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キャス、王子様と友達になる。その4

 レオ様はどういうわけか本気で、私を膝に乗せようとしていたようで、しばらく私たち双子とおかしな攻防を続けた後、渋々、諦めてくれました。

 それでも、私に本を読んであげる。その点は譲ってくれなかったので、他国の言葉で書かれてある本を読んでもらうことにしました。海が舞台のお話で、表紙や挿絵に私の好きなお魚さんが描かれていて、前からずっと眺めているだけでしたが、やっと内容が分かるのです!さすが王子様です!


 私がウキウキしていることが分かったのか、

「キャスは魚が好きなのか?」

「はいっ!」

 私が元気良く返事をすると、レオ様は微笑んで、

「私も好きだぞ。ただ、大きな魚は色が緑やら赤やら色がキツすぎて、全く美しくない。図鑑を見ていても、目が疲れるだけだ」

 私はこくこくと頷いて、

「レオしゃま。私もお魚さん図鑑を持ってるんでし。父に買ってもらいますた」

「そうか。気が合うな」

 レオ様が頭をなでなでしてくれます。

 すると、リバーが、

「キャス。庭の池にご案内したら?レオ様も喜んでくれるよ」

「!」

 そうでした!私の大切なお魚さんたちをお見せしましょう!「レオしゃま!」

 私はレオ様の手を握りました。

「え?」

「庭に行きまし!」

 私はレオ様の手を引いて、走り出すと、

「キャス!転ばないで!」

 と、リバーが声を掛けてくれました。

「はいっ!」


 私はレオ様を庭の池に連れて行きました。・・・正確に言いますと、途中で疲れたので、後はレオ様とリバーに引っ張ってもらいました。私は前世でも現世でも体力ないです。

 池に到着すると、私は座り込んでしまいましたが、レオ様は全く平気な様子で池を覗いています。

 そして、

「わっ!」

 と、声を上げると、私を振り返って、「凄いな!キャス!こんな魚は初めて見るぞ!きれいだな!」

 笑顔のレオ様につられるように私も笑顔になりますと、

「はいっ!」

 レオ様はまた池の方に顔を戻して、

「それで、これは何て魚だ?図鑑には載ってなかったが・・・」

「めだかさんです」

 図鑑に載ってないので、勝手につけちゃいました。もちろん、本当のめだかさんはキラキラシルバーではありませんし、背に青いラインはありませんが。


「ふうん。変わった名だな」

 私はレオ様の側に行くと、

「リバーが贈ってくれたんです。私の宝物です」

「へえー。どこに居たんだ?」

「この領地にある牧師館の近くの池です」

 と、私が答えると、なぜかレオ様は笑いました。

「?」

「いや、キャスがどもったり噛んだりしないから・・・どうしてかなと思ってな」

 そう言えばそうですね。・・・どうしてでしょう?

「レオ様。良ければ、ご案内しますよ。レオ様も魚がお好きなようですし、王城へ・・・」

 と、リバーが言いましたが、レオ様は首を振って、

「いいんだ。欲しくないと言ったら、嘘になるが、図鑑に載っていない魚がここにいると言うことは、この魚もまたここでしか生きられないと言うことだ。だから、いい」

 リバーは微笑むと、

「そうですね」


 木葉の間からこぼれる太陽の光でレオ様の銀髪がキラキラと輝きます。

 まるでキラキラシルバーのめだかさんのようです。

 レオ様は私を見ると、

「またこの魚を見に来ても良いか?」

 と、聞いたので、私は何度も頷きました。

 レオ様は微笑んで、

「もちろん、魚はついでだがな」

「へ?」

 私はきょとんとして、「レオしゃま。どういう意味でしか?」


「さあな。自分で考えろ」

 そんなつれないことを言ったレオ様でしたが、とても楽しそうに笑いました。




 次話でレオ様編一旦終了です。


 キャスは大事な役目を忘れてます・・・




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