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セミの鳴く頃に  作者: 水無月
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夏休み、始まり2

 しばらくは、そのまま硬直状態が続いた。

俺はまじまじと座っている少女を見ていた。肩くらいまで綺麗に伸びた茶色の髪、化粧っ気のない顔は目が大きく鼻もそれなりに高い、唇は小さく愛らしい。要するに整っていてとても綺麗だった。


身体も白のワンピースから女性らしいところがまだ発展途上ではあるが出ている。俺と同じくらいの年の子だろうと思った。しかし、こんなにも綺麗な子はクラスでも見たことがない。目を奪われた。少女は苦しかったのか頬が赤い。俺は今の少女の姿を絵に描きたい衝動に駆られたがそれをグッと抑え、聞いた。



「えっと、突然飛びかかってごめん。なんでこんなところに?君は、誰?」


はい、おかしいんですこの状況。おかしい点を挙げたらキリがない。頭が爆発しそうだ。キャパシティーを明らかに超えている。こんな美少女が突然現れるなど、この現代日本において起きていいイベントではない。

普通に考えてみても不法侵入でこの少女は不審者だ。しかし、ただの少女ではない。美少女なのだ。圧倒的美少女。急展開に置いて行かれた少年が現実逃避を続けていると少女が口を開いた。



「わたしは、ユイ。夜にインターホンを押したけど誰も出なかったし、終電もなかったからここにいた」


そういえば、昨日の夜にインターホン鳴ってたな、と思いつつ居留守がバレないようにポーカーフェイスを保った。





「その様子だと、居留守を使われていたみたいだけど」

少女は微笑みながらそう言った。どうやらポーカーフェイスは上手くいかずバレていたみたいだ。







 美少女が家に来た。

倉庫で少女ユイを発見し一悶着あった後、倉庫で話しているのもあれなので家に入れることにした。もちろん女の子を家にあげるのも初めてであるし、今は両親もいない。思春期真っ盛りの誠は心臓の音が家中に響いてしまうのではないかと心配になるくらい鳴っていた。なんとか緊張しながらも色々と彼女の事を聞くことができた。




彼女は、成宮唯。俺と同じ中二の十四歳。彼女の両親が俺の両親と親友同士だったらしく、なんと俺の両親と共にW新婚旅行をしているらしい。どうやら、俺は聞き逃してしまっていたらしいが、ちゃんと両親同士で話し合って決まっていたらしい。幼い頃何度かあっていたらしいが彼女の父親の転勤で遠くに引っ越してしまったのもあり、疎遠になった、という。


そんな彼女の両親は一人娘を置いていくのが心配だったらしく、俺の両親にその事を話し、息子である俺と一緒に暮らすことを提案し、向こうはそれを快諾した、らしい。




にわかに信じがたい事実である。もちろん、こんな美少女とひとつ屋根の下暮らすなんて心躍らないわけがない。しかし、物事には順序というものがあり、ましてや俺は十四歳思春期真っ盛りだ。性に関心がないわけがない。何か間違いが起こってもおかしくない。



何を考えているんだ!



と両親たちの行動に嘆きつつ、今俺は昼ご飯を作らされている。居留守を使った罰だそうだ。その美少女は現在ソファに座ってテレビをみている。お昼のニュースで政治家の汚職問題やら、建築企業の偽装問題など暗いものが取り上げられていた。何が面白いのやら。いや、ほかにやってる番組も同じようなものだから仕方なく見てるだけか。



茹でた麺を湯切りし、氷水で冷やし盛る。茹でている間に切っておいたハムと錦糸卵、きゅうりをバランス良く配置し、頂辺にカットしたトマトを乗せれば完成!

夏の風物詩、冷やし中華や!作るのも簡単だし美味い。これの後に食べるスイカは、格段おいしい。残念ながらスイカは我が家にはない。昨日の夜からなにも食べてないであろう彼女はさぞかしお腹がすいている事だろう。


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