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シーア様と噂話

 私、カサンドラ・ロクサーヌは強い決意と共に、王城へとやって参りました!

 

 既にたくさんの招待客の方々が来られてます。五大公爵家の交流会よりも大規模です。何でも約500人の方が来られるそうで、どうして、こんなに増えたのかしら?と、アナスタシア殿下自身、首を傾げてました。

 アナスタシア殿下はフォルナン侯爵夫人の元にいた時にお友達がたくさん出来たそうです。

 と、言う訳で、お友達を一人呼べば、家族もついて来ますし、今まであまり表に顔を出さなかった王女様とお近づきになりたいと言う事もあり、招待客が増えたのでしょうね。

 にしても、ひぇーです。緊張します!

 五大公爵家の交流会は身内の集まりと言った空気感があって、毎回知っている顔ばかりになってますので、さすがの私も緊張しなくなっていましたが、王城での豪華なパーティーです!全く違います!

 広ーい玄関ホールで招待状を呈示し、いざパーティーが開かれる大広間に入りました!

 おー、豪華絢爛と言う言葉が似合いますね。あの大きなシャンデリアの下敷きになったら、確実、死にますねー。なんてことを、私が思っていますと、

「キャス。ぽかんと口を開けないの。ちゃんと閉じてなさい」

 と、母に注意されました。

 は、はい。すみません。


「キャス!」

 サラ姉様が人の間を縫うようにやって来ました。

 サラ姉様は両親とリバーに優雅に挨拶してから、私の前に来ると、

「まあ、キャス。そのネックレス素敵ね。キャスにとっても似合っているわ」

「あ、ありがとうございます。王都のお店で買ったものなんです。そ、それより、サラ姉様、ピンク色のドレスなんて珍しいですね!」

 サラ姉様はお気に入りの黄色ではなく、ローズピンクのドレスを着ています。

「シーア様と色違いで作ったのよ。私に似合うか不安だったんだけど・・・シーア様が自分と近い色がいいっておっしゃったから、決めたの」

「とっても素敵です!」

 ジャスティン殿下もメロメロになることでしょう!

 ちなみにシーア様とは、アナスタシア殿下のことです。色々ありましたが、将来の姉妹として、仲良くしているそうです。良かったです!

「ありがとう」

 サラ姉様は照れながら、「シーア様、すごく緊張しているようだから、少しでも、気分を軽くしてあげたくて、お揃いでドレスを作ったのよ」

「緊張・・・そうでしょうねえ・・・」

 私なら倒れます。

 私がうんうんと頷いていますと、歓声が上がりました。

 両陛下がこの大広間に入られたのです!

 招待客の全ての方々が頭を下げます。

 国王陛下が良く通る声で顔を上げるようにとおっしゃいました。

 お隣りの王妃様はにこやかな笑みを浮かべています。

 ちなみに見た目だけですが、ジャスティン殿下とクリス殿下が国王陛下に、レオ様とアナスタシア殿下が王妃様に似ています。

 

 すると、大広間が暗くなりました。

 そして、後方にある大きな扉にライトが当たります。

 扉が開き、ジャスティン殿下とクリス殿下のおふたりにエスコートされながら、アナスタシア殿下が入って来られました。

 サラ姉様と同じデザインの淡いピンク色のドレスを着たアナスタシア殿下はとっても可憐で妖精さんみたいです!

 緊張しているのか、顔が強張っていましたが、ジャスティン殿下がそっと耳打ちすると、アナスタシア殿下は笑みを浮かべました。おー。ジャスティン殿下もやっぱりお兄様なんですねー。


 私が何だか暖かい気持ちで、ジャスティン殿下たちを見ていますと、

「まあ!アナスタシア殿下のお可愛らしいこと!」

「王妃様のお若い頃にそっくりね」

「ええ、本当に」

 近くにいるご婦人方が小声で話しています。

「そう言えば、レオンハルト殿下はお城から離れていらっしゃるのよね」

「ええ、剣術の修行だとか」

「王族にあまり必要だとは思えないけど、本当のところ、何かあったのではないかしら?」

「ねえ、ご家族と上手くいってらっしゃらないんじゃなくて?」

「気難しい方らしいものね」

「そうだわ。ジャスティン殿下よりご自分が国王陛下に相応しいと思ってらっしゃるのではないかしら?」

「まあ、ご兄弟で争いが起きるかも?」

「いやだ。楽しそうにおっしゃらないで」

「あなたこそ」

 ・・・なんて風に楽しげに噂話をしています。

「・・・」

 何にも知らないで!と、私は腹が立ちましたが、ポンコツな私に何が出来るわけもなく・・・。


 すると、誰かが咳払いをしました。

 私だけでなく、噂話をしていたご婦人方もそちらを見ます。

 何とアンバー公爵様でした!

 アンバー公爵様は噂話をしていたご婦人方を睨みました。

 当然のことながら、ご婦人方は肩をすぼめながら、そそくさと離れて行きました。

 私がぽけーっと見ていると、アンバー公爵様は私に向かって、片目を閉じました。

 いつも無表情なアンバー公爵様のお茶目な仕草に私は驚きつつも、笑ってしまいました。

 サラ姉様も一部始終を見ていたので、くすっと笑いました。

 ・・・あの夜、レオ様とアナスタシア殿下を救うために集った私たちは仲間意識のような物が芽生え、あれから、アンバー公爵様は私やサラ姉様と良くお話をしてくれるようになりました。・・・アンバー公爵様のお話はちょっと長いですけどね。


「こんにちは」

 アンバー公爵様の後ろから、シュナイダー様と花束を抱えたルークが現れました。

 それぞれ小声で挨拶を終え、

「ルーク。似合ってるー」

 と、私が言いますと、ルークは渋い顔をして、

「やめて下さいよ」

 私は笑ってしまいましたが、

「朝早くに買いに行ってくれて、ありがとう。とっても素敵な花束。ルークのお母様は本当に器用よね」

 お母様を褒められたせいか、ルークは嬉しそうな笑顔を見せましたが、

「それより、誰が渡すんです?」

「あ、そうでした。シュナイダー様」

「はい?」

「私が髪飾りを渡しますから、シュナイダー様が花束を渡して下さいますか?そ、その、従兄弟ですから、リバーやルークより相応しいと思うんです」

「・・・分かりました」

 少し間を置いた後、シュナイダー様はそう答えて下さいました。


 私は上手く言えて、ホッとしました。


 

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