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王子様が来ちゃいました

 何と言うことでしょう。


 私の目の前に王子様がいらっしゃいます。


 サラッサラの銀髪は太陽の光で眩しいくらい光っていて、神々しいくらいです。

 瞳の色は水色よりも淡くガラス玉のようで、透明感半端ないです。


 前世の世界では、イケメンを見て、『あれ、まるで王子じゃね?』と騒いだり、『○○王子』なんて良くテレビで言われていましたが、失礼ながら、あんなものはまがい物!本物の王子様を見たことあるのか?!本物の王子様を舐めんなよ!!!


 いけません。動揺のあまり、『野崎明日香』でも『カサンドラ・ロクサーヌ』でもない性格が出てきそうです。

 非常に驚き、動揺しております。いきなり攻略対象キャラが目の前に現れたのですから。


 リバー・ロクサーヌに続く、『魔法学園でつかまえて』攻略対象キャラ、カルゼナール王国第二王子、レオンハルト・レイバーン・カルゼナールの登場です。


 私が平和ボケしている間に、世界は動いていたのです。


 先週、父から、お客様が我が家に来る。と、聞いた時にピンと来なくてはならなかったのです。



 父、アンドレアスが銀髪の王子の後ろに立ち、肩に手を置くと、

「レオナード君だ。とても魔力量の高い子でね。ご両親を亡くして、施設に居たんだが、トトリおじさんには子供がいないだろう?そこでレオナード君を養子にすることになったんだ」


 王子様を養子に?

 父の頭がおかしくなったわけではありません。

 トトリおじさま・・・カーライル家の遠縁にあたる方です。確かに奥様との間には、お子さんはいらっしゃいません。

 基本、血筋を絶やさないためとは言え、全く血の繋がりのない子供を養子にし、跡継ぎにするなんてことは他国では出来ませんが、そこはやはり魔法大国。魔力量が高い子供であれば、養子に迎えることが出来るのです。手続きがひじょーにややこしいそうですが。


 ですが、私の目の前にいるのは、孤児のレオナード君ではなく、王子様です。


 公爵家と遠縁だからと言って、王子様を養子にするなんて、そんなとんでもないことが出来るわけがありません。

 だとしたら、何故こんな有り得ない話を父がしているかと言いますと・・・。


「はじめまして。レオナードと申します。お二人にお会い出来て、とても嬉しく思っております」

 なんて、殊勝なことを言いながらも、私たち双子を値踏みするような目で見ている第二王子が父に命令して言わせてるのですよ!



 先月、レオンハルト殿下の兄であるジャスティン殿下の婚約が正式に発表されました。

 ジャスティン殿下はまだ8歳ですが、この世界では珍しくありません。

 お相手は五大公爵家の一つ、ダンレストン公爵令嬢サラ様です。ジャスティン殿下と同じ年です。

 王族が五大公爵家と婚姻関係を結ぶことはカルゼナール王国の長い歴史の中で頻繁に行われています。

 血筋が確かで、魔力量にも問題がありませんからね。


 それから、どうやって、婚約者を選ぶかと言うと、五大公爵、大臣8人で『婚約者選出会議』が行われ、候補者たちを何人か挙げていきます。その後、国王陛下、王妃様が会議に加わり、3〜5人に絞ります。


 絞られた方々と一年間交流をし、今回の場合、ジャスティン殿下が決定を下したのです。

 選ばれなかった方は可哀相ではありますが、候補に選ばれたというだけでも、大変栄誉なことで、箔が付き、結婚市場の人気者となることは間違いないです。



 そして、私の目の前にいるレオンハルト殿下。


 婚約者候補となった私に会いに来たのは明白です。

 偽名を語り、作り話を父にさせ、婚約者候補である私を密かに偵察しに来たと言うわけですよ。

 普通、婚約者候補に選ばれたことは本人に知らせます。

 なのに、この王子様は・・・性悪なのではないでしょうか。


 私はこの王子様相手に悪役の役目通りのことを出来るのでしょうか。




 無理でしょうね。




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