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王子様のお妃様候補

「カサンドラ様。ご機嫌ですね」

 ルークが素振りの手を止めました。「今日のおやつが好きなチョコレートケーキだからですか?」

「違うわよ!」

 もうっ!私がおやつのことしか考えてないみたいに!

 あー、ルークにも言いたいです!レオ様が理想の女性に出会ったことを!ルーク、絶対、疑ってますもんね!

 レオ様は帰って来たら、ローズマリー様と結婚の約束をしていると報告するかもしれませんね。ルーク、腰を抜かすかもしれません。


「ねえ、ルーク。レオ様のお妃様って、どんな人がいいと思う?」

「そりゃ、殿下の理想通りの女性が・・・」

「まあ、それは絶対条件よね」

 ルークはタオルで汗を拭いながら、

「そうですねー、殿下は妥協出来ない方ですから、心を癒してくれるような優しくて、暖かくて、穏やかな人がいいですね」

「ふむ。ふむ。それで?」

「それだけですが・・・」 

「そ、それだけ?ルーク、めちゃくちゃ条件をつけると思ってた!」

 ルークは眉をしかめて、

「自分にそんな権利はありませんし、殿下がどうしようもない女性を選ぶわけがないじゃないですか」

「まあ、そうよね」

「カサンドラ様はどう思います?」

「え・・・」

 私は少し考えて、「ルークが言う通り、レオ様が好きになった人なら間違いないものね。でも、ルーク。私、邪魔するんだけど、いいかしら?」

「はい?」

 ルークがぽかんとしました。

「だから、私、レオ様とレオ様が選んだ女性の間に立ちはだかる壁になりたいの!」

 私はそう言って、立ち上がりました。

 ルークは眉をしかめてから、

「熱でもあるんですか?それともやっぱり殿下のことが好きなんですか?」

 そんな怖い顔をしないで下さい!

「そんなわけないでしょう。ルーク。協力してくれるって、前に言ってくれたでしょう?」

「それは殿下の理想の女性がいたら。でしょう?カサンドラ様を疑っているわけではありませんが、自分の目で見ないと信じません」

「結局、私のこと疑ってるじゃないの」

「自分が見ない限りは信じません」

「・・・」

 私は頬を膨らませましたが、「まあ、いいですよ」

 と、言って、また座りました。

 すると、ルークが隣に座って、

「一応、聞きますが、壁とはなんですか?どうするんです?」

「!」

 よくぞ聞いてくれました!私は途端に笑顔になりますと、「障害が愛を強くするのよ!」

「はあ?」

「私自身は残念な出来上がりだけど、一応、私、五大公爵家の令嬢でしょう?」

「はい。一応」

「・・・」

 何だか他人に言われると傷つきますね。まあ、いいです。

「私とレオ様の間には友情しかないけど、周りはそうは見ないものなのよ」

 すると、ルークがやれやれと首を振ってから、

「既に見られてませんよ?」

「はい?」

「カサンドラ様は殿下の妃候補の筆頭だと思われてるんですから」

「・・・」

 私、唖然としました。な、何ですと?


 ルークは頭をかきつつ、

「ほら、自分が勘違いしてたでしょう?殿下がカサンドラ様にたぶらかされ、お、お二人がいかがわしい行為に嵌まってるとか、その・・・」

「あー、ルークったら、いくらなんでも酷いわよね。9歳でそんなわけないでしょう!」

「は、反省してます」

 ルークは頭を傾げるようにしましたが、「で、でも、あの時、抱き合ってましたよね」

「そうだけど・・・あの時はレオ様が慰めてくれただけよ。それより、ルークが勘違いしていたことと、私がレオ様のお妃様候補の筆頭になっちゃったことと何の関係があるのよ」

「噂を真に受ける人間がたくさんいると言いたいんですよ。自分は更に変な誤解をしてましたが・・・。殿下は元々、心を許している人間以外とは話しすらしません。笑いもしないです。ですから、殿下は気難しいとか冷たいとか言われてた・・・あ、今もですが。でも、そんな殿下がカサンドラ様には交流会などでとても親しく接していて、この、カーライル公爵家に良く来ていたでしょう?お忍びだったわけでもないですし、皆、知っていて、カサンドラ様目当てだったと思われたんでしょう。こういう噂は広まるんですよ。こうなると、例え、リバーに会いに行っていただけだとしても、通用しないんですよ」

「ひぃっ」

 こ、怖い!噂って、怖い!

 私はぶるっと震えましたが・・・。


 ん?


 ゲームでは、カサンドラがレオ様にべったりだったり、自分でレオ様とは将来を誓い合った仲だと言い触らしていたのです。それをローズマリー様は知り、苦悩するのです・・・。「と、言う事は・・・」

 私は全く何もしてませんが、初めて、悪役令嬢の役目を果たしたと言うわけですか?うーん、微妙です・・・。

 あっ!そうか!

 だから、マーガレット様はレオ様の心をしっかりつかんでおいた方がいいと言ったんですね。やっと、意味が分かりましたよ!


「それにしても、カサンドラ様。アナスタシア殿下の誕生日パーティーの時、周りの方々に噂されてましたよ?気付きませんでした?」

 ま、まじですか?!

「ぜ、全然・・・ねえ、私、構わないと言えば、構わないんだけど、私、どう思われてたのかしらね。レオ様のお妃様候補にしては、大したことないとか言われてなかったかしらね・・・」

 あんな目つきの悪い、悪役顔のどこがいいのかしら。とか。

「それが・・・」

 と、ルークは言いかけて、吹き出します。

「な、何ですか?!」

「き、華奢な殿下のお相手にしては大きすぎるとか、良く食べる方だとか・・・」

 ・・・この後、ルークは大笑いました!ひ、酷いです!


 ですが・・・私、王都で食べ過ぎた後、そのまま放ったらかしにしていた為、顔とウエストがパンパンのまるまるなんです!

 顔とウエストがパンパンのまるまるの悪役令嬢なんて、有り得ませんよね。

 や、痩せましょう。ローズマリー様のライバルに見えるように・・・。


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