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国王陛下は喜ぶらしいです

『レオ様の退路を断つ』

 と、リバーが黒い笑みを浮かべながら言いました。何だか怖いですー・・・。


 すると・・・。


「ちょっと待ってくれないか。リバーもシュナイダーも、殿下の意志は無視するのか?」

 と、ルークが非難するように言いました。

 シュナイダー様は眉を上げてから、ルークを見ると、

「私とリバーではローズさんに何を教えたところでやはり限界があります。殿下も卒業まで時間があると悠長なことを言わず、婚約を早めた方がお互いのためなんですよ。それに、貴族の中には自分の娘を殿下の妃にと目論んでいる人間もいるでしょう。そんな輩がローズさんと殿下が親密だと知れば、ローズさんに対して、何をしてくるか分かったものではありません。ローズさんを守るためにも殿下の婚約者と言う確固たる地位を与えるべきなんですよ」

「なるほど・・・」

 と、ルークは頷きましたが、「でも、ふと思ったんだけど、殿下と子爵令嬢でしかないローズマリー様との婚約を国王陛下は反対するかもしれないよね?」

 すると、リバーとシュナイダー様は私を見ました。ん?

「ところが、逆に喜ぶのではないかと言うのが、ダンズレイ公爵様の考えだよ。さっき言ったように、ローズのお父さんは国王陛下派、レオ様・五大公爵派に何の影響も与えない人だ。更に国王陛下はレオ様がキャスを選ぶのではないかと、心配していたようなんだよね。あのダンレストン公爵家の襲撃事件から後、国王陛下と五大公爵の間には大きな溝が出来た。おまけに国王陛下は五大公爵家を毛嫌いしている。だから、その五大公爵家の令嬢を選ぶよりも、ローズの方がましだと思うだろうって。ローズはリリアーナ様と同じ容姿で全属性持ちだからね。手放しで喜ぶのではないかと言っていたよ。王族の人気回復にも繋がると目論んでいるのかもね。自分が人気を下げておいて、それはどうかと思うけどさ」

「それに、カーライル公爵様は五大公爵の中心とも言える程の方になりましたし、面倒見の良い方ですから、騎士や王室付きの魔術師からとても信頼されています。更に国民からの支持も高い。五大公爵に批判的な議員の中にも、カーライル公爵様に逆らおうと考える人間はいないはずです。国王陛下はそれが面白くないようなんですよね。ですから、カーライル公爵様に今以上の影響力を与えたくないんですよ。そう言った意味でも、殿下とローズさんとの結婚を国王陛下は喜ぶと思います」

「お父様って、凄いのね・・・」

 私は呆気に取られていましたが、「なら、国王陛下はローズマリー様とレオ様の婚約には反対しないってことね!良かった!」

 私自身は全く何もしていませんが、役に立ったようです!


「でも、国王陛下が反対しないとは言え、レオ様はローズマリー様に対して、とても慎重になってると思うのです。いくら、お兄様が会いたいと言ってるからって、レオ様がどう思うか心配です」

 レオ様が怒るかもしれないじゃないですか!私も良く怒られますからね!大変ですよ?!


「いや、レオ様はローズを会わせることは反対しなかったよ。さっき、僕たちで話をしたからね」

「そうなの?意外ね」

 もしかしたら、レオ様は婚約に前向きになったのかもしれませんね。

「で、ローズには僕たちからの卒業試験と言うことにしようかなと思ってるんだ。まさか、レオ様のご家族に婚約者として会ってくれとは言えないからね」

「卒業?もうリバーとシュナイダー様は何も教えないんですか?」

「全くと言うわけではありませんが、婚約が正式に決まったら、お妃教育が始まりますからね。ローズさんの場合、幼い頃からそれなりに教育を受けていたサラ様とは違いますから、学園在学中からお妃教育が始まることになるだろうとダンズレイ公爵様が言っていました」

 と、シュナイダー様が言いますと、

「お妃教育って、誰がするの?」

 と、ルークが聞きました。

「まず王族だった女性から・・・あ、多分、フォルナン侯爵夫人が乗り出してくるでしょうね」

 フォルナン侯爵夫人!ひぃっ!怖いっ!


「それから、五大公爵のそれぞれの夫人も加わるんだって。そして、更にその中心となるのが、五大公爵の嫌われ役だってさ」

「き、嫌われ役って・・・お父様よね?!」

 と、私が言いますと、リバーは頷いて、

「火を吐く竜にお妃教育をさせるなんて、あんまりだよね」

「ローズマリー様・・・可哀相!」

 私の父に火を吐きまくられ、ローズマリー様が再起不能になったらどうするんですか?!


「実は私の祖父がカーライル公爵様の前に嫌われ役をやっていたんですよ。・・・今の王妃様はお妃教育のあまりの厳しさから、国外逃亡を図ったそうですよ」

「「えー!あの王妃様がー?!」」

 私とルークが驚きます。

「自分の国に帰ろうとしただけですけどね。結局、お母様に追い返されたそうです」

 実はレオ様のお母様である王妃様は他国の王女様だったんです。

 ですが、他国の王女と言っても、国王陛下のお母様の妹君の娘さんですので、両陛下はいとこ同士と言うことになります。

 ちなみにこの世界では、魔力量が高い優秀な子孫を残すため、いとこ同士の結婚はとても歓迎されます。

「今、あんなに素敵な王妃様が国外逃亡するほど厳しいんですね・・・」

「だから、ローズも耐え抜けば、きっと、王妃に相応しい女性になれるよ」

「そうですね!ローズマリー様なら、耐え抜けますよ!」

 ローズマリー様、頑張って下さいね!


 私は心の中でローズマリー様を応援してましたが、

「そうだわ。きっと、お父様もお母様も張り切って、ローズマリー様に色々と教えるんでしょうね。だって、お父様は何だかんだでレオ様をすごく気にかけてるし、そんなレオ様のお妃様を育てるんだもの。張り切らないわけがないと思うのよ」

「その前にレオ様の婚約を知ったら、お母様は喜ぶだろうな・・・ほんと泣いて喜ぶんじゃないかなあ・・・」

 と、リバーはうんうんと頷いています。

「まあ!レオ様はそんなにお母様に好かれてるのね!そこまで好かれているなんて知らなかった!でも、素晴らしいことね!」

 私はとても嬉しく思いましたが・・・。


「・・・絶対、好かれていないと思います」

 と、ルークがぼそっと言いました。


 ん?じゃあ、嫌われてるんですか?レオ様はお母様に何かしたんですか?



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