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手合わせ

「どうだい? 足の具合は?」

「はい。もう大丈夫だと思いますよ」

 霧斗達は、病院を目指して車を走らせていたが、ろくに会社も動いていない現在の状況で、病院がまともな機能をしているとは考えられないと、近くの薬局で処置器具を入手し、山里家まで戻って来たのだった。

「ちょっと! 正志君! この人の前で大丈夫とか、言っちゃダメ! そんなこと言うと、『じゃあ、君の力を早速見せてもらおうかな?』とか言い出すに決まってるんだから!」

「で、神名さんの言う事は置いといて、実際のとこどうよ?」

「何よ! 置いといてってのは!」

「まぁ落ち着けよ。神名の言う事も分からない訳じゃない。でも、僕達……いや、僕は激君や正志君と正式に手をまだ組んでいないつもりなんだ。……もし、正志君がもう動いても本当に大丈夫なのだったら、神名! お前も含め、4人で手合わせしたいと思ってるんだが……」

「えっ! 私も?」

「俺、もう仲間のつもりでいたのに違うんですか?」

 中田の言葉を聞いていなかったように、霧斗は話を続ける。

「バトルの方法はいたって簡単。4人で、戦うのだけど、それぞれが敵。要は、全員が1対3みたいになるって方法で」

 霧斗のバトルの説明が終わると、正志は「やりましょう! 俺はもう本当に大丈夫だから」と言うと、ベッドから飛び起き、自分の装備の点検・装着を始めた。

「正志君! もうどうなっても知らないからね。私もやるからには本気で行くから」

「じゃあ、行きますか?」

 と中田が部屋を出ようとした時、正志が「ねぇ、何か棒ない?」と聞いてきた。

「棒ねぇ。何よ唐突に。物干し竿でもいい?」

 神名が、少し怒ったような口調で言い返したが、正志は「いいですよ」と笑顔で返答し、4人は、近くの空き地に移動して行った。神名が、物干し竿をとって来た後で。


「さあ! 始めるか!」

 霧斗が全員に聞こえるように声を張り上げ言うと、正志がまた口を挟んだ。

「ちょっと、ルール変更! 霧斗さんのさっきのルールじゃ、俺の強さは絶対分かんねーから、俺対みんなね! ……OK? 返事は聞かない。じゃあ行くよ! レディィィィ! Go!」

「「ちょっ、待っ!」」

 何か言おうとした霧斗と神名だったが、掛け声と共に正志が動き出した為、すぐに戦闘に集中した。

 掛け声と共に正志は、長刀を右手で抜くと、抜刀と同時に激に左からの一閃を浴びせ掛けた。激は、咄嗟にチェーンを縦に持ち攻撃をガードすると、後ろに大きくジャンプし、チェーンを大きくクロスに振り下ろした。正志は、初撃の後すぐさま激の方にダッシュし、左に横飛びすると激の後ろから走り寄る神名に火炎放射を浴びせ掛けた。火炎はそのまま周りに放たれ、激の後ろへも放たれた。神名は、咄嗟に火炎の来ない所へ移動したが、激はチェーンを振り下ろした瞬間、背面から火炎を浴びせ掛けられ避ける間もなく背中が燃え上がった。激は、すぐに背中を地面に付け消火を行うと、一度戦闘区域より離脱した。神名は、火炎を回避しながら正志に向かって行った。正志は火炎放射後、今度は背中にあった物干し竿を抜き出し、両手で構え、神名の方へ走り寄ると上から下への打撃を繰り出し、そのまま自分の後方へ、物干し竿を突き立てた。神名は、物干し竿を右手で払い退けると、そのまま正志の方へダッシュし、拳と蹴りを交えた連打を仕掛けた。正志は、近距離の神名が迫って来た途端、両手で物干し竿を掴んだまま、体を回転させた。正志の後方へ突き出された物干し竿は、正

