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二人だけでお話を

 その後、私、嫌々ながらもレオ様に膝枕をされ、髪を撫でてもらいました

 ええ。恥ずかしくて、とても嫌だったんです。でも、髪を撫でてもらっているうちに気持ち良くなり、寝てしまいました。しょうがないです。私の唯一の特技は『どこでも寝れる』ですから。

 ですが、ハッと目覚めてみれば、レオ様の膝に涎を垂らすと言う大失態を犯しておりました。ぎゃあっ!

 レオ様は大笑いしただけで、怒りませんでした。良かったです。


 そんなこんなで、二人でリバーたちがいる客間に行きました。

 少々、不機嫌なリバーと安定の無表情のシュナイダー様、まだ青ざめているルーカス・・・。

 ルーカスは立ち上がると、

「殿下!カサンドラ様!改めて申し訳ございませんでした!」

 と、言って、土下座しました。この世界に土下座をするという習わしはないです。


「お、お前は何をしているのだ」

 と、レオ様が驚いて言います。

 ルーカスは頭を下げながらも、その頭を左右に傾げた後、

「・・・お、お詫びの気持ちを表そうと思ったら、なぜかこうなりました」

 無意識ですか。凄いですね。

「騎士の息子がそんな真似をするな。すぐに立ち上がれ」

「はいっ!」

 ルーカスはレオ様の言葉通りすぐに立ち上がりました。凄いですね。膝痛くなりませんかね?


 ルーカスは私がレオ様に膝枕をしてもらっている間にリバーとシュナイダー様にレオ様や私たちのことを聞いたそうです。

 レオ様は日々の鍛練も勉強も疎かにしていません。

 ただ我が家に来る日は朝に行う術剣の稽古を嫌がり、逃げていました。ですが、それは初めの頃の話です。それをルーカスは聞いたのでしょう。情報古すぎです。

 レオ様はリバーを相手にして、稽古をしていますし、勉強も私が加わりますが、ちゃんとしています。最近ではシュナイダー様も一緒です。『ども噛み』完治前は、3人の議論を聞いているだけでしたが、今では私も仲間に入り、自分の考えを言うようになりました。『ども噛み』関係なく、たどたどしい話し方になる時もありますが、3人は急かさず、辛抱強く聞いて下さいます。とても嬉しいです。やっと、仲間になれたような気がします。


 そして、レオ様が私にたぶらかされているなんて噂はそもそもありません。

 ルーカスが私がレオ様をたぶらかして、いかがわしい行為をしていると思い込んだのは、王城に五公爵家の交流会に参加された女性が城で働く侍女さんにこう話したことを耳にしたからなのです。


『レオンハルト殿下がカーライル公爵様のお嬢様にべったりでー。それが本当に微笑ましいのよねえ』

『まあ、見てみたいですわー』

 ・・・これです。


 それがどうして、ああなったかと言いますと、

 『微笑ましい』を『いやらしい』に。

 『見てみたい』を『見苦しい』に。

 聞き間違い・・・と、言うより、勝手に脳内変換してしまったようなのです。

 思い込みとは恐いものですね。

 つい『お馬鹿さん』呼ばわりしましたが、しばらくこう呼んでも、良いのではないでしょうか。


 私はルーカスの前に行くと、

「ちょっとお話があるのだけど、かまわないかしら?」

 と、悪役令嬢らしく、ツンと顎を上げて言います。

 ルーカスはおどおどすると、

「な、なんでしょうか・・・」

「二人だけでお話をしたいの。別の部屋に行きましょう」

 それをレオ様が聞いて、

「キャス、ここで話せないのか?」

「はい」

 私はキッパリと言いました。

「・・・」

 レオ様とリバーは怪訝そうな顔をします。

「キャス・・・あんなことがあったばかりだぞ。大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。じっくりお話をしたいだけですから」

 と、私は言ってから、リバーをじっと見つめました。

 姉の『お願い光線』に気付いて下さい!


 すると、リバーは溜め息をつきましたが、

「レオ様、大丈夫だと思いますよ。二人だけで話をさせてあげましょう」

 さすが双子です!リバー!『ありがとう光線』も送りますね!

「リバーがそう言うなら、分かった」

 レオ様も折れて下さいました。

「ありがとうございます」

 私は丁寧にお辞儀しました。


「さあ、行きましょう」

 と、私が先に歩いて行きますと、

「は、はい」

 ルーカスはびくびくしながらも、私の後について来ます。


 大丈夫ですよ。悪役令嬢ですが、鞭で打ったりする趣味はありませんから。



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