バトル!!2
鋭い牙からおびただしい涎れを垂らした獣型モンスターと、多くの枝を鞭のように振り回す植物モンスターに取り囲まれた状態で、正志と頼は背中を合わせたまま、バトルポジションを崩す事なく、軽く肩で息をしている二人は、互いの安否を確認していた。
「はっ! 頼、息上がってんじゃねーのか?」
「言ってくれんじゃん! そういうお前の方が、ヤベェんじゃねーのか?」
「確かに、マジで多いな。こいつは流石にきついわ」
「よっしゃ! そしたらここからは、俺の出番だな! 後のモンスターも数知れてるみてーだしよ!」
獣型モンスターの牙の攻撃を刀で受け流しつつ、頼は口の中に入った刀を、モンスターの後方へと流れるように斬りつけた。モンスターは背中部分と腹部分に分断され、そのまま頼の後方に落下した。
「ふんっ! 俺もまだやれるぞ。お前に負けてられっかよ!」
モンスターの攻撃を素早いステップでかわし、正志は釘バットで植物モンスターの幹を粉砕し、サバイバルナイフを縦横無尽に斬りつけた。
「俺達も目茶苦茶だよな! 話しながらバトルなんてよ!」
「はは、マジ言えてる。でも、やっぱ俺ら強くなったって事じゃね!?」
「だったらいいな! っとラスト1匹頂き! ……はぁ、はぁ、どうだ、思い知ったかバケモノ共め! 俺達は、この辺りじゃ負け知らずなんだよ!」
頼は、飛び掛かる獣型モンスターの腹に刀の先端をあてがい、そのまま走り込むと、その腹を切り開き、落下するモンスターを振り返りながら大声で言い放った。
「あ〜あ、最後持ってかれた。ショックでけー!」
正志は空を見上げ、いかにも屈辱といったように、両手をあげた。そしてそのまま二人は、草むらに倒れ込んだ。
「はぁ、はぁ、なぁ、正志、そろそろ、この、装備じゃ、ちょっと、ヤバくねー?」
「はぁ、はぁ、そうか? 俺、は、まだ、いけるぜ。なんてたって、伝説、装備、だぞ!」
激しく息を切らした二人は、モンスターの体液の散らばる草むらに横になったまま、話をしていた。
「ははっ。言ってろ。俺は、マジで、ちょっと、装備、考え、直すわ」
「せっかく、刀、見つけた、ばかり、なのに、か?」
「これは、……ふぅ! これは、これからも使うさ。でも、俺も複数装備を考えようと、思ってさ」
「なるほどね。やっと俺の偉大さが、分かったと」
「へっ! マジで言ってやがれ!」
二人は、呼吸が落ち着いてからゆっくり立ち上がると、モンスターの体液にまみれたお互いの顔を見て笑いあった。