志の後ろから迫っていた霧斗が、サッっと横へ避けていた。霧斗も、物干し竿の一撃を回避と同時に、正志の方へ走り込み、得意のナイフの斬撃を正志へと繰り出したが、物干し竿の中央付近を持ち、体を回転させる正志に、神名も霧斗も近付く事が出来なかった。ヒュッっと空を斬る音が聞こえた瞬間、正志は物干し竿を頭の上に差し出していた。チェーンが物干し竿に巻き付いた途端、正志は長刀とサバイバルナイフを抜刀し後方へ下がるとスピードスタイルへ変化した。激は、チェーンを手元へと戻すとチッっと舌打ちした後、物干し竿を投げ捨てると、正志の方へダッシュした。神名・霧斗の二人もこの隙を逃すまいと、正志の方へ走って行く。攻撃範囲に入った激は、右手でチェーンを左上から右下へ流れるようにたたき付け、左手で左の腰からチェーンを取り出すと、そのまま上へ突き上げるように流撃を繰り出した。激の右手のチェーンが空を斬っている間に、霧斗・神名は正志の左右へ展開し、霧斗はナイフでの無数の斬撃を、神名は拳での連撃を仕掛けた。正志は3方向からの攻撃に、チェーンはまず無視し、右手の長刀で霧斗の連撃を、左手のサバイバルナイフで神名の連撃を回

避しつつ、後方に下がると見せ掛けて、前方にダッシュをすると、前から迫るチェーンを刀で右へ反らし、激の胸元へ一蹴すると、激の喉元にサバイバルナイフを寸止めし、左右の二人に威嚇しつつ「一人撃破!」と叫ぶと、そのまま前方へダッシュし、振り返りスピードスタイルに戻った。

「嘘ぉ! 俺、もう終わりかよ! マジで! くそっ!」

 空を見上げたまま叫んでいる激を他所に、その声を合図であるかの如く、神名と霧斗の二人は正志の方へと走り寄ろうとしたが、突然目の前に炎の壁が出現しその足を止めた。

 正志は、振り向き様にペットボトルを水鉄砲から離し自分の目の前にぶちまけ、スピードスタイルに戻すと、火を着けたライターをオイルの中に放り込むと、音もたてずにその場から立ち去ったのだった。


「もう! どこ行ったのよ!」

 神名は、正志を探して林の中を歩いていた。やみくもに歩き回っても見付からないのは分かっていたが、じっとしていて襲われるより、ずっとマシだった。神名が歩いていると大きな木が目の前に現れた。プラントモンスターの可能性もあると思い、慎重に近付くとその幹に、渾身の一撃を放った。しかし木は、ただの木で上からハラハラと落ち葉が舞い降りて来ただけだった。「ふうっ!」と気を少し抜いて、また歩き始めたその瞬間、木の上から大きなモノが落ちてきた。殺気を感じた神名は、咄嗟にファイティングポーズをとったが、ドサッっと神名の後ろで音がした瞬間、神名は左脇腹に激痛を覚えた。神名は咄嗟に「正志君!」と叫んで後方に裏拳を繰り返したが、そこに正志はおらず、今度は右足に痛みが走った。神名は再度裏拳を繰り出そうとしたが、咄嗟に危険を感じ前方に大きくジャンプすると、一回転し振り向き様に下段の回転蹴りを行った。神名がファイティングポーズをとり立ち上がった際、目の前では刀の柄と物干し竿を腹部に突き立てられた霧斗の姿が飛び込んできた。

「霧斗さん。甘いッスよ。後ろから殺気をちらつかせてたら、警戒しない訳ねーッスよ」

「正志君。君は人の気配を感じる事が出来るのか」

「まぁ、経験が違うんでね」

 そう言うと正志は、一度両手を前に出したと思うと、再度後ろの霧斗に刀の柄と物干し竿を突き立て、その反動で前転すると、神名の前でニッっと笑ってザッと音と共に横飛びし姿を消した。

