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後編…?

助けにこられた側のコウシュが厳ついおニーさんたちの誤解をといてくれたおかげで、俺は無傷で解放された。

そこは感謝できるが、剣(ホンモノにしか見えなかった…)を突きつけられて硬直した俺を見て、助けるより先にまず爆笑してくれやがったことは、ちょっと忘れられそうにない…。


「いやー、予想通りのイイ反応(リアクション)をありがとう!」


アナタってツッコミ属性だよね、そう言いながらコウシュはまだしつこく笑っている。

ちょっとムカつくので、横目で睨んでやった。が、コウシュが恐れいった様子はない。くそう。


「ごめんごめん、つい楽しくって。最近はツッコミ属性が身近にいなくってさぁ」


知るか。そう叫んでやろうとしたが、


「大声だしたらまた護衛が飛んでくるよ?」


しれっと言われて、しぶしぶ言葉を飲み込む。つか、何て言った今。護衛だと?


「…あんな護衛がいるとか、あんたやっぱり『偉い人』なんだろ…」


「護衛されるような『偉い人』が、森で拾ってきた一般人にかかりっきりにさせてもらえるわけなくない?」


「ゔ」


一般人いうな。…たしかに一般人だけど!


「まあ、遊ぶのはこのくらいにしよっか。…とりあえず、もう叫ぶのはなしね?」


「……」


誰のせいだ誰の。

思ったがツッコんではやらない。さすがにくやしいし。


「ここが異世界、って言ったのは、別にネタとかじゃないんだよ?ホントに異世界なんだ、日本があるセカイとは」


「…じゃあどこなんだよ…」


「どこのラノベってさっき言ってたよね。もしかしてトリップもののラノベとか、読んだことある?」


うなずく。

それを見て、コウシュもひとつ頷いて続ける。


「読んだことあるなら、アナタの現状はソレに近いと思ってもらえばいいと思う。ここは、あなたのいた日本があるセカイの人たちから見ると、現実と空想、みたいな関係」


「…なんか一気に胡散臭い話に…」


「胡散臭く聞こえるのは否定しないけどね」


苦笑するコウシュ。だが、さっきまでと違って、こちらをからかっているような感じはしない。


「はっきり言っちゃうと、あなたがいたセカイは、ここを含む他の世界にくらべて、かなり特殊な世界なんだ。アナタ、自分の世界で、人間以外のヒト型種に出会ったこと、ある?」


「人間以外のヒト型種ってなんだ…」


「うん。そう聞き返したくなるよね?アナタのいた世界には、ヒト型種(人間)はアナタと同じヒト型人間種しかいないでしょ。手から火を出す魔法使いや空を飛んだりできる超能力者、神様やドラゴンや妖精だって、物語の中にしかいない」


違う?

まっすぐに俺の目を見つめながら、コウシュは真面目な顔で聞いてくる。


「…違わない」


「そう。違わない。なぜなら、アナタのいた世界は、肉体を持ったヒト型人間種(ニンゲン)しかいないの。『非科学的』なものをすべて排除された世界、それが、アナタがいた世界なんだよ」


そこでいったん言葉を切り、コウシュは紅茶に口をつけた。


「あそこはね、いろんな世界の人間が、魔法や不思議と切り離されて、重い肉体を持って時間を暮らす、修行の地、みたいな扱いなんだ。アナタがいた日本の宗教で、あるでしょう?この世とあの世、とかいう表現。感覚的には、あれが近いのかなぁ…」


あの世!?


