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レオ様とシュナイダー様。その1

 私、憧れのシュナイダー様の前でやらかしてしまいました。

「キャス。落ち込むな」

 レオ様が慰めてくれます。「そんなことでいちいち落ち込んでたら、生きていけないぞ。だいたい、今日だけで、何回やらかすと思ってるんだ?」

「はあ・・・」

 ごもっともですが・・・。

「なあ、シュナイダー。気にしてないよなあ?」

「ええ。全く」

 シュナイダー様は当然の無表情ですが、私、嬉しいです!

「あ、ありがとうございまし、シュナイダー様」

 私は思い切って、シュナイダー様にお礼を言いました。


 現在、シュナイダー様の案内で、カーライル家に用意された部屋へ向かっています。

「いえ」

 シュナイダー様が短いですが、答えてくれました。

 私が暖かい気持ちになっていると・・・。

「キャス。私は誰だ?」

 と、レオ様が聞きました。

「レオしゃまでし」

「これは?」

 レオ様がシュナイダー様を指差します。

「シュナイダー様でし」

 レオ様は首を傾げて、

「シュナイダーしゃまにならないんだな?」

「レオしゃまはなるでしか?」

「なるわけがないだろう!だいたいシュナイダーに様はつけないぞ」

 あ、それはそうですね。

「シュナイダー様・・・」

 と、私がつい声に出しますと、

「はい?」

 と、シュナイダー様が私を見ました。

 わわっ!私、声に出していたんですね!


 私は真っ赤になると、

「そ、そにょっ、レ、レオしゃまとにゃかが良いんでしねっ」

「・・・従兄弟ですし」

「そ、そうでしたに!」 

「ええ」

 ・・・すごいです!私、シュナイダー様と会話してます!もう、今日は帰っていいですか?!


 ですが・・・。

「・・・」

「・・・」

 後は会話が続きません。

 私はコミュニケーション能力なさ過ぎですし、多分、シュナイダー様も似たようなものでしょう。私に興味もないでしょうし。はぁ。

 

 シュナイダー様が足を止め、部屋のドアを手で示すと、

「こちらです。何かありましたら、中のベルを鳴らして下さい」

「シュナイダー君。ありがとう」

 と、父はお礼を言ってから、「殿下。お待ち下さい」

 私と手を繋いでいたレオ様まで案内された部屋に入って行こうとしているのを父が止めました。

「何だ。カーライル」

「何だではありません。レディが身支度をするのですから、入ってはなりません」

「うむ」

 レオ様は頷いて、「じゃあ、キャスと待って・・・」

「キャスもです。殿下はシュナイダー君と待っていて下さい」

 レオ様はむくれて、

「つまらないではないか。シュナイダーは暇潰しには向かん。だいたいそんなのをしなくても、今日のキャスはなかなか美しいぞ」

 わお!こんなこと言われたのは生まれて初めてです!つり目の悪役顔ですが、カサンドラの顔面偏差値は高いですもんね。前世のように地味顔じゃなくて良かったです!


 折角、褒めてくださったレオ様ですが、父に追い出され、ぶつぶつ文句を言いながら、シュナイダー様と一緒に行ってしまいました。

「あなた。殿下が可哀相じゃないですか」

「マナーはマナーだ。殿下だからと言って、何でも許すわけにはいかない。五大公爵には王族方を育てる役目もある」

 お父様、もっともらしいことを言ってますが・・・。

「キャスに近付き過ぎることが嫌なだけでしょう」

 ですよねー。


「殿下、寂しいんじゃないかしら。国王陛下はご多忙だし、王妃様は今ご懐妊中で体調が優れないようだし・・・甘えられないのよ」

 そうなんです。レオ様のお母様は現在おなかにお子さんがいらっしゃいます。レオンハルト殿下のゲーム上のプロフィールを見ている私は性別もお名前も知ってますが、まあ、先のお楽しみと言うことにしましょう。

 それよりもです。レオ様はしっかりしているように見えて、まだ5歳です。王族とか関係ないのです。レオ様はけして寂しいとは言わないでしょう。育てるのが役目だと言うのなら、こういう時こそ、甘やかしてもいいのではないでしょうか。


「かと言って、あまりにキャスに・・・」

 と、父が言いかけて、

「お父様!」

 私は声を上げました。「レオしゃまはうちに滞在してた時、私の面倒を見てくれました!サンドイッチを作ってくれました!お花の冠も!めだかさんも描いてくれました!私の初めてのお友達でしっ!お友達が寂しい時は傍にいるものじゃないでしか?!」

「キャス」

 父はびっくりしたような顔をします。

「全く、いつまでも、キスされたことを根に持つものじゃありませんっ。お父様は小さいでしよ!」

「は、はい。すみません・・・」

 父が頭を傾げるようにして、謝りましたが、

「リバー!」

 私はリバーに顔を向けて、「一緒にレオしゃまを捜しに行くでしっ!(一人だと迷子になる)」

「は、はい」


 私がリバーを引っ張って、部屋から出て行き・・・。

「キャスったら」

 母はくすくすと笑っていましたが、「頼りなかったり、内気に見えて、いざって時は急にしっかりしますね」

「うん・・・我が子ながら、良く分からない時があるよ」

 父は頭をかきつつ、「しかし、あのある意味、シュナイダー君よりも気難しい殿下がキャスに懐くなんてなあ」

「不思議な子ですね。キャスは・・・。でも、たまに不安になります」

「うん?何?」

「いえ、何でも。キャスの独り言が移ったのかしらね。ふふ」

 母は笑ってごまかすと・・・「・・・どこかに行ってしまう気がして・・・」

 と、心配性な夫に聞こえないように呟きました。



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