表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/216

神聖な儀式です

 私、カサンドラ・ロクサーヌ。12歳になりました!!

 レオ様がいなくなって、寂しい毎日を送っていましたが、今日はテンション上がり気味です!


 私とリバーは今日が誕生日なのです! 


 と、言う事は!


 そうなのです!魔法を使うことが出来るのです!


 そういうわけで、現在、魔力を制御している術を解いてもらう為、馬車で教会に向かっています。

 ちなみに父は仕事が忙しいそうで、今日は母だけです。

「ああ、良かったわ」

 と、母、マリアンナがほうっと満足げな溜め息をつきました。

「何がですか?」

 と、私が聞きますと、

「あなた、攻撃魔法の特性がないでしょう?」

「・・・はい」

 全く納得していませんけどね!


「神様に感謝しないと!」

 母は空に向かって手を合わせました。

「何をですか?」

「だって、あなたが攻撃魔法なんて、そんな恐ろしいこと、私、耐えられないわ」

「はい?」

「だって、何をやらかすか分かったものじゃないでしょう!お父様のように火系の攻撃魔法を唱えることが出来ても、あなたが黒焦げになるかもしれないわ!」

 母は超真剣ですが、そんなこと有り得ませんよ。

 だいたいそんなことになったら、逆に器用なくらいじゃないですか?


 私が何だかなあ。と、思っていると、私の隣で笑いを何とか堪えていたリバーが、

「僕もその方がいいよ。僕が黒焦げになる可能性もあるからね」

「はっ!」

 それもそうですね!いつも一緒にいるリバーがとばっちりに遭う可能性の方がありますもんね!

 私、自分が不器用で残念なことを忘れてました!

 ここはリバーの為に攻撃魔法のことはすっぱり諦めましょう!

 治癒魔法の遣い手として、有名になってやります!(目立つの苦手なくせに)

 私が気持ちも新たに燃えていますと、

「キャスはほんとに単純だなあ」

 と、リバーがぼそっと言いましたが、私、燃えてますので、聞こえません!


 教会に到着し、3人で祈りを捧げますと、サンタさんみたいな牧師様が、

「12歳のお誕生日おめでとうございます。早速、制御の術を解きましょう」

「はい」

「ふぁい」

 と、私とリバーは答えました。先に答えたのはリバーです。・・・分かります?ですよね。


「では、お母様はこちらでお待ち下さい。おふたりはこれから地下に行きますからね」

「!」

 な、何ですと?!

「さあ、行きましょう」

 牧師様が先に歩いて行きます。

「ち、ちょっと、キャス。歩きにくいよ」

 私にがっちりとしがみつかれたリバーが言いました。

「だ、だ、だ、だって、地下って、怖くない?」

 牧師様とリバーがランプを持って、やや薄暗い階段を降りて行きます。

 な、何故、わざわざ薄暗い階段を降りて行くのですか?もっと、明かりを点けて下さい!落ちて、首の骨でも折ったら、どうするんですか?!

 はっ!もしや、生贄の儀式だったりして?!

 あっ!それよりもです!双子は縁起が悪いから、後に生まれた子を殺した。なんてお話を前世で読んだことがあります!

 となると、優秀なリバーは生き残り、残念な私は・・・。


「ぎゃあ!」

 私は自分勝手な想像にもかかわらず、怖くなって、思わず、悲鳴を上げてしまいました。

 薄暗い階段に悲鳴が響きます。その悲鳴はくぐもって聞こえ、自分の声だとは思えませんでした。なので、私は更に怖くなってしまうと、

「ぎゃあああっ!!」

 更に大きな悲鳴を上げました。

「うわあっ!」

 と、それに驚いた牧師様が悲鳴を上げ、姉の悲鳴には慣れっこのリバーですが、牧場様の悲鳴にはさすがに驚いたようで、

「わあっ!」

 と、悲鳴を上げました。


 しばらく、悲鳴の合唱が続き・・・。


 無事に階段を降りきった私とリバー、牧師様でしたが、息も絶え絶えでした。

 やっと、息を整えた牧師様が・・・。

「・・・神聖な場所で行う、神聖な儀式ですので、お静かに」

「「申し訳ありません」」

 私とリバーは声を合わせて、謝りました。


 階段を降りてすぐの所にあるドアを牧師様は手で示して、

「では、お姉さんの方から先に・・・」

「ひぃっ!」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・僕から先にお願いします」

「・・・そうですね」

 ・・・牧師様とリバーはいそいそと部屋に入って行きました。


 3分後、リバーが出て来ました。

「リバー、大丈夫?!爪はちゃんとある?!」

 と、私が詰め寄りますと、

「何故、爪・・・」

 リバーは呆れたように言いましたが、「さあ、キャスの番だよ」

「い、痛くない?」

「全く」

「牧師様、怖くない?」

「早く行かないと、怖くなるかもね」

 と、リバーは言うと、私の後ろに回って、肩を押すと、「大丈夫だから。ルークもシュナイダーも何ともなかったって、言ってただろう?」

「そ、そうよね!ルークはともかくシュナイダー様がそう言ったんだもんね!なら、大丈夫よね!行ってくる!」

 私は意気揚々と部屋に入って行き・・・。

「ルークがかわいそー・・・」

 ドアを閉める瞬間、そんなリバーの声が聞こえました。だって、それはしょうがないでしょう!


「ドアはしっかり閉めて下さいね。鍵もかけて」

 部屋に入ると、牧師様が言いました。

「ふ、ふぁい・・・」

 私は震える手で鍵を閉めました。

 部屋の中央には教卓みたいな台があって、

「さあ、こちらへ」

 牧師様と私でその台を挟むようにして、立ちます。「祈りを捧げるように、手を合わせて、俯いて。それから、目はしっかり閉じなさい。とても眩しいですから」

「ふぁい!」

 閉じますとも!


 私が言われた通りに手を合わせて、目をぎゅうっと閉じていると、牧師様が私の名前を呼んだ後は、何やら呪文を唱え始めました。

 1分くらい唱えた後、目を閉じていても分かるくらい部屋の中が一瞬カッと光りました。

 そして、

「もう目を開けていいですよ」

「は、はい」

 私が目をしばたいていると、

「あなたのその魔力が正しいことに使われますように。神のご加護がありますように」

 と、牧師様がおっしゃいました。

 何と有り難いお言葉でしょうか!

「ありがとうございます!」

 私は頭をがばーっと下げました。

 牧師様は驚いたようですが、顔を上げた私に、にっこりと笑いました。


 私、治癒魔法しか出来ないので、間違ったことに使いようがないですけどね・・・。




 早く『魔法学園』に入学しろよと思われそうですが、レオ様が帰って来た時のことも書きたいですし、魔法のことにもちょっと触れたいので、ご容赦いただけたら、有り難いです。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