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作者: 定時退社
掲載日:2025/10/10

最近、眠りが浅い。

仕事は忙しく、慣れない家事にも苦戦しているからだろうか。

覚醒する度に強めの酒をストレートで流し込み、

眠ったのかどうかもわからない時間が続いた。


——夢を見た。


最初は家の中だった。

台所の蛍光灯が点滅していて、空気が少し焦げくさい。

母が封筒を開けようとしていた。

妹がその横で無言で立っている。

向き合っているみたいだが、顔がよく見えなかった。


「何してるの?」と声をかけると、

母がゆっくり振り向いた。

「妹が持ってきたのよ。手紙」


妹は何も言わない。

ただ、薄く笑っている。

頬がこけて、目の焦点が合っていない。

料理に使っていたであろう包丁で開封しようとする母に「包丁で開けてたら危ないよ」と言いかけたとき、

母は包丁を封筒から逸らし、妹の手首を切った。


——スッ。

切り口からは血が出なかった。

代わりに、薄灰色の煙のようなものが流れ出て、

天井に溶けて消えた。


「母さん、なにを——」

言いかけた瞬間、二人はもういなかった。

テーブルの上に封筒だけが残っている。

15-6...

なにか見覚えのある数字だが煙と共に封筒も消えていった。


怖くなってリビングに逃げると、

テレビがついていた。

映っているのは見覚えのない道路。

アスファルトの真ん中に、先程見たような封筒が落ちている。

風に煽られて、ゆっくりと手前に滑る封筒——

突如、画面の中から音がした。

——キイイイ……ドンッ。

車のブレーキ音と、鈍い衝突音。


それがやけに生々しく響いて、思わず耳を塞ぐ。


——車の運転席。

テレビを見ていたはずの目に映るのは見慣れた道。

夢の中だと、すぐにわかった。

けれど、ハンドルの冷たさや、

ミラーに映る自分の顔は妙に現実的だった。


エンジンをかけて、見慣れた道を曲がると、

そこには見慣れない風景が広がっていた。

どこかで見た気もするが、思い出せない。

道路脇には、母と妹が立っていた。

遠くて顔は見えないが、二人とも手を振っている。

伸びた影の手だけがこちらに伸びてきていて、逃げるようにアクセルを踏む。


そのまま車を走らせると、道の両側に沢山の人が並んでいた。

どこかでイベントでもやっているのだろうか?

年寄り、子ども、学生、誰もが無表情で、

ただこちらを見ていた。

通り過ぎるたびに、

窓の外で「帰れ」と小さく口が動く。

——誰の声も出ていない。

それでも耳の中でははっきりと聞こえる。


「帰るって……どこに?」

そう言った自分の声が、車内で反響する。

ブレーキを踏んでも、車は止まらない。

むしろ、勝手に速度を上げていく。


ライトが照らす先に、

杖を振り上げた老婆が立っていた。

避けようとハンドルを切ると、

助手席の窓に同じ顔の老婆が張りついて笑った。

その笑顔の口元から、噛み潰された封筒が転がり、

窓を越えて席の上に——


——ドンッ。

衝突音。

全身が揺れて、暗闇が落ちた。


目を開けると、布団の中。

息が荒く、喉が焼けるほど乾いている。

枕元のコップを手に取り、一口飲む。

「……うえっ」

昨日の酒だった。

まだ体が冷たい。夢の感触が抜けない。


テレビをつける。

キャスターの声が耳に刺さる。


「今朝七時半ごろ、○○区でひき逃げ事件が発生しました。

近隣住民によると、車は蛇行を繰り返していたとのことです——」




その声が、どことなく母の声に似ていた。

映像の後ろ、画面の端に封筒が落ちていた気がして、

目を凝らすが、もう消えている。


部屋は静かだった。

家中どこからも音がしない。

「……そういえば、まだ誰も起きてきていないな。」


振り返ったテーブルの上に、

濡れた封筒が一枚、置かれていた。

初めての投稿でこんな駄文を載せるのもどうかと思いましたが、

最近車が言うことを効かない夢を見る事が多く、「何かを意味してるのかなぁ」などと考えながらも特に調べることなく創作物にしてみました。

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