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セミの鳴く頃に  作者: 水無月
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みんみん

 暑い。ただひたすらに暑い。この夏という季節はどうしてこんなに暑いのか。


まあ、俺はそんなに嫌いでもなくなった。この季節を繰り返すたび思い出す。

今とは違う、あの熱かったあの頃を。





 青く広がる空、雲ひとつないことをいいことに太陽がこれでもかと自己主張している。ドヤ顔で我らが生命にあふれんばかりの活力と熱を与えている。その王様のようにふんぞり返っている太陽を睨みつけながら、汗ばんだシャツを摘み身体との間に風を送る。

俺の名前は、折木誠。明日から始まる夏休みに心を躍らせている中学2年生。どこにでもいる趣味が絵を描く事の中学生。だがしかし、今年の夏は一味も二味も違う!




なぜなら、できちゃった婚で俺の面倒と仕事で忙しく、今まで新婚旅行にすらいけてなかった両親が夏休みに一ヶ月も新婚旅行でヨーロッパへ行っている。まるで漫画の世界の話のようではないか!


まあ、うん。女の友達どころか男の友達もいないんだけどね。

いや、別に容姿が変なわけではない。両親は美形なお陰でそこまで悪いわけではない、と願いたい。目が悪いからメガネを掛けているがメガネの似合う地味でそこらへんに一人はいるだろうという容姿だ。



そんな友達のいない俺は、県内で三番目くらいの私立に通っていて家から一時間弱、地元の友達とは疎遠になっているし、携帯電話もそもそも持っていないから連絡手段がない。


けどやったね、これでこの夏休みは両親が、俺が生まれた時に無理をして40年ローンを組んで手に入れた二階建ての夢のマイホームを我が城のようにふんぞり返れる。家臣は一人もいないんだけどさ。親には、この夏を乗り切っていけるくらいのお金はもらっているし、家事も一通り普段手伝っていたからやれるし問題はない、はず。

ともあれ、この一人楽しい夏休みに期待を隠しきれず興奮していた。

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