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キャス、王都へ行く。その1

 アナスタシア殿下が1年が経つのを前に王城へ帰って来ると言う知らせをアナスタシア殿下自身から頂きました。

 ・・・ふふ。実は私、アナスタシア殿下とも文通仲間になっていたのです!あの筆不精王子とは違って、アナスタシア殿下はちゃーんと、色んなことを書いてくれますよ!

 ですが、お互い、シュナイダー様の話題は避けちゃってます。アナスタシア殿下からすれば、私、ライバルになっちゃいますもんね。いや、もちろん、私なんかがアナスタシア殿下に敵うわけがないのですが。

 だって、性格も良い子になっちゃったんですよ!私の父を愛してるなんて、お馬鹿なこと(失礼です)なんか言わなくなりましたし、あの愛くるしい笑顔で、国王陛下のおば様であるフォルナン侯爵夫人のご家族の皆様をめろめろにさせているとか。うーん、もう無敵かもしれませんね。

 フォルナン夫人は残念ながら、めろめろにはなっていませんが、1年も経たずして、親元に帰ってよし。と、おっしゃったそうです。ただし、フォルナン夫人が1ヶ月間、王城で過ごしながら、様子を見ることが条件で、両陛下の方が戦々恐々とされているそうです。

 そんなアナスタシア殿下から泊まりがけで王城に遊びに来ないかとのお誘いがありました!お帰りなさいの会をするそうです!


「わ、私、王城なんて、恐れ多いわ・・・」

 私、もうビクビクです。

「で、返事は出したの?」

 と、リバーが聞きます。「サラ様も来るんだろう?じゃあ、いいんじゃない?キャスが行かないと僕も行けないよ」

「?!リバーは行きたいの?!」

 も、もしや・・・。


 すると、リバーは眉をしかめて、

「アナスタシア殿下目当てじゃないか?とかやめてね。まったく、キャスはすぐそういう方向に持って行くんだから」

「うっ」

 私の可愛い弟は鋭いです!

「王城に興味があるんだ。将来の職場だしね」

 何だかドライですねー。ですが、一応聞いてみましょうか。

「でも、リバーだって、もう12歳よ。気になる女性とかいないの?」

 恋をしていなくて、その色気が出て来るはずがありません!

「全然」

「・・・」

 即答です。逆に心配です。「で、でも、ほら、レオ様にはちゃんと理想の女性像があるでしょう?リバーにはそういうのもないの?」

「ああ・・・レオ様も何て言うか、ほんと子供だよね」

 リバーはしれっと言いました。

「!」

 問題発言です!「ど、ど、ど、どういう意味?!いいじゃないの!素敵じゃないの!」

「キャスとレオ様は同レベルだからね」

 リバーは鼻で笑います。

 鼻で笑われました!ショックです!


「まあ、レオ様のことはいいけど、僕の理想は・・・」

 おっ?!リバーにも理想の女性像があるんですね!

 私がドキドキワクワクしながら、リバーの答えを待ってますと、リバーはちょっと照れたように、

「サラ様、あ、いや、サラ様みたいな年上かな」


「ぎゃああああっ!」


 た、大変です!ジャスティン殿下!うちの弟が横恋慕しようとしてますよ!完全に負けますよ!

 ああ。困りました。ジャスティン殿下なんかより(失礼です)、弟が大事ですが、応援なんか出来ません!

 リバー、ダメです!そんな禁断の恋に走ってはダメです!

 ・・・でも、サラ姉様がリバーと結婚したら、私がサラ姉様の姉になるってことですかね?『キャス姉様』って、サラ姉様に呼ばれるんですかね。

「わ、悪くないですね」

 なんて風に私がにやにやしてますと、

「僕の冗談ひとつで、そこまで飛躍させられるなんて、キャスは想像力に富んでいて、本当に感心するよ」

「!?」

 お姉ちゃんをからかわないで下さい!


「まあ、それは置いといて。王女様からのお誘いなんだから、断るなんて失礼なことはしないでね。王城が恐れ多いなんて理由なんか、以っての外だよ」

 と、リバーがやや怖い顔をして、言いました。

 で、ですよねー。

 私、早速、ご招待を受け、王城へ行きますとの返事を出しました。


 その後、お帰りなさいの会ではなく、月をずらして、アナスタシア殿下の誕生パーティーになるとの知らせがあり、人をたくさん呼んで、豪華に行われるそうです。ひぃっ!

 アナスタシア殿下はレオ様がいないのに。と、遠慮したそうですが、今まであまり人と交流をしてこなかったので、これをきっかけにするべきだとフォルナン夫人がおっしゃったそうですし、レオ様も『派手にやってもらえ』と手紙に書いていたらしく・・・アナスタシア殿下は今はとても楽しみにしているそうです。


 と、言うわけで、私たちは王城へ行くことになったのです。

 ところが、たくさん、人が招待されるのなら、自分たちは泊まることは遠慮しようと母が言い出し、結局、王都の観光も兼ねて、王城近くにあるカーライル公爵家の屋敷で1週間程過ごすことになりました。

「キャスが王城でお泊りなんて、私、胃に穴が開くわ」

 ・・・本当の理由はこれでした。

 お母様は心配性ですね。これでも私、成長したんですからね。まったくもう。少しは信用して下さいよ。



 出発前日の夜、リバーに荷物チェックをされ、ダメ出しを何回もされましたが・・・。


 王都へ向かって、GO!なのです!



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