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うっかりさん

 私、皆さんの前でおなかが鳴ってしまいました!15歳でこれはとっても恥ずかしいです!


「くはっ」

 案の定、レオ様が吹き出して、「キャスの腹はいくつになっても変わらないな!」

「・・・」

 私は赤くなりますと、「み、皆さんも、笑っていいんですよ?」

 ・・・何故かレオ様以外笑いません。

「私、笑うよりも呆れるわよ。さっき、お昼ごはんを食べたばかりでしょう。おまけに私のチキンをあげたわよね?」

 と、メグが本当に呆れた様子で言いました。うっ。

「自分も笑えません・・・自分もポテトをあげましたよね?」

 ルークがじとっとした目で私を見ています。ううっ。

「キャス」

 レオ様が眉をしかめて、「また太っても知らないぞ」

 ふっ。大丈夫なんですよ。私、体形キープのため、毎日、腹筋を鍛える運動を300回してますからね。ストレッチもなんちゃってヨガ(?)も半身浴も欠かさずやっています。ぽっちゃりの悪役令嬢なんて、以っての外ですからね!

 ただ、レディがそんなことをしているとは言えないので、

「あにょ・・・そにょ・・・」

 私が困っていますと、

「ロクサーヌ様が太るなんて、有り得ませんよ。すらりとされていますもの」

 と、ローズマリー様が言い、

「そうですよ。単にお菓子は別腹だと訴えているんだと思いますよ」

 と、アーロンが言いました。

 ありがとうございます!幼なじみコンビはいい人ですね!


 なんだかんだで、レオ様とローズマリー様まで一緒にお菓子をいただくことになりました。大変です!悪役令嬢とヒロインが仲良くお菓子をいただくことになってしまいました!ぎゃあっ!

 この前、距離を置くことにすると決めたレオ様も迷っているようでしたし、更にそのことを知っているルークと私は目配せをし合ってましたが、どうにもなりませんでした!だって、アーロンが強く勧めて来るんですよー!断れませんよー!

 メグなんて、私の助けて光線を無視して、

「まあ、とっても、美味しそうですね!」

 と、嬉しそうに言ってますよ!多分、レオ様とローズマリー様の様子を間近で見たいんですよ!このーっ!恋愛小説オタクめーっ!


 お菓子が何かと言いますと、チョコレートタルトでした!ぎゃあっ!美味しそうです!

 ローズマリー様はケーキナイフで切り分けて、

「レオンハルト様。どうぞ」

 と、ナプキンにタルトを乗せて、レオ様に渡しました。

 レオ様は微笑んで、

「ありがとう」

 そして、お二人は見つめ合います。ぎゃあっ!こっちが恥ずかしいです!メグ、ガン見してはいけません!

 ・・・ちなみにローズマリー様の御祖母様、お母様のお菓子作りの腕はプロ級です。レオ様も安心のお味です。リバーもルークママと同レベルだと言っていました。


「マーガレット様。どうぞ」

 ローズマリー様は次にメグに渡しました。

 同じ公爵令嬢の私かメグで迷うかと思いましたが、全く迷いなしでしたね。

 カーライル家は元々は子爵家ですし、バドレー公爵家はカーライル家よりずっと前から高い地位にありますからね。メグから渡すのが正解なんです。

 爵位のある家の人間と付き合う場合、こういった背景も知っておかないといけないんですよね。ローズマリー様は知っていたようですね。頑張って、覚えたんでしょうね。


 ・・・そう言えば、ローズマリー様はあの自然発生した私の取り巻きの方々と、いつの間にか仲良くなっていました。最近のことなんですけどね。びっくりしましたよ。・・・何故か、皆して、私をちらちら見ながら、メモを取ってることが気にはなりますが、一体、どうやって仲良くなったんでしょうね?


「チョコレートが甘すぎず、とても美味しいですね。母親が作る物より、自分好みですね」

 と、ルークが言いました。

「おい。母君が怒っても知らないぞ」

 と、レオ様がからかうと、ルークはやばいと言うような顔をしました。

 ローズマリー様は楽しそうに笑って、

「シャウスウッド様のお母様は何でも得意だと聞きました。憧れます」

 ルークは赤くなりますと、

「いや、でも、口うるさいんで、憧れなくていいですよー。ローズマリー様があんなになったら困りますから」

「そんな。レオンハルト様はとても優しい方だとおっしゃってましたよ」

「母は殿下とリバーとシュナイダーにだけ優しいんですよ。色男好きですから」

「まあ。お母様はお若いんですね」

 なんて風にルークとローズマリー様の会話が盛り上がってます。

 ルークはひょっとしたら、将来の王妃であるローズマリー様の護衛をすることもあるかもしれませんしね。今から信頼関係を作っておいた方がいいかもしれませんね!

