表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/216

金髪のハンサムさん

 魔法学園の図書室はとーっても広いのですが、

「あんまり人がいないですね」

 図書室は校舎の奥の奥にありまして、何か調べたいことがない限り、生徒はあまり来ないのです。

「そうですね。昼寝するのにちょうど・・・」

 と、ルークが言いかけて、

「昼寝?!この神聖な場所でそんなこと許しませんよ!」

 メグが目を吊り上げます。

「す、すみません・・・」

 ルークが首を傾げるようにして謝りました。

「この図書室は素晴らしいのです。恋愛小説の宝庫なんです。既に絶版になっていた物もここにはあるのです」

 メグはせかせか歩きながら、「何とか、1年生時に全て読み終えて、2周目、3周目といきたいわね」

「・・・」

 メグいわく恋愛小説は一度読んだだけでは、ダメなんだそうです。繰り返し読む度に新しい発見があるそうなんです。恋愛小説を何度も読み返す必要なんてあるのでしょうか?誰と誰がくっついたか分かればいいと思うのですが。


「じゃあ、私は何か歴史の本を探しに・・・」

「自分は効果的に体を鍛える方法を調べたいので・・・」

 と、私とルークがそれぞれ行こうとしましたが、

「待ちなさい!そこのへっぽこ恋敵とそっちの全くアテにならない協力者!」

「へ、へっぽこ」

「全くアテにならない・・・」

 私とルークがショックを受けていますと、

「戻って来なさい」

 メグが手招きしました。・・・私たちは猫さんではないですよ?


「へっぽこって、レディが遣う言葉としてはどうかと思いますけど・・・」

「だいたい図書室で大きな声を出してはいけないと思うのですが・・・」

 私とルークはぶつぶつ言いながら、椅子に座りました。

 メグはそんな私とルークの声をまるっきり無視して、

「じゃあ、この本を読んで下さいね」

 私とルークの前に1冊ずつ本を置きました。


「・・・」

「・・・」

 どう見ても、恋愛小説のようですが・・・。

「こ、これは一体・・・」

 と、ルークが戸惑いつつ、「ま、まさか、これを自分に読めと・・・」

「読んで下さいと言ったでしょう。今。同じ事を二度も言わせないで下さいな」

 と、メグは腕を組みながら、座っているルークを見下ろして言います。すっごく威圧感があります!

「いや、でも・・・」

「貴方、主君の為にこれくらいのこと出来ないんですか?」

「こ、これを読んで勉強しろってことですよね?でも、本を読んだくらいで・・・」

「何ですって?」

 メグがルークをジロッと睨みました。

 ですが、ルークも負けじと、立ち上がってから、

「これは空想の世界の物でしょう。実際の恋愛とは違います」

 逆に見下ろされる形となったメグでしたが顎をツンと上げて、

「じゃあ、ルークさんは今までにレオンハルト殿下とローズマリーさんの為に何かしましたか?」

「そ、それは」

 ルークはぐっと詰まります。

「る、ルークはいつも私の側にいるから、しょうがないんですよー」

 と、私はフォローしようとしましたが、またしても、メグはまるっきり無視して、

「貴方って、男同士でじゃれあっている方が楽しいと思うタイプでしょう?そんな人が恋愛の何を知ってるって言うんですか?」

「それはそうですが、自分は」

 と、ルークが反論しようとして、私、思い出しました!

「あっ!そうです!ルークの初恋のお相手は牧師館の娘さんなんです!ですから、恋愛はおてのものなんです!」

 と、私が言いますと、

「カサンドラ様?!」

 ルークは真っ赤になりました。助けてあげたんですよ!


 すると、メグの瞳がキラッと光って、

「貴方、伯爵家の方よね?!」

「じ、次男ですが・・・」

「まあ!伯爵家と牧師館の娘さんじゃないの!ちょっと話を聞かせてちょうだい!」

 メグがルークに詰め寄ります。

「は、話すことなんて・・・ちょっ、襟を掴まないで下さい!カサンドラ様ー!マーガレット様を何とかして下さいー!」

 ルークは助けを求めましたが、平和っていいですねー。と、私が思っていますと、


「おや。お一人で寂しいのではないですか?よろしければ、お相手致しますよ?」

 と、背後から声がしました。


「はい?」

 私は振り返って、「ぎゃっ」

 超至近距離に金髪のハンサムさんの顔がありました!


 驚きのあまり、のけ反った私でしたが、そんな私の手を金髪のハンサムさんが取って、手の甲にキスしました!ぎゃあああっ!


「な、何やってるんですか?!」

 ルークが飛んで来て、私と金髪のハンサムさんの間に体を入れますと、「あんた!何なんですか?!」

 金髪のハンサムさんは前髪をかき上げて、

「何って、美しいカサンドラ嬢にお近づきになりたいだけさ。ようやくチャンスが訪れた。私は何て幸運な男なのだろう。後は、女神に微笑んでもらえたら、私は天に召されたとしても、文句はないさ」

 と、言って、私に向かって、ウインクしました。

「・・・」

「・・・」

 キザな方の登場に私とルークが唖然としていますと、

「やっぱり来たわね。アレックス」

 と、メグが言いました。


 アレックスこと、メグの従兄弟さんである、セントクロフト伯爵家アレクサンダー・ラングトリー様はメグに向かって、にっこりと笑って、

「メグがカサンドラ・ロクサーヌ嬢と友達になったって言うじゃないか。これはチャンスだと思ってね。いやー、普段はあのおっかない弟の目があるだろう?どうやって、近付こうかと考えていたんだよね」

「お、弟はいつも私を見張っているわけでは・・・」

「貴女の弟には支持者?いや、信者がたくさんいるでしょう?あの熱狂振りはちょっとおかしいよね。何か黒魔術でもやってるのかな?」

「ま、まさか」

 実は私もちょっと疑ってますけどね。

 ・・・それにしましても、色気のある方ですね。リバーは色気がありながも、もう少し少年ぽさが残ってますが(そこがいいんですけどね。ふっ)、アレクサンダー様はもう大人の色気を放っています。・・・鼻血が出そうです。


「リバーの目がなくったって、カサンドラ様には自分がついてますんで!」

 と、私を背にして、両手を広げながら、ルークは言いましたが、

「ふっ」

 アレクサンダー様は鼻で笑いますと、「だって、あんた、ちょろそうだもん」

 ぎゃー!

 ルークは顔を真っ赤にして、

「ちょろい言うな!いいか?!今後、カサンドラ様には指一本触れさせないからな!」

 と、声を上げました。


 ところが、アレクサンダー様は妖艶な笑みを浮かべて、

「なら、カサンドラ嬢から触れる分には構わないんだよね?」

「「はあっ?!」」

 私とルークが仰天しますと、

「きっと、カサンドラ嬢から俺に触れたくなると思うよ?」

 アレクサンダー様は上着を脱ぎ捨て、シャツのボタンに手をかけましたが、


「レディの前で何をしているの!!この女ったらし!!」


 メグからげんこつを落とされました・・・。


 何故、脱ごうとしたんですか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