ある一軒家にて
「ふ〜ん。そうなんだぁ。でも、どうしてかしら?」
「何が、どうしてかしらだよ。こんな気味の悪い部屋によく一日中居れたもんだな」
何かの研究室だろうか。部屋の四隅に、窓をも遮るように大きな檻のような飼育ケースが、積み重ねられており、その中に、いろいろな動物や植物が入っている。その檻に囲まれてる様にして、部屋の真ん中にはパソコンが2台不気味な光を放っていた。そのパソコンの光に照らされるように、一人の女性がパソコンと、その周りにある実験用の物なのか、大きな水槽を交互に照らし合わせながら、ぶつぶつと独り言を言っていた。
「あら、あなた、どうしたの? この部屋に入って来るなんて珍しいわね」
「そう言うけど、お前、部屋の外まで、声が聞こえてきたら、気にならない方がどうかしてると思わないか?」
「あっ! ごめんなさい。そんなに大きな声だったかしら。……でも、……見て。このデータ。すごい事が分かったのよ。まあ、前々から少しは気が付いていたのだけど、確証が得られなくて」
女性は、不気味な部屋の中に居るにも関わらず、キラキラした子供のような目で、入り口のドアの方を振り返ると、そこに立っている男性に手招きした。
「どうしたんだよ。そんなに嬉しそうに」
男は招かれるまま、部屋に入るとパソコンの中のデータに目を通した。
「どれどれ、んっ? 何だこれ? じゃあ、今のコレ何なんだ? こいつら、おかしくなったヤツって、どうしてこうなったんだよ!?」
男はデータの理解が出来ないのか、女性に対して少し強めに質問した。
「ね。不思議でしょ。でも、これが真実なのよ。これ、多分病気じゃないわ。多分、病院や何かの研究機関では、分かっていることなんだと思うけど……。これね、この狂暴化したモノの肉を別の動物に食べさせても、全く変化ないの。感染しないのよ。まず、狂牛病や鳥インフルエンザの類いと別物って事ね。でね、私もそうだけど、同じ部屋の中に居て、同じ空気の中で生きているにも関わらず、感染しないのよ。これは、空気感染・飛沫感染更には、接触感染しないって事でしょ。さらに、同じ動物・同じ植物間で体液の交換、まあ輸血みたいな感じと思ってもらったらいいわ。それを行っても、やっぱり感染しないの。但し、この場合、輸血された方はショック死しちゃうのだけどね。まだあるわよ。これまで、なぜ人間やその他の生き物が、死滅せずに来れたと思う? ……何の質問だって顔してるわね。あのね、コレ、昆虫には感染しないのよ。そもそも、ここまでの話しを聞いてると分かると思うけど、感染という言葉を使うのもどうかと思うでしょ。これは私の推測でしかないのだけど、これは病気ではなく、いわゆる進化にあたいするものと考えるのが、妥当じゃないかと考えるわ
け、さっきショック死した話したでしょ。これを、私は別の生物に変化したと考えてるのよ。どう思う? ……しかも、これは政府の未発表事項なんだけど、確かな情報よ。あのね、この事象、日本でしか起こっていないみたいなのよ」
その言葉を聞いて、男性は絶句した。
「今の、この、出来事が病気じゃない。しかも、メディアの未発表事がある……。これ、本当……か……」
男性は、気の遠くなる思いで、パソコンの中の情報をもう一度見直していた……。