「ちょ、ちょっと待て!つまりここってあの世で、あの世って、俺死んだのか!?」


「『こちら』はアナタの世界で死んだあとに来ることになる世界でもあるわけだけど、アナタはまだ死んでないから。それと、あの世っていうよりは、生物の集合無意識の世界、っていうほうが当てはまると思うよ。『こちら』は要するに、人間の意識の世界なんだから」


「死んでない…?あの世じゃなくて集合無意識…?」


オウム返しにつぶやく俺を見て、ついていけてないことに気づいたのだろう。コウシュが、どうしようかな、と悩む顔つきになった。


「…なんて表現すれば、わかりやすいかな…。ものすごく平たく、『世界中の人が見ている夢の中の世界』とでも思っておけば支障はないと思う。アナタの世界で紡がれる物語や映画の世界は『こちら』のどこかに実在するものでもあるし、『こちら』の実在の人物や出来事を参考に作られたものでもある。本人たちには自覚はなくても、人間はみんな、精神的にずっと『こちら』とつながっているから。…こうしてわたしとアナタが会話してるのだって、今ごろアナタの世界の誰かがマンガか小説にでも書いていて、他の誰かが物語として読んでいるのかもしれない。まあ…日本に帰ったら、探してみるのも面白いかもね?」


コウシュがふたたび苦笑したところで、外から扉をノックする音がした。


『コウシュ。ご下命の件、調査が完了いたしました』


「ご苦労。入って」


『はい。失礼します』


かちゃり、と扉をひらいて入ってきたのは、…あれ、門番?


「…誰が門番だ」


「え、口に出してた…?」


すごい目で睨まれて、冷や汗をかく。コウシュはにやにや顔で傍観の構えだ。


「……ゴメンナサイ」


とりあえず謝る。上目遣いで顔色をうかがうと、門番(だと思ってた相手)は、ふん、と鼻を鳴らして俺を睨んでから、コウシュに向きなおった。


「コウシュ。この日本人の属する時空軸と空間座標の特定が完了いたしました。すぐに移送なさいますか?」


「んー…」


コウシュがちらっと俺のほうを見る。

移送?移送って、帰してくれるんじゃないのか。帰してくれるんなら帰してくれるで、早く帰らせてほしいんだが。こんなわけわからんところに長居はしたくないし。

しかし俺の無言の催促には気づかなかったのか(それとも無視したのか)、コウシュは門番(だと思ってた相手)に「報告書ちょうだい」と手を出して、なにか紙の束みたいのを受け取って読みはじめた。

そのままの状態で、10分経過。

非常に居心地がわるい10分だった。なにせ門番(だと思ってた相手)が、無言で俺を睨んでる。なぜだ。

紙の束を読み終わったコウシュが、また、ちらっとこちらを見てから、門番(だと思ってた相手)に目配せした。門番(だと思ってた相手…どうでもいいけど長いな)が、コウシュに一歩近づく。


「────」


「──」


さっきまで日本語(だと思う。だって聞き取れてた)でやりとりしていたのに、急に俺にはわからない言葉でなにか短いやりとりをして、目の前でコウシュたちは頷きあう。…なんだ?


「じゃあリエナ、お願いするね」


門番だと思ってた相手、もとい、リエナにそう言うと、はい、と頭を下げるリエナには見向きもせず、コウシュはさっと立ちあがって、部屋から出ていこうと──え、俺が帰れる話はどうなった!?

思わず立ち上がろうとしたら、すかさずリエナが動いて、俺とコウシュのあいだに立った。


「あの方はこれから大切なお仕事がおありだ。客人、キミは私と来るように」


む、無表情で言われると怖いんですけど…っ!

リエナの迫力に負けた俺には、早く帰りたいという切実な願いを口にする度胸はなかった。

そのあいだに、コウシュは部屋を出ていく。

後ろ姿が扉の向こうにあっけなく消えて、俺はちょっとだけ途方に暮れた。

こんな目つきのこわいヤツと二人っきりにしないでほしい。

俺、結局いつ帰れるんだろう。

説明もないとか理不尽だ…。

結局まだ終われませんでした…_| ̄|○

しかし、書きたかった会話までは無事にクリア!

あとは「俺」を無事に帰してあげるだけ。


…ちなみに「生物の集合無意識の世界」って打ち込んでるとき、「これって要するにCの○界では…」とつい思ってしまったのはご愛嬌ww

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