甘い展開になりますよね?
シュナイダー様とデー、いえっ!二人だけでお出かけする日がやって参りました!もうドキドキです!
もちろん、極秘でした!二人だけでなんて、リバーが承知するわけがありませんし、ルークもついて来るでしょうからね!
私とシュナイダー様だけが取っている治癒魔法の授業の移動時に時間等を打ち合わせしました。
学園の校舎前で待ち合わせです。
私が懐中時計を見て、早く来過ぎたなぁ。と、思っていますと、
「カサンドラ様。おはようございます」
シュナイダー様がやって来ました!
「お、おはようございます!」
私はがばーっと頭を下げました。
「早いですね」
「た、楽しみでついっ、早く来てしまいました!」
ぎゃー!余計なことを言ってしまいました!
「あの、それで今日はどちらに行くんですか?」
「森です」
「あ、今日は双眼鏡を持って来ていません」
「今日は野鳥でないものを見に行きましょう」
「え。何ですか?」
「その時のお楽しみです」
「うわー。何でしょうー。楽しみですー」
私がうきうきしていますと、「・・・?」
シュナイダー様が私をじっと見つめています。
「しゅ、シュナイダー様?」
「カサンドラ様・・・何だかいつもと感じが違うような気がして・・・」
「えっ」
私がドキッとした時・・・。
「シュナイダー。待ったか?」
え?
私はぽかんとしました。
レオ様がやって来たのです!
「え」
レオ様もシュナイダー様に隠れていた私に気付いて、唖然としました。
私とレオ様は見つめ合っていましたが、ハッと、我に返りますと、同時にシュナイダー様に顔を向けて、
「「どうして?!」」
「おや。息がぴったりですね」
シュナイダー様が感心したように言いました。
「どうして、レオ様がいるんですか?!」
「どうして、キャスまでいるんだ?!」
と、私とレオ様が言いますと、シュナイダー様は首を傾げて、
「私、二人だけでなんて言ってませんよ」
た、確かにー!!
その後、私とレオ様はシュナイダー様に続いて、渋々、森に入って行きました。
シュナイダー様には長袖で動きやすい服装に丈夫なブーツで来るようにと言われていました。結構、草が生い茂っていますね。・・・ヘビさん、出ませんよね?
「どこに行くんだ?」
レオ様はふて腐れた様子で、「こっちに行くより、湖の方に行ったらどうだ?」
「素敵な池があるんですよ」
「池ですか・・・?」
「ええ」
シュナイダー様はそう言ってから、倒れてある大木を指差すと、「これを乗り越えると近道なんですよ。・・・カサンドラ様。抱えますから」
「えっ!でもっ!」
私、重いです!と、言おうと思った時にはシュナイダー様に抱えられて、大木の上に乗ってました!
シュナイダー様は力があるのですね!凄いです!
シュナイダー様は大木の向こう側に行くと、また私を抱えて、下ろしてくださいました。
「あ、ありがとうございます。シュナイダー様は力があるのですね。私、重いのに・・・」
私が赤くなりながら言いますと、
「重い?そんなことは全くないですよ。羽が生えているのかと思うくらい軽かったですよ」
ぎゃあああっ!
私が赤くなった顔を覆っていますと、
「・・・殿下も助けが必要ですか?」
と、シュナイダー様が言いますと、レオ様は口を尖らせながら、
「私だって、キャスくらい・・・」
と、ぶつぶつ言っていましたが、「必要ない」
レオ様は大木をひょいと飛び越えました。
「わあ。レオ様、凄いですね!」
と、私が喧嘩のことも忘れて、そう言いますと、レオ様は赤くなって、
「キャスとは違うからな」
むぅっ。
「レオ様って、可愛くないですね。ひねくれ者ですよね。ねえ、シュナイダー様?」
「ええ。素直だったためしがありませんね」
「そんなことはないっ」
「シュナイダー様が言うなら間違いありませんよねー」
「何故、私のことをシュナイダーの方が分かっているかのように言うんだ!」
「シュナイダー様はレオ様のことを良く分かってますよ。誰だって、分かることですよ。ねえ、シュナイダー様?」
シュナイダー様が苦笑いします。「どうしたんですか?シュナイダー様?」
「い、いえ・・・」
「レオ様が素直じゃないから、シュナイダー様が呆れてますよ」
「うるさい。さっきから、シュナイダー様。シュナイダー様。って、うるさいぞ」
「うるさくありません。ねえ、シ」
「また言ってるだろうが!」
とかなんとか言い合いしながら、歩いていますと、
「あ。見えて来ましたよ」
シュナイダー様が前を指差しました。
小さな池が見えて来ました。その池の周りだけ木がなくて、日当たりは良いのですが・・・。
「素敵?どこがだ?」
と、レオ様は言いながら、池に近付きます。
なんてことのないただの池のようですが・・・。
「でも、水は綺麗みたいですね」
「ええ。澄んでますよ」
すると、
「キャス!」
と、池を見下ろしながら、レオ様が声を上げました。
「どうしたんですか?」
レオ様は何度も手招きしながら、
「早く来い!めだかがいるぞ!」
「えっ!」
私は急いで走って行きました。
そして、レオ様の隣に来ると、池の中を見て・・・。
「あっー!めだかさんー!!」
このキラキラシルバーは間違いありません!背に青いラインもあります!お久しぶりです!めだかさん!
私とレオ様はめだかさんを見ていましたが、
「キャス!」
「レオ様!」
お互いの名前を呼びながら、顔を見合わせますと、
「良かったな!キャス!」
「はい!レオ様!」
私とレオ様は満面の笑みで頷き合うと、
「「やったー!」」
抱き合って喜びました。
「ぎゃーっ!」
レオ様が私を抱えたまま、くるくる回っています。お、落ちます!池の側で回らないで下さいー!「怖いですっ!レオ様!や、やめて下さい!ぎゃー!止めてー!」
「あははっ!もう湖に落ちてるんだから、どうってことないだろう!」
レオ様は笑いながら、私を回していましたが、急に動きを止めました。
「?レオ様?」
私はすとんと下ろされました。
「良かったですね」
私とレオ様が声がした方を見ますと、シュナイダー様がにこにこして・・・いえ。してやったり。と、言うような笑顔をしていました。
「お、おい、な、何のつもりだ!」
シュナイダー様は笑顔のまま、
「リバーは『くっだらない子供の喧嘩は放っておけ』と、言ってたんですけどね」
・・・シュナイダー様はリバーの真似が上手ですね。リバーがいるのかと思いました。「私は殿下とカサンドラ様が仲違いをしたままでは寂しいと思いましてね。それに、ルークが気を使うでしょう?もう16歳になるんですから・・・」
シュナイダー様はそこまで言って、いつもの無表情に戻ると、
「二人ともいい加減にしなさい」
まるでスターリング先生のように厳しい口調でした。
私とレオ様がぽかんとしている中、シュナイダー様は背負っていたリュックを下ろして、中から水筒と紙袋を出しました。
「お茶とお菓子です。適当につまみながら、お話をされたらどうですか?学園内じゃ、落ち着いて話が出来ないでしょうからね」
そして、シュナイダー様はまたリュックを背負って、「私はその辺をぶらぶらしていますから、ごゆっくり」
「お、おい!シュナイダー!」
レオ様は声を上げましたが、振り向かずにさっさと行ってしまいました。
ええーっ?!シュナイダー様ー!行かないで下さーい!