 レオ様もどこか嬉しそうです。


 私がうん、うんと頷いていますと、

「ローズマリーさんはまだましよー。キャスなんて、キッチンを爆発させたくないからって、やかんすら置いてないのよー。それはそれでどうかと思うでしょう?」

 と、メグが言いました。

「ぬ?」

 何の話ですか?いつの間に話題が変わっていたんですか?やかん?ああ、置いてませんよ。でも、爆発じゃなくて、火事の心配をしているだけなんです。

「キャス・・・それでも女か?」

 と、レオ様が呆れて言いました。

「・・・」

 用心してるだけなんです。と、私が心の中で言っていますと、

「ロクサーヌ様は用心深い方なんだと思います」

 と、ローズマリー様が言って下さいました。私は何度も頷きました!ありがとうございます!

「私もロクサーヌ様の思慮深さを見習わないと」

 と、ローズマリー様が続けて言ますと・・・。

 

 どっと笑い声が起きました。ぬっ?!


「か、カサンドラ様が思慮深っ、あはははっ」

 ルークが膝を叩きながら、大笑いします。

「一番、縁遠いだろう!」

 と、言って、レオ様も笑います。

「ふふっ・・・」

 メグは大笑いしたいのを堪えています。

 皆さん、そんなに笑わなくても・・・。

「・・・」

 ローズマリー様が私、そんなにおかしな事を言ったのかしら?みたいな顔をしちゃってるじゃないですか!


 更に・・・。

「くくっ」

 アーロンが俯いて、震えています!ショックです!

「アーロン、笑ったわね!信じてたのに!」

「わ、笑ってませんっ!」

 アーロン、声が震えていますよ!

「アーロンがそんなつもりでしたら、カーライル公爵家の家系図の写し見せてあげませんから!」

 と、私、言い放ちました!

「えっ!キャス様、手に入れたんですか!」

「父に頼めば、簡単です!(当たり前です)」

「見せてくれるって、約束したじゃないですか」

「アーロンは笑わないって、信じてたんですよー。裏切られましたー」

「でも、僕だって、キャス様の色んな行動を見てますし・・・」

「ぬ。そ、それはしょうがないですね。では、手を」

 私とアーロンは握手しますと、「仲直りです」

「そもそも喧嘩なんてしていません」

「そっかー」

「そうですよー」

 私とアーロンが笑っていますと、


「ずいぶん、キャスとアーロンは親しいんだな」


 レオ様が握手したままの私とアーロンの手を睨むようにして言いました。


「はっ」

 私、病的なまでの人見知りで神経質な設定でした!なのに、握手までしてしまいました!ローズマリー様も私とアーロンの手を見つめています!まずいです!


 私は慌てて、手を引っ込めますと、

「そ、そのっ、アーロンは特別なんです!歴史好きと言う共通点もありますし、何よりアーロンは私の父に笑った顔が似ているのです!良く言いますでしょう!女性は父親に似た殿方を好きになるって!」

 と、声を上げました。


 すると、ルークが、

「えーっ!カサンドラ様はアーロンが好きなんですか?!」

 と、私に負けじと声を上げます。

「はい?」

 私はぽかんとして、「私がアーロンを好き?どうして?」

「貴女、今、アーロンさんは特別とか、お父様に似ている殿方を好きになるとか言ったじゃないの」

 と、メグが言いました。ぎゃあっ!何てことを!

「そ、その、アーロンはもちろん好きですけど・・・」

 と、私が焦りつつ、説明しようとしますと、


「ローズマリー。教室に戻ろう」

 レオ様がサッと立ち上がりました。

「え、ですが・・・まだ時間は」

「いいから」

 と、レオ様はさっさと行ってしまいました。

 ローズマリー様も私たちに頭を下げると、慌てて、レオ様の後を追いかけました。



 私がアーロンを好きだと誤解させてしまったようです。レオ様はともかくローズマリー様には弁解しなくてはいきません。


 このうっかりさんな口も誰かと交換してほしいです。



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