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『ひざのくに』年代記

「その顔料は鉛!?」「いえ、透明化アルミですが何か?」

作者: 鴉野 兄貴

「その顔料は鉛!? やめるんだ肌が荒れて死ぬぞ!」


 転生者ミハル・ヨミジは仲間に詰め寄った!

 言われたハルミはきょとんとしている。


「鉛?」「釣りの錘には時々爺さんたちが使うけど有害なのがわかっているしねえ」



「あのさ。ヨミジ」

 ハルミは他人行儀にそして頑なにファミリーネームでミハルを呼ぶ。ちなみに彼女のファミリーネームは「ハルカナル」でこの世界では珍しい黒髪黒目が特徴的である。


「そもそも化粧の顔料ってだいたい有害よ」

「だからオフするもんね」

「あんた私たちが陽に焼けてない理由、知らなかったの?」


 ミハルは藩王国領という田舎に生まれ育ち、以前魔法王国貴族のむすめが着る緑のドレスをみて「それはヒ素だ! 死ぬぞ!」と暴れた転生者なので、その事件以降三人は生暖かい目で彼の奇行や言動を見ている。



 機械教徒カナエがチャチャを入れる。

「鉛って?! 英雄時代に一時期流行ったらしいけど聖ユースティティアに厳禁されているわよ