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双子の教育と魔法

 弟、リバーはさすが次期カーライル公爵なだけあり、優秀です。二回の人生を送ってる私なのに、勉強でも勝てません。

 いや、野崎明日香だって、勉強は出来た方ですよ?だって、ぼっちだったので、勉強するしかなかったですからね。トホホ。


「今度、アンバー公爵家にお邪魔するから、お辞儀の練習をしないとね」

 と、母であり、家庭教師でもあるマリアンナが言いました。

 5歳になると、いよいよ五大公爵家同士の交流会に参加することになるのです。

 もちろん、跡継ぎでない女子も(五大公爵は女子にはなれません)参加するので、私、カサンドラも頑張ります。


「はい」

 と、さすが双子ですね、同時に答え、同時に『我が国の歴史』なる教科書も閉じます。

 跡継ぎでない女子はダンスやらマナーやら社交界デビューに必要なスキルを学べばそれでいいのですが、私、リバーと同じ勉強がしたいと言いました。

 父、アンドレアスは私のやる気を褒めてくれ、賛成してくれました。上目遣いでお願いすれば、ちょろいものです。

 母、マリアンナは娘のどもり、噛み噛みの原因である緊張しやすいところを心配し、何より礼儀作法を完璧にする方が良いと言っていたのですが、そこは可愛い弟です。

 『僕、お勉強もダンスも全部、キャスと一緒にしたい』と、言ってくれたのです!密かに泣きました。・・・その日は独り言が凄かったらしいです。私は、記憶にありませんが。

 なにせ、私たちは双子です。性別は違っても、切磋琢磨しながらの方が二人には良いに決まっているのです。

 ただ、リバーが『剣術も一緒に』と、怖いことを言いやがったので、当然無視しました。


 剣術以外では、いつもリバーと一緒です。双子ならではの絆を感じます。

 だからこそ、将来、ヒロインとカサンドラの板挟みになって苦しむのでしょう。

 ちらりと、『ヒロイン、他に行け』と思うのですが、こればかりはどうしようもありません。

 魔法学園に行くのだって、揺るぎのない決定事項ですからね。

 『神様みたいなもの』にも、悪役令嬢の役目を全うすると宣言しましたし。ストーリーに抗ってはなりません。


 ちなみに、魔法ですが・・・。

「つまんない」

 私は、口をへの字にしています。

「何言ってるのさ。キャスはすごいよ。治癒魔法なんて、特性がなければ、出来ないんだよ」

 可愛い弟はそう言いますが、

「治癒魔法しか出来ないのよ?雷をどーんと落としてみたかったのに」

「怖いこと言わないでよ。他国とはそれなりに友好な関係を築いているし、もう100年も戦争はないんだよ?治癒魔法が出来た方がいいじゃないか」


 いや、悪役令嬢が治癒魔法しか出来ないって、期待外れもいいとこですよ!

 おかしいです。ゲームのカサンドラは火と風の属性を持ち、超攻撃的です!

 何故、ゲームと違うのでしょう。納得出来ません。

 『神様みたいなもの』に聞こうと、空に向かって叫びましたが、出て来てくれず、いよいよ頭がおかしくなったと、両親、弟、使用人さんたちに心配されました。


 この世界では、魔法の属性として、火、水、土、風、光、闇、の6つがあります。属性は誰でも持って生まれて来ますが、魔法を使えない人は体内に魔力を作り出す核がないのです。それは特別なことではなく、カルゼナール王国以外では、そのケースの方が多いのです。


 ちなみに優秀なリバーは、火、風、土の3つの属性があり、私は、水と光です。悪役令嬢が『光』ですよ。意味不明です。


 またまたちなみにですが、稀に全属性を持つ人がいます。王族には良くあるケースですが、実は、『魔法学園でつかまえて』のヒロインは全属性持ちです。敵ながら素晴らしいですね。


 またまたまたちなみにですが、洗礼式の時に何の属性持ちなのかと魔力量を計測します。

 魔力量は魔法が使えない人は百ポイント以下です。

 我が子が魔法を使えないことにショックを受ける親はたくさんいるようですので、その場合、今後どのように教育していくか、魔法が使えないと知った子供の心のケア法などを王国付きの専門機関からレクチャーを受けることになるそうです。


 魔力量が何ポイントあるか。自分が魔法を使えるか使えないか。それを知らせ、分からせておくのは早ければ、早いだけ良いと言われています。

 魔法を使えないから、だめな人間だ。と、思わないようにさせるには、幼い時からの言い聞かせが必要なのです。

 また魔法が使える側にも、魔法が使えないからと見下すようになってはいけないと、こちらは厳しく躾られます。


 私たち双子が魔法の属性、魔力量について、両親から教えられたのは、ごく最近です。

 私とリバーは屋敷内の図書室にある本を読んである程度のことは分かっていましたので、両親から属性と魔力量についての話があると言われた時は、非常にどきどきしました。

 なんせ、前世があまりに残念でしたからね。ここでも、残念な結果になるのではないかと、心配でしたが、余裕の3万ポイントでした。飛び上がりたい気持ちになりましたが、レディは耐えなければなりません。

 私の魔力量、3万ポイントはとても高い方で、普通は5千あれば、五大公爵家の面子は保てるのだとか。

 リバーは2万8千強です。私の方が高いです。これも意味が分かりません。

 王族の方はどれくらいなのでしょうか。ヒロインはどうなのでしょうか。


「早く魔法学園に行って、本格的に魔法の勉強がしたいなー」

 と、リバーが言います。

 基礎的なことは、それぞれの家で親なり家庭教師なりが魔法学園に入学する15歳までに教える義務があります。

 それを教えてもらうのは精神と体のバランスが安定する12歳からだそうです。

「そうね」

 私は頷きました。嘘ではありません。だって、『雷どーん』を諦めてなんかいません。これだけ魔力量があるのなら、何とかなるかもしれないじゃないですか!


 ですが、可愛い弟、リバーはあえて黙っています。

 雷系の魔法は土の属性がないと使えないことを・・・。


 光じゃないの?!



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