「霧斗!」

 神名は、名前を呼びながら駆け寄る。

「神名、大丈夫か? あの子……正志君だが、思っていた以上だ。僕としたことが見誤っていた。神名、彼に一人で立ち会うのは危険だ。彼は、気配や殺気といった目に見えないものを感じる事が出来る。また、初めての場所でもその土地の活用法やバトルスタイルも瞬時に判断して対応する事が出来るようだ。味方に就ければ、一騎当千だが敵に廻すと、恐ろしい存在だ。このバトルを申し込んだのは僕達なのだから、せめて一撃だけでも入れないと申し訳ないじゃないか。……じゃあ行くよ」

 と二人は、林の中へ駆けて行った。


「正志君。正々堂々と勝負しないか?」

 霧斗は一人歩きながら何度もそう叫んでいた。しばらく歩くと、突然横の茂みがガサガサと音をたてた為、霧斗はナイフを取り出し構えに入った。

「キャア!」

 後ろを隠れるように尾行していた神名が、突然悲鳴を挙げた。

「どうした! 何かあったか!?」

 霧斗が駆け付けると、神名の前にアニマルモンスターが数匹血を流して倒れている。

「来ちゃダメ!」

 神名が叫んだ瞬間、霧斗の肩に何かが乗っかった。

「動かないで下さいよ。動いたら斬れますから」

 霧斗が右肩をそっと見ると、肩に刀が置かれており、首筋に刃がたてられていた。

「そのまましゃべりましょう。霧斗さん、挟み撃ちは正々堂々とは言いませんよ。霧斗さんなかなか卑怯ですね。……じゃあ、正々堂々とタイマンで勝負しますか? それとも、2対1でやりますか?」

 と言うと正志は、刀をスゥーっと後ろに下げて、ニッっと笑った。

「そうだね。君の言う通りだ。挟み撃ち、しかも騙し討ちってのは正々堂々じゃないね。……そうだな、僕はまだ君とまともに一騎打ちってのをやってないからなぁ……。神名! ちょっと見学しててくれるかい? 僕もこの子の力を見てみたくなった」

「ちょっと、霧斗。本当に一人でやる気? ヤバクない? 本当に大丈夫?」

 神名は心配そうに霧斗を見つめたが、霧斗は楽しそうにファイティングポーズをとった。

「じゃあ始めようか?」

「お! やる気だねぇ。じゃあ、やるっきゃねーな! 行くぜ〜!」

 と二人はお互いに飛び出して行った。

 先制攻撃を仕掛けたのは霧斗だった。霧斗は素手で近付くと、正志の傍に来た途端、両手で両腰にぶら下げてあったナイフを抜き、両手を上に上げるように斬り掛かるとその手を左右交互に、切り下ろし切り上げを続け様に繰り出しながら前進した。正志は、一度飛び出したが、迫ってくる霧斗を見て、長刀を抜くと両手で構え、受けの体勢に入った。霧斗のナイフの斬撃を刀で受け流しながら、正志は少しずつバックステップを繰り返していく。

「霧斗すごい。あの刃の雨の中ならどうする事も出来ないかも。もしかして霧斗勝てるんじゃないの」

 霧斗は、一撃もヒットしていない事に不安を覚えたが、連撃の手を緩める事無く、前進して行った。と、突然目の前から正志の姿が消えた。と同時にドサッっと音が聞こえた。『しめた正志君後ろに倒れたのか。今だ!』と霧斗が、追い撃ちを掛けようとした。『!!!』が、霧斗は身の危険を感じ思い留まった。その瞬間、霧斗の目の前を何かが下から上に勢いよく通り過ぎた。

