序章
私は中学生の3年間、いじめられていた。
しかし・・・
悪口陰口を言われたわけでも、 私物を隠されたわけでも、パシリにされたわけでも、ましてや暴力を振るわれたわけでもない。
ただ、無視されていたのだ。
ただ、私・・・野崎明日香という存在が無視されていたのだ。
明日香には友人がいなかった。その理由として考えられるのは、父親の転勤で引っ越しをすることになり、元々、多くなかった友人たちと離れてしまったことだ。
そして、いじめられることになった原因は自分自身にあった。
内気な人見知り、家族や親しい人以外の前に来ると、顔が真っ赤になり、話そうとしても、声は小さくなり、ひどくどもってしまう。
だから、うんざりされてしまったのだろう。誰だって、明るくて、はきはきと喋れる人と一緒に居たいと思うものだ。
無視されるのは辛かったが、原因は自分自身にあるのだからと、明日香はクラスメイト達を恨んだことはなかった。
ただ今度生まれ変わったら、違う自分になりたいと思っていた。
何より誰かに必要とされる人間になりたかった。
何でもいい。私でなければ出来ないと皆に思われるようなことが出来るようになりたい。・・・そう。生まれ変わったら。
生まれ変わる前に、今、何とかすればいいじゃないかって、誰もが思うだろうけど・・・。