哀願歌
夜の学校は謎ということが伝われば嬉しいです。
「やっと…やっと、会いにきてくれた」
今にも消え入りそうな声で少女は、俺にしがみついてきた。まるで、俺にしがみついていないと生きていけばいと訴えでるかのように、少女は細い腕を伸ばししがみつく。
正直、訳が分からない。
こうなったのも1時間前のこと
☆ ★ ☆
「やっべー。ノート、忘れたからさきに帰っといて
俺、一回取りに学校いってくる‼︎」
俺、宮城 優也はふと思い出した。
そして友達の柏 恋には先に帰ってもらうことにした
恋は走る俺の背に「夜の学校には、気をつけろよ」と一言、声を掛けた。
俺が、もう少し恋の言葉に気をつけていたら…と今さら思う。
確かに、夜の学校は一味も二味も違った。
さっさと帰ろうとして、中庭を抜けた時だった。
黒いセーラー服に赤のネクタイ。腰まである髪をなびかせた俺ぐらいの少女がいた。
色白で細く、瞳はネクタイよりも赤い、燃えるような紅い瞳で驚いたようにこちらを見ていた。
☆ ★ ☆
「その瞳、髪、鼻、口、匂い、そして困った時の苦笑い…すべて、同じね。変わらないわ。ねぇ、久しぶりに、声を聴かせて。」
紅い瞳は俺の瞳を映しだす。
「俺はあんたなんか知らねーよ‼︎」
一瞬、紅い瞳は哀しさを映し、揺らいだ。
でも、すぐに俺に顔を押し付けて消えてしまうような声で呟いた。
「優也さん」
ゆっくりと名残り惜しそうに離れていく。
彼女の微かな匂いと温度が残っていた。
確かに、俺の名前を呼ぶ彼女は、ここに存在していた
彼女の一つ一つの動作は哀しみと憂いを帯びて、紅い瞳は俺に願いをともしていた。
最後まで読んで貰えて嬉しい限りです。