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中編

森を抜けて、たどり着いたのは西洋式のでっかいお城でした。

……本気でどこのRPGだこれ。

呆然とする俺のようすを気にすることなく、先導するコスプレ人間は、そのでっかい城の裏門らしき通用口の木戸を慣れた手つきで開き、俺に向かって手招きした。


「さ、入って入って」


どこか現実味がないまま、手招きに従って木戸をくぐると、入ってすぐの位置に、金属の胸当てをつけて腰に長剣(ホンモノ…??)をぶらさげた、背の高い男が立っていた。これがRPGだとしたら、この男は門番ってところかな。

門番は、俺に対して胡散臭そうな目を向けたあと、コスプレ人間に対して軽く一礼してから問いかけた。


「コウシュ。この男は?」


「森に落ちてたから拾ってきた。わたしの客だよ、粗相のないようにね」


「……わかりました」


コスプレ人間──コウシュ、というらしい──はどうやらこの城である程度の身分があるらしく、コウシュの言葉を聞いた門番は、ため息をつきながらだが、俺にも軽く頭を下げ、そのまま一歩後退した。そこが定位置、なのかな、背筋を伸ばして立ったまま、直立不動の体勢になる。


ほら行くよ、と声をかけられたかと思うと、コウシュはすでに、城の入り口?らしきほうへと歩き出していた。こんなところに置いていかれては困るので、あわててあとを追う。


「なあ」


「何?」


歩きながら話しかければ、そっけない返事が返ってきた。


「…名前、コウシュっていうのか?」


問いかけると、コウシュはピタッと立ち止まって俺を見た。


「…まあ、たいていみんなそう呼ぶね」


「……違うのか?」


「いや?違わない」


そう言って、コウシュはニヤッと笑う。

やり取りのあいだに、向こうから数人が歩いてきてすれ違ったが、みなコウシュの姿を見ると頭を下げてから通り過ぎていく。もしかして。


「…あんた、実は偉い人?」


コウシュはくすっと笑って、ふたたび歩きだす。


「偉い人なら、あんた呼ばわりはマズイんじゃないの?」


その言葉にドキッとするが、コウシュの声はどこか面白がっているように聞こえた。

偉い人…では、ないのか?


「マズいのか?」


「ん~?別にィ~?」


軽く笑いながら、コウシュはたどり着いた城の建物の入り口の扉を開けて、そのまま中に入っていく。ついていくしかないので、俺もそのあとに続いて中に入った。

入り口から伸びる廊下の、毛足の長い絨毯を踏んで歩く。

コウシュは迷わず、どんどんと城の奥に入っていく。

そのあいだも何人もの人に行き会うが、やっぱりみんな、立ち止まったり、手を止めたりして、歩いていくコウシュに頭を下げて見送っている。この対応は「偉い人」だろ、このコウシュっての、相当偉いのか?

だとしたら、タメ口はマズかったんだろうか。いやでも、マズいのかって聞いたらさっき本人が「別に」って…、いや、…あれ?こ、混乱してきたぞ。


「?着いたよ、入って」


本格的に混乱してきた俺に不思議そうな顔をしながら、廊下のつきあたりの部屋の扉をあけて、コウシュは部屋の中へと姿を消す。

あわてて追いかけて、入った部屋の内装にまた驚いた。応接室、か…?入った正面にソファとローテーブルの応接セットがあって、その向こうにドラマなんかで社長室とかに置いてありそうな立派な木製のデスク、さらに奥の壁には大きな(そして高そうな)絵。四隅に配置された大きな花瓶には、色とりどりの花がこぼれるほどたくさん生けられていた。

デスクの向こう側にまわって腰かけながら、コウシュはソファを指さして、座って、と言った。

言われたことに機械的に反応して座る。やわらかくて座り心地がいい。

ノックの音がして、さっき廊下ですれ違ったうちのひとりが、ティーセットの載ったトレーを片手に部屋へ入ってきた。

ふたつあるカップを、コウシュのデスクにひとつ置き、次に俺の前にもひとつ置いて、そのまま一礼して扉から出て行く。

カップからは、紅茶らしき匂いがした。

正直喉は渇いているが、コレは本当に俺の知っている紅茶と同じものかと躊躇して、口をつけるのはためらってしまう。

コウシュは、と見れば、コウシュはごく普通にカップに口をつけていた。…当たり前か、コウシュにとっては知ってる人間が出したものなんだし。


「紅茶はきらい?」


「え。いや、嫌いじゃない…」


「じゃあまず飲みなよ、お茶しながら話そう。なにから聞きたい?」


じゃあ、


「…とりあえず、俺の話、信じてくれてんの?」


「あ、そこからなんだ?…まあそうだよね。普通なら信じてもらえないとか思うよね。でもまあ、ココではあんまりめずらしくない話だし、うん。疑ってはないよ」


「めずらしくない?」


うん、と頷いて、コウシュはふにゃっと笑ってみせた。


「それほど頻繁に起こることでもないけどね。でも、めずらしくはない。今回は特に、わかりやすいくらいはっきりした歪みができてたから、アナタはそこから落ちてきたんだと思うよ」


歪み?


「そう。歪み」


そうしてコウシュは、なんでもないような顔で、さらっと変な質問をしてきた。


「ファンタジーは好き?」


特に好きなわけじゃないけど、ファンタジー系のロープレとかは、普通にプレイしたりするけど。てか、この質問にはなんの脈絡が。


「うん。ファンタジーっぽい話題に拒否反応を示す人っているじゃない?アナタがそれだと、説明が面倒になるからね。まあ、確認?」


ファンタジーっぽい話題…?

嫌な予感がする。


「ココが結局どこなのか、まず理解してもらわないと話が進まないでしょ。日本じゃないのはもう言ったけど」


いったん紅茶で口を湿らせて、コウシュはありがたくない爆弾を投下してくれた。


「ファンタジー好きの人なら、科学万能主義者よりも受け入れやすいみたいなんだよね。ココがアナタの世界で言うところの、異世界なんだってことは」


反射的にこうツッコんだ俺を、いったい誰が責められようか。


「どこのラノベの話だーっ!!」


次の瞬間、「コウシュ、ご無事ですか!?」と叫びながら殺気立ったおニーさんたちが飛び込んできて、俺は抜き身の剣を四方八方から突きつけられるハメになっていた。

……ああ、本当にどうなるんだ、俺。

ラストシーンが真夜中テンションのgdgd感満載だったので、ちょっとだけ書き直しました。

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