秘密集会
「浩二があんな状態になって、病院に行ってから一ヶ月が過ぎた。浩二は、戻ってこない。入院の見舞いに行っても、入院していないと言われる。しかし、あの病院から別の病院へ患者が移送されたという話も聞かない。……また、浩二の両親も、見舞いに行ったきり戻らない。……俺は、……あいつと、……浩二と同じ状態になって気が付いた。これは、病気なんかじゃない。俺は、……俺達は、浩二を見殺しにしたらいかんのだ! そうだろぅ、同士達よ!」
木村は、集会場の舞台に立ち、多くの人達の前で、静かに演説するように語りかけていた。
「「「「おぉぉぉぉ!!」」」」
集会場全体が震えているかのような、大声を発し、その場にいた男女が拳を突き上げる。
「あの病院は、何やおかしい。何か隠してる。俺達の変化の秘密も知ってるかもしれん。まずは、あの病院の周りから調べるで。でもな、一人では動いたらあかん。浩二が、出てけぇへんとこ見ると、捕まったら出られへん可能性あるからな。ほな、4つに分かれて行動や。分かってんな。深追いしない。何か分かったら、すぐメールか電話やで。おーし、行くでぇ!」
「「「「おぉぉぉぉ!!」」」」
外まで響き渡りそうな程、集会場の壁が、長い間人の声で震え続けていた。