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来訪者

「なんじゃテメェら! 突然やって来て、何が『我が傘下に入らぬか?』だ! ……大体よぉ、お前は何も持ってねぇし、そっちのオッサンは、何だ? 何か出来んのか? まぁ、そっちの女は論外か。一体何の冗談だ?」

 浩二達は、山里家を訪れていた。が、入口で激の邪魔が入り、そのまま立ち往生を余儀なくされていた。

「貴様らの戦闘能力は非常に他の人間と比べて高い。我はその能力を評価する。我『ホリスタ』の為に『キラヘル』と戦え。どうじゃ、我が傘下に入る気になったか?」

「アホかテメェ! いきなりやって来て、上から目線でモノ言われて、じゃあ傘下に入りますって誰が言うんだよ!」

「ほう。貴様、我に逆らうつもりか? 我に逆ろうても、何もよい事など無いぞ。貴様では話しにならん。もっと物分かりのよい者を出せ。貴様が、この中で一番能力の低い者でもある事は分かっておる」

「何を! テメェ! さっきから好き放題言ってくれんじゃねぇか! ……って霧斗さん何ですか? コイツら俺だけで、追っ払いますから……」

 玄関口で大声で喚き散らしていた激に怒りを覚えたのか、激の肩を持ち後ろに追いやると霧斗が出てきた。

「で、あなた方はどちら様でしょうか?」

「もう一度、初めから説明しなければなるまいか?」

 『ホリスタ』は、うんざりした顔で霧斗に話し掛けた。

「そうですね。僕も、激君の声は聞こえていましたが、あなたの声は聞き取れ無かったもので。すみませんが、もう一度お話し頂いてもよろしいでしょうか?」

「うむ。仕方ないのう。我の名は、……」

「その人は『ホリスタ』ってヤツ」

 浩二が名乗ると同時に、いつの間にか横に来ていた正志が、突然言った。

「正志君いつからそこに? ……というか何故君は、彼の事を知っているんだい?」

 霧斗は突然現れた正志にびっくりしながら、尋ねた。

「何でって、さっきそのオッサンが自分で言ってたじゃねーか。『我『ホリスタ』の為に『キラヘル』と戦え』ってな。なぁ、オッサン。そう言ってたよな」

 突然話を振られた浩二は、少し困ったような表情を見せた。

「あ、あぁ、そう申した。はて、貴様に云うた覚えは無いのだが……」

「正志君。君、僕達と一緒にいたよねぇ」

「あぁ、いたけど俺には聞こえんだよ。そっちの頼りないオッサンは、名前は知らんけど、先生って呼ばれてる。女の人は穴渕。それぞれ、互いに呼び合ってたから間違いねー。だよな、オッサン」

 こちらも突然話し掛けられた矢馬鍋は、困惑の表情を見せたが、大きく頷いた。

「ところでよ、オッサン。『キラヘル』って何だ? 『ホリスタ』ってのもよく分かんねーんだけど、説明してくれっか? ……後よ、『キラヘル』ってヤツ、バケモノみてーな姿になったりしねーか? そんなヤツだったら一人知ってんだけどな」

 正志の話を聞いていた浩二は、だんだん表情が険悪になり、今にも正志に飛び掛からん状態になっていった。

「貴様、『キラヘル』を知っておるのか! ヤツは今何処におる! いかな姿をしておるのじゃ! ……いや、申し訳ない。少し取り乱してしもうた。『キラヘル』の事であったな。『キラヘル』とは、我『ホリスタ』と対を成す存在。我等は、人に在らざるモノ。実在する姿を持たず、人や獣の衣をまといて存在を有とする。我等は、幾度となく争いを続けてきた。『キラヘル』は自らの細胞を憑依させ、自身のしもべを作り出すが、我はしもべというモノを持たぬ。故に我が同朋・仲間となる強力な戦士が必要となるのだ。これで分かってもらえたであろうか?」

 皆が呆然とするなか、正志は興味津々とばかりに身を乗り出し、眼をキラキラさせて聞いている。

「して、ここまで説明したのじゃ、貴様ら我が傘下に入らぬか?」

 『ホリスタ』は苛立ちを隠せないのか、怒り口調で正志に言い寄った。

「まっ、いいんじゃねーの。但し、オッサンの傘下には入らねー。オッサンを仲間にしてやるだけだ。ただ、『ホリスタ』って聞かされても、戦力になるかどうかってのは不明だからな、霧斗さん得意の見極めを行ってからじゃねーとヤだね。どうだい? オッサン達よ!」

「我を愚弄する気か小僧ぉ! 人間風情が我を試すだと! 誰が試されるのか、その身を持って知るがよい!」

「って事はOKって事だな。弱いヤツ程よく吠える、つーからな。まあ、あんまり期待しないでやるよ。じゃあ、やろーか。前の広場でいいよな。じゃっ、いっくぜー!」

「!!!!」

 憤怒した『ホリスタ』を挑発するかのように、正志は挑戦的な態度を崩さず自分の言いたい事だけ言うと、『ホリスタ』を後に駆け出して行った。その後を追うように、『ホリスタ』も後に続いた。

「正志君……。大丈夫……か? なぁ、あんたあの『ホリスタ』という奴は手加減出来るのか?」

「いや、私も戦闘中の彼を見た事は無いのだが……、難しい……かもな……」

「そうでしょうね。はぁ。正志君。大丈夫かな」

 そう言いながら、山里夫婦・中田・矢馬鍋達は、正志達の後を追って行くのだった。



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