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キャスとカーライル公爵。その1

 私はリバーからの贈り物を手に玄関ホールの近くまでやって来ました。

 すると、リバーが高い高いをされながら、笑い声を上げています。物凄く喜んでいる様子です。


 そして、高い高いをしている側もそれはそれは楽しそうです。

 その人は、カルゼナール王国では平凡とされている茶色の髪ですが、爽やかで人懐っこさを感じさせる顔立ちに良く似合っています。キューティクルも完璧です。ええ。平凡なんて言わせません。

 私とリバーの双子と同じ色の瞳は・・・もうキラッキラです。リバーと同じくキリッとして凛々しいのです(私と違って吊り目ではないです)。


 そうです。今やっとリバーを降ろしたかと思ったら、それでも足りないと言わんばかりに、頭のてっぺんにキスしちゃってる人は、私たち双子の父、カーライル公爵家当主アンドレアス・ロクサーヌなのです!


 やっと、登場したので、紹介に力が入ってしまいました。ふぅ。


「それで」

 アンドレアスは夫のはしゃぎぶりを温かい目で見ていた妻、マリアンナを見て、「我が家の小さなお姫様はどこにいるんだい?」

 と、言いました。


 ・・・私のことですかね。ですよね。


 五大公爵の一人である父は本当に多忙で、いつもは私たちが寝てしまった後に帰って来ます。

 だから、珍しく早く帰って来ると、それはそれは熱烈なただいまの儀式(?)を行います。

 先の話で私が言っていた『お父様のあれ』はこのことなのです。

 この分だと、リバーより先に母に熱烈なキスをしてますね。母の頬がうっすら赤いと見受けられますからね。


「まさか寝込んでいるんじゃないだろうね!」

 途端に、アンドレアスの顔色が蒼白になりました。ほんとに忙しい人です。


「医者は呼んだのか?」

「え、呼ぶも何も・・・」

 ええ。そんな必要はありません。私はピンピンしているのですから。

「いつか倒れただろう?あの時、あのヤブ医者、何の問題もないと言っただろう」

 いや、あなたも子供の頃から診てもらってるお医者さんをつかまえて、ヤブ医者はないでしょう。

「あなた、ですから、キャスは倒れてなんかいませんよ。リバー、キャスは?」

 母は困っています。

 うーん、出て行きましょうか?


 すると、リバーが溜め息をついて、

「キャスー、近くにいるんだろう?」

 と、言いました。


 ・・・リバーは私が父の熱烈なるただいまの儀式を苦手にしていることを知ってます。

 だって、ただただ恥ずかしいのです。

 高い高いは5歳になったのを機にやめてもらいました。

 なぜなら、単純にスカートの中が見えるからです。そりゃ、周りには母とリバーしかいませんが、元は25歳。いや、現世での5年を加えて、30年も人間をやっているんです!そりゃあ、耐えられませんよ!


 しかし、私だって、父のことは好きですから、いつまでも隠れるなんて卑怯な真似はしません。悪役令嬢を目指す私です。堂々と出て行こうではないですか。


 私は一歩踏み出し、父の前に現れると・・・。


「おっ帰りなさい。お父しゃま」


 ・・・これさえなければ。くっ。





 双子の父、カーライル公爵の初登場でしたが、一番ゆるいお話になってしまいました。



 もう少し続きます。




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