさつき・・・それなりに体格の良い馬鹿のくせに名前がそれって、考えられないわ。病院でやばれたりしたら、周りの人は驚くだろうな・・・。


指輪は礼藤敦れいどうあつし普通だな。敦だけ。


太一は事の顛末を少しずつ、青木に話していた。


自分があの三人からからいじめられていたこと。ピンクから、辱めをうけ、その写真をばらまくと脅されたこと、そして、母親に迷惑をかけたくないから言わなかったこと・・・。


家に来て母親を困らせられるのだけはやめて欲しかったので、渋々、従っていたこと。青木に助けてもらって事。を伝えた。


いじめられていて、あまり口数の多くない太一からしたら饒舌に話していた。


あとは、太一のお母さんが交番まで来て、帰らせるだけだった。



青木が太一のお母さんに交番まで来るようにと電話で伝えた。




「本当に迷惑をかけました」


深々と頭を下げたのは、太一の母親だった。


交番で十分としないうちに車で迎えに来た。



その後の話だが・・・あの三人組は、当然退学になり行く当てもなくニートになっていた。ピンクこと、桃色飛鳥は親に勘当され、出ていかされた。


学校の先生もいじめを無視していたのでクビになり・・・太一は近くの違う高校に移った。


これで一件落着だった。








その夜・・・・ピンクの首の写真を朝比巡査は青木に見せた。


ピンクの首にはあるタトゥーがあった。


赤い丸の中に気味の悪い髑髏、その周りには黒い炎があしらわれていた。


このマークはある組織のマークだった。


究極愚連隊アルティメット・・・だった。この組織は若者が中心で構成されていて、逮捕経験ありの物や、人殺しもいると聞いた。それに、日本中に支部があり、総合人数は、一万人とも言われている。


あくまで噂だが・・・それでも毎年奴らのうわさは悪いものだった。


最近ではヤクザも一役買っていて、成人になったら有能な不良はやくざコースらしい。まったく危ないものだ。ていうか、一つの軍隊じゃねーかよ!?




麻薬の密売もあるし、銃の売買、挙げるだけでキリがない・・・。まさに正義があれば悪があるといったものだ。




そう、ピンクは組織の一員になった。しかもこのタトゥーは「幹部補佐」の証らしい・・・。



究極愚連隊アルティメットとの抗争はいつかの話に・・・。


それでも正義の名に懸けて、必ず犯罪を食い止める!!

駄文ですが、読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 異能力者対異能力者というのは王道で、やはりいいですね。文章も重厚さはありませんが軽快でさっくりと読める文章だったと思います。 デブ警官の汚さだけで何故リアルに書いた。 [気…
2018/02/11 01:18 退会済み
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