我が国と五大公爵家
そうです。現世の我が国のことを少しお話します。
我が国、カルゼナール王国はいにしえから魔法大国と呼ばれており、魔法の力で勢力を拡大し、この世界一の大国になりました。他国は忌ま忌ましく思っているでしょうが、おいそれと攻め込むことは考えてもいないでしょう。
さすが魔法大国と呼ばれるだけあって、魔力を持った人間は王室はもちろん、平民にもたくさんおります。
王室付きの魔術師には平民出身の方も多数いらっしゃるそうで、魔術師の任を与えられた時点で、準男爵位も賜ります。最高で伯爵位にまで上れます。と、言うわけで、この国では身分よりも強い魔力を持った人間が優位に立てる可能性があります。ですから、優れた魔力を持つ跡継ぎを望むあまり平民と婚姻を結ぶ貴族も中にはいます。しかし、それは稀で(こうなると、魔法どうこうより愛がある場合ですね。羨ましいです)、大抵は愛人として、囲い、子供を産ませます。
でも、それは危険ですよね。王族はもちろん絶対的な存在です。王族の血筋は魔力も圧倒的だと聞いています。血筋自体も大変重要です。
しかし、それ以上の魔力を持つ人間が現れたとして、その人間が野心を持てば、自分が国を治めたいと思うのでは?
平民には、限界があります。どこまでいっても、伯爵位まで。ですからね。伯爵位は、貴族院の議員にはなれますが、需要ポスト、例えば、大臣になることは出来ません。多分、王族や大臣が先のような危険を感じ、そう言った法律にしたのでしょう。
しかし、平民は無理としても、大臣になった人間には王室を脅かす脅威となりうるのでは?野心のない人間なんていませんし(それでも、国王になろう。などとは普通は思わないでしょうが)。
そして、王族はそれをも危惧するようになったのでしょう。
そうならないために、五大公爵家が存在するのです。
五大公爵家の人間は大臣にはなれません。何しろそれ以上の力を持っているからです。貴族院で可決されたとしても、五大公爵が認めなければ、国王の採決を得ることは出来ません。
何より、五大公爵家は王族を守る為に存在します。盾でなければならないのです。ですから、五大公爵家は常に一枚岩でなければならず、一人の公爵だけの力が上になると言うことはなく、五人は平等です。
その為、幼い時から、互いの公爵家を行き来し、交流を深めます。五大公爵家のみが集まる食事会があり、月に1度どれかの屋敷を会場にして、行われます(王族の方なら出席出来ますし、もちろん招待もします)。
人間には好き嫌いがあって、一枚岩なんて、無理だと思われるかもしれませんが、五大公爵家であることの誇りは何をも優先されます。個人の感情なんて、取るに足らないことなのです。
父、カーライル公爵アンドレアス・ロクサーヌは、子供の頃はあの家のあいつが嫌いだったなんて話していましたし、会議があれば、罵声を浴びせ合うこともあるそうです。それを聞いた時は心配になりましたが、母の話では、五人の公爵が並ぶところを見ていると、互いを補い合い、支え合うと言った空気を感じるそうなのです。年齢の違いもあると言うのに、不思議なものです。
長くなりましたが、乙女ゲームにおける舞台では、五大公爵家なんて関係ないですし、5人いる攻略対象キャラ全てが五大公爵家の人間ではありませんしね。
じゃあ、長々と説明するなよ。と、思われるでしょうね。まあ、いいじゃないですか・・・。我が国の事を知ってもらいたかっただけなんですよ。