「ぼくのかぞく」いちねんにくみ、やましたそうご
ぼくのかぞく。山下そうご。
ぼくには、おとうさんとおかあさんがいます。
おとうさんは「りょうし」というお仕ごとをしていて、まい日てっぽうを持ってどこかにでかけます。
おかあさんは「女しゃ長」で、すごくえらいのだそうです。「お金ががっぽり入ってくるけど大へんなお仕ごとなのよ。」って、いつもゆっています。
ぼくは、やさしいおかあさんとおとうさんがすきです。
きのうも、おいしいおりょうりを食べさせてくれました。
とてもおいしかったので、おかあさんに「これ、なんてゆうの。」、ってきいたら、「ステーキっていうのよ。お肉をやいたもの。」って、おしえてくれました。
「なんのお肉。」ときいたら、「ぶたのお肉よ。おとうさんがつかまえてきて、さばいてくれたのよ、うふふ。」ておかあさんはわらいました。
「すごくとくべつでお金では買えないお肉だから、あじわって食べなさい。」といわれたので、一口三十かい、よくかんで食べました。いいお肉なので、がっこうのきゅうしょくとはたしかにちがうあじがするんだなあ、と思いました。
ばんごはんのあとは、おふろにはいりました。すると、おふろのおゆが赤色でした。えのぐをバケツにちょくせつとかしたみたいな色だったので、ぼくはすごくびっくりして、おかあさんにゆいました。
「おかあさん、おふろがこわれてるよ。」
するとおかあさんは、またわらってこうゆいました。
「ばかね、あれはバスクリンってゆうのよ。こわれたわけじゃなくて、ああいうものなの。体にいいのよ、とっても。てつとか……。」と、ぼくにはわからないはなしをしていたので、ぼくはさきにおふろににげだしました。
おふろからあがったあとに、ぼくはこの作ぶんをかきました。
かいているとちゅうにおとうさんがかえってきて、てっぽうをちかのそうこにかくしていたので、ぼくはききました。
「おとうさん、ぶたさんのお肉おいしかったよ。どこでつかまえてきたの。」
するとおとうさんはこうゆって、わらいごえをあげました。
「いいか、そうご。ぶたはね、しゃ会のごみなんだ。おとうさんは、おかねをもらってそいつらをしまつするのがお仕ごとなんだ。ばーんばーん、って」
きょうもおとうさんはぶたをもってかえってきました。
おとうさんがおんぶしていたふくろからぶたがでてきたのです。
「ほら、これがぶただぞ。いまからおふろばでさばくけど、見るか。」
と、おとうさんはいいました。
ぼくは、ぶたさんってにんげんににているんだな、とおもいました。
かみのけがはえているところや、ふくをきているところなんかそっくりです。おふろにはいったのか、バスクリンと同じにおいもしました。でも、ながぶろしすぎたのか、ちょっとバスクリンくさかったです。
おとうさんはぼくにぶたさんをさばくところをみせたかったみたいですが、ぼくはねむたかったので、ベッドに行きました。
これで、ぼくの作ぶん「わたしのかぞく」を終わります。