「霧斗さん。正〜解! でも、残念! 一撃じゃ、終わらねーよ!」

 既に立ち上がっていた正志が、嫌味垂らしく笑ってそう言うと、目の前を通り過ぎた物『物干し竿』が上から落ちてくると霧斗の顔の前でピタッっと止まると、突然顔に向かって突き出された。正志は物干し竿を足で器用に操ると、何度も霧斗の顔面に突きを出し続ける。物干し竿を左手に持つと正志は、そのまま右から左へ物干し竿を振ると、右手で刀を抜き右上へ切り上げた。霧斗は、形勢逆転とばかりに攻撃に入った正志の突きを左右のフットワークでかわしながら、後退の一途をたどっていた。突きが止まり、横一閃の打撃をバックステップでかわした霧斗は、次の刀の斬撃が上がるのを見届けると、正志に向かって切り込んだ。ナイフを逆手で持ち、縦横斜めの斬撃を連続で放った。と、突然正志の姿が消えたと思った瞬間、霧斗は宙に浮いていた。ドサッっと背中から地面に落ちた途端、上から正志に乗られ、首筋にサバイバルナイフを添わされた。

「霧斗さん。連撃のスピードは確かに速えーけど、足元が無防備になってますよ。二人目撃破!」

 そう言うと正志はスッっと立ち上がり、ニッっと笑うと霧斗の手をとった。

「ありがとう。……そうか、足元か。確かに僕の武器はリーチが短い、それをカバーするようにスピードを上げていたんだけど、……そうか、君みたいにスピードにも対応し尚且つ、防御の隙に反撃の方法を考える事が出来る僕の攻撃方法には問題点があるようだね。ありがとう、君のおかげでいい勉強になったよ。……後は神名だけか、……神名も近距離タイプだけど強いよ。でも、君の方が上手かな? 君はオールレンジ、万能タイプみたいだし。まあ頑張れよ。激君と二人で見学してるよ」

 霧斗は正志にニコッっと笑って見せると握手をして立ち去ろうとした。

「霧斗さん。ちょっと生意気ですが、霧斗さん用の戦術指南しますよ」

「ん? 何かな?」

「霧斗さんは、自分の事を近距離レンジ型のスピードタイプだと思っていると思うけどそれはハズレ。本当は、中距離プラス近距離レンジのスピードタイプが当たり。何でかってーと、ナイフ投げれるっしょ。で、今まで通りの近距離攻撃も出来る。……ここから本題なんだけど、霧斗さんはスピーディーな連撃を出そうとするせいで、相手をしっかり見てねーっしょ。だから、突然避けられて反撃くらったり、テンパったりするんですよ。まず、相手をしっかり見る事。で、レンジやタイプなんて気にしねーの。霧斗さんの場合は、上下の状況にもしっかり目を配る事。この二つで、今よりも格段にパワーアップ出来ますよ」

「ありがとう。参考に考えるよ。正志君、君は本当にすごい少年なんだね」

 霧斗が立ち去った後、激が大慌てで走って来る。

「おい! 俺の、俺の戦術指南してくれよ!」

 正志はふと呆れた顔をしたが、すぐに激の顔を見ると……。

「中田さん。あなたは、周りの状況をもっと見ねーと。中距離タイプなんだから、近すぎても遠すぎても攻撃になんねーだろ。鞭のような武器は隙も大きいし、攻撃出来ない時間も長い。中田さん、あなたがこれからもその武器を使い続けるんだったら、もっと自分の武器の特徴を知るべきだね。まあ、俺が言えんのは、ロングウィップとロングウィップの組み合わせは最低だって事かな。せめてロングウィップとショートウィップ。これにナイフとか近距離に対応した武器を持った方がいいんじゃねーの。あなたには、戦術指南はまだ早えーよ」

