アーロン・ディアボルト
最後の攻略対象キャラ、アーロン・ディアボルトが登場しました!
レオ様に呼ばれた事に気付いたアーロンは笑みを見せますと、レオ様に向かって、頭を下げました。そして、こちらに駆け寄って来ます。
ちなみにアーロンは紺バージョンの制服です。私、紺予想でした!当たりました!
「久しぶりだな」
と、レオ様がアーロンの肩を軽く叩いてから、言いました。
「はい。お久しぶりです。レオンハルト様がお元気そうで何よりです」
アーロンはにっこり笑いました。
穏やかな笑顔です。何か含んでいそうなリバーの愛想笑いとは違います。
アーロンは大人しいですけど、この笑顔があるから、人に好かれるんですよねー。
これがアーロンの良いところなんですよねー。なんて、私が思っていますと、レオ様がアーロンの隣に立って、
「紹介する。アーロン・ディアボルトと言って、私がルークの祖父さんのところにいた時に親しくしてもらっていたんだ」
「は、初めまして、アーロン・ディアボルトです」
アーロンは若干怯えているようです。私、睨んでませんよ?
それから、リバー、シュナイダー様、ルークの順で自己紹介していきます。
リバーはいつもの愛想笑いを全面に押し出しています。
シュナイダー様は超安定の無表情です。
そして、ルークは、
「殿下がお世話になりました!」
と、言って、最敬礼ですよ。
・・・相変わらず、レオ様馬鹿ですねー。
アーロンは次期五大公爵の二人に気後れしているようですが、
「リバーは愛想がいいが、何を考えているか分からないところがあるから、気をつけろよ」
と、レオ様は更にそれを煽るような事を言いましたが、お次はシュナイダー様を手で示して、「これはまんま何を考えているか分からないが、悪い奴ではないからな」
すると、リバーがこれでもかと眉をしかめて、
「僕は悪い奴って事ですか?」
レオ様が楽しそうに笑い、アーロンもつられるように笑いました。
私はそんな中、アーロンと仲良くなっていいのでしょうか。ゲームではカサンドラと平民であるアーロンは全く接点がないし、別にアーロンの邪魔をする必要はないし・・・いや、でも、レオ様とローズマリー様をくっつけるためには、邪魔な存在と言えば、邪魔ですし・・・何てことを悶々と考えていましたが、
「で、この目つきが悪いくせに、ぼーっとしている奴が、カサンドラ・ロクサーヌ。リバーの双子の姉だ」
と、レオ様が勝手に紹介しやがりました!(当然の流れです)
ど、どうしましよう。私、うろたえてしまっています。
そんな私を見て、アーロンが不思議そうな顔をしています。
ここは何か言わなければ!
「あ、あ、あ、えっと、本日はご入学おめでとうございます!」
私はがばーっと、頭を下げました。
「・・・」
皆さん、しいんと静まり返り、沈黙が続きました。
あれ?私、何か変な事を言ったような気がします。
「くはっ」
レオ様は吹き出すと、「キャスは何を言ってるんだ?相変わらず変な奴だな」
リバーもルークも笑っています。シュナイダー様も俯いて、小さく震えています。
私、真っ赤になりますと、
「す、すみません!」
本当に変な奴です!
ですが。
「ありがとうございます。ロクサーヌ様もおめでとうございます」
と、アーロンがにこやかに言いました。
「!」
私、感動しました!なんて、いい人なんでしょう!こんなお馬鹿な私を変な目で見ません!笑ったりなんかしません!皆さん、見習って下さい!
私はアーロンの前に立つと、手を握って、
「どうかキャスと呼んで下さい!」
と、言いました。
アーロンは私に握られている自分の手を見つめると、
「あ、あの、えっと」
真っ赤になっています。
「?」
どうかしましたか?
すると、リバーが私の手をべりっと剥がして、
「むやみに男に触るもんじゃないよ?キャス?」
リバーは笑いながら、怒りオーラを出しています!ひぃっ!ごめんなさい!
私、慌てて、両手を後ろに回しました。
レオ様まで私を睨んでいます。レディのくせに!とかって、思ってるんですよ!怖いです!
では、登場しましたので、アーロン・ディアボルトについて、お話しましょう。
アーロンの髪と瞳の色は茶色で、この国では平凡とされる外見をしています。でも、私の父も茶色の髪ですが、とっても素敵ですからね。関係ありませんよ。髪や瞳の色なんて。
・・・うん?そう言えば、笑った顔が父に似ていますね。例えると、絶対自信家じゃなくて、絶対火を吐かないアンドレアス・ロクサーヌと言った感じです。だから、親近感が沸くんですかねー。
身長は今は私と同じくらいで、もちろん、これからどんどん伸びますが、5人の攻略対象キャラの中では一番小柄です。
十分整った顔立ちをしていますが、カッコイイと言うより、可愛いと言った方がいいかもしれません。
そして、攻略法です!とっても単純です!
『押して、押して、押しまくれ!』です!
アーロンはローズマリー様の事がずっと好きなので、攻略なんて簡単かと思われるかもしれませんが、アーロンは草食系男子の代表のような方なんですよねー。
絶対、自分からは行動を起こしません。ヒロインを密かに思い、優しく見守り続ける・・・そんな感じです。
この学園に入ってからは、完璧な王子様、次期五大公爵の見目麗しい二人、騎士を目指す明るい男がローズマリー様の周りをうろちょろするわけですから、どうせ自分には無理だと思って、身を引こうとするんですよねー。
ですから、ただひたすらローズマリー様から押して、私はあなたが好きなのよアピールをしなくてはなりません。
こう見ますと、アーロンが情けなく思えますが、平民であるアーロンからすると、ローズマリー様が子爵令嬢だと言うだけでも、大変なのに、皆さんから愛されてしまっているんですから、そりゃあ、自分には無理だと思っても仕方ありませんよね。
ですが!アーロンにも幼なじみと言う強みがあります!
ローズマリー様はある特徴から、同じ年頃の女の子たちからやや敬遠されていたので、ご家族以外で心を許しているのはアーロンだけだったのです。
こうなると、レオ様にとって、なかなか手強いライバルになりそうですね・・・。
「ところで」
レオ様がまた辺りを見渡しながら、「ローズマリーが見当たらないんだが、一体、どうしたんだ?」
と、聞きましたが、どうやら最初から聞きたくて、うずうずしていたようです。愛ですねー。
すると、アーロンの表情が曇って、
「それが、王都で暮らしているおばさんに制服姿を見せに行こうと、貸自転車でおばさんの家に向かったんですが、浮かれていたのか、操作を誤って、自転車ごと川に落ちてしまったんですよ」
「は?」
さすがのレオ様もぽかんと口を開けました。
・・・はい?子爵令嬢が自転車に乗った?おまけに自転車ごと川に落ちた?
「それで、風邪を引いて、熱を出してしまったので、今はおばさんの家で休んでいます。僕は自転車にのるだなんてとんでもないことだと言ったんですけど、全く聞かなくて」
アーロンは深々と溜め息をつきました。
さすが、ヒロインですね!半端ないです!
アーロンは中国みたいな名前がいいなと思い、名付けました。
ウーロン茶って、中国だっけ?じゃあ、アーロンにしよう!・・・こんな感じです。アーロンには何だか謝りたい気持ちです。
登場人物の名前を考えるのは本当に大変でした。後で『ラ行』の名前が多いことに気付きましたが、どうしようもなく・・・。
アーロンは目立たせることが難しいキャラですが、作者も頑張りますので、よろしくお願いします。




