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伝説の武器

「へへっ! どうした頼! もう終わりか? 余裕だね!」

 辺りにモンスターと化した動植物が横たわる中、正志は少し息を切らせながらも、ギラギラした目で笑みを浮かべながら、頼に話し掛けた。

「くそ! まだだ! なぜだよ! なぜお前に勝てないんだよ!」

 頼は息を切らしながら、ひざまづくと地面を拳で殴り付けた。そんな頼を横目に正志は、自分の装備を取り出しながら、自慢気に話始めた。

「へっ! それは、俺の装備が完璧だからさ! まずこれ、粉砕兵器・メガトンハンマー!」

「かっこよく言い過ぎじゃねーか? ただの釘バットじゃねーか」

 正志が背中から抜き出した無数の釘の刺さった木製バットを見ながら、頼は大声を出した。

「そして、我が家に伝わる伝説の秘剣・エクスカリバー!」

「それは、俺と一緒にアウトドア用に買いに行ったサバイバルナイフだろ!」

 正志が腰から引き抜いたナイフを、呆れた顔で眺めると、頼は首を横に振った。

「きわめつけは、泣く子も黙るオイルタンクと火炎放射機!」

「おいおい、よく恥ずかしげも無くそんな事を言えるよな! それ、油の入った水鉄砲とライターと殺虫剤をひっつけただけの物だろ! 確かに火炎放射機ってかっこよく言ったりもするけどさ」

 もう言う言葉が見付からないとばかりにそれだけ叫ぶと、頼は仏頂面のまま座り込んだ。

「へへっ。要は考え方さ。まずは形からってね。こういう風に考えた方が、カッコイイだろ? しかも、これがマジで強えーしよ! お前への連勝が物語ってんじゃねーか!」

「マジやってられねーよ。なぜ、そんな身近に在るような武装のお前に負けねーといけないんだよ」

 正志の装備を眺めながら、まだ納得がいかないとばかりに、自分の刀を見詰めなおした。

「これで、レベルアップでもしたらなぁ」

 正志がそう言って、遠くを眺めると、頼も大きく頷いた。

「そうそう、ゲームとかなら、レベルアップして攻撃力が上がったり、ヒットポイントが上がったりして目に見えて強くなるんだけどなぁ」

「でも、実はレベルアップしてたりして」

「どうして?」

 頼に尋ねられて正志は、サバイバルナイフを眺めながら話を続けた。

「今までさ、ずっとこいつらで、モンスターどもを狩ってきたじゃん。だからさ、実は力が上がってたり、走り回ってるうちに持久力が上がったりしててさ、それがレベルアップって事だったりって思ってさ」

「強えー奴はいいねぇ、楽天的で。俺は、こう何か音が鳴ってレベルが1アップしたとか言われた方が、強くなってるって気がしていいわ」

「お前それ、ゲームのし過ぎだぞ! まあ、確かにそっちの方が、実感は沸くけどね。……って話し込んでる場合じゃなさそうだぞ!」

 半ば呆れた顔で話を聞いていた正志だったが、周囲に近付く無数の影を見付けると、険しい表情になり立ち上がった。

「何か、のんびり話過ぎたな」

 頼もゆっくりと立ち上がると、スゥっと静かに刀を鞘から抜き出し、既に戦闘体制に入っていた。

「囲まれてる! しかも、相当な数だ!」

「でも、伝説の勇者・正志と一緒ならば何とかなりそうな気がするのは、かなり心強いねぇ」

「サンキュー! そう言われちゃ、ご期待に沿わないといけねーな!」

「まあ、こいつら大半がプラントモンスターみたいだから、動きは遅いし何とかなるさ!」

「じゃあ、行くぞ!」

「おう!」

 そう言って二人は、お互いの顔を見て、何か目で合図をしたかのように、モンスターと化した動植物の中に、それぞれ大声をあげながら飛び込んで行った。



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