 激は、話を聞く内に次第に元気が無くなり、正志の話が終わる頃には、半泣き状態であった。

「ん。ありがとう」

 激は肩を落として、悲しそうに去って行った。

「じゃ! 神名さんやる? それとも場所変える? ……まあ実戦だったら場所を変えるなんて出来ねーけどな!」

 正志は神名の方に振り返ると神名に話し掛けた。

「ここでいいわよ。じゃあ行くわよ!」

 そう言うと神名は、いきなり凄いスピードで正志に向かって来た。正志は、サバイバルナイフを抜き防御に入ろうとしたが、神名の攻撃が一歩早く武器を装備しないままの戦闘突入になった。神名は、先程の戦術指南を聞いていた為か、殴り連打の合間に上下の蹴りが入り、横に逃げようとすると、回し蹴りを放ってくる。後方への移動のみを余儀なくされた正志は、一撃一撃を見極めつつ、反撃のタイミングを計っていた。神名が連打から蹴りに入り、その足が戻る瞬間、少し、攻撃が止まる。これを予測した正志は、蹴撃後にタイミングを併せ、サバイバルナイフの抜刀を行った。しかし、ナイフを抜いても連打の豪雨は止むこと無く続き、正志は避ける必要は無くなったものの、ナイフで攻撃を受け流す他に方法が無かった。と、突然猛打が止まり、神名が後退した。神名は正志から離れると息を大きく吸い込み、拳を脇腹付近に持っていく際『はっ!』と気合いを入れ直した。正志は、打撃の豪雨が止んだことにより安堵の表情を見せたが、神名と同じく大きくスタミナを消耗していた。しかし、これをチャンスとばかりに長刀を抜刀すると、『はぁぁぁぁ!!』と気合いを入れつつ、神名

の方へ向かって刀で地面に線を引くようにして、切り込んで行く。神名の手前迄来ると、刀を上手へ切り上げた。その途端、落ち葉がバサッっと舞い上がった。神名は舞い上がった落ち葉により、正志を見失ったが、『ふうっ』っと息を吐き出すと、脇腹に拳を構えた状態のまま微動だにしなくなった。正志は、舞い上げた落ち葉と共に真っ向勝負では分が悪いと、一度戦闘範囲を離脱し戦況の確認を行おうと試みた。正志が神名を確認すると、神名は拳を脇に携えたまま動かないでいる。すぐさま正志は、神名の後方に移動し、物干し竿で足元に打撃を繰り出した。神名は、殺気が自分の後方へ移動しているのを感じていたが、動かず足元への攻撃が来た時、合図をされたかのように物干し竿を足で踏み付け、そのまま後方へ後ろ回し飛び蹴りを放つと、着地と同時に蹴りの猛襲を浴びせ掛けた。正志は、物干し竿の打撃が止められた瞬間、物干し竿から手を離し後ろに飛び退くと両刀を抜刀し構えに入った。蹴りの猛襲を両刀で受け流しつつ前進し、神名を後退しながらの攻撃へ移行させた。神名は連蹴りでは下がり難かった為、連打にチェンジしようと踏み止まった。その時、右から斬撃があり

かわそうとした瞬間、左からの刀を避けること叶わず、左肩に寸止めされた。

「はぁ、はぁ、……最後、……撃破、……終〜了ぉぉ! はぁ、はぁ」

「はぁ、はぁ、はぁ、……正志君……、……本、当、に……強いわね……。はぁ、はぁ、でも、どうして……?」

「ば、場数じゃ…ないッスか? はぁ、いつも、頼と、狩りばっかしてたから……」

「そう。……はぁ、はぁ、じゃ、頼君も、強いんだ。……君達は……、すごいね」

「でも、……神名さんも、強かった……スよ。はぁ、はぁ、ふぅ〜」

「そう。ありがとう。……霧斗! これで文句ないでしょ! どうなのよ!」

 神名が大声で叫ぶと霧斗が激と共に歩いて来た。

「正志君、これからもよろしくお願いしたいのだけどいいかな?」

 そう言って霧斗は正志に右手を差し出した。

「ええいいですよ。こちらこそ、よろしくです」

 正志は、ギュッとその手を握り返した。

「ただ、まだまだの人がいるよーですが」

 正志は激をチラッっと見て言った。

「まあ、そう言わずに……ね。ははは……」

「ははは……。はぁ……」

 激は更に落ち込んだ表情になっていた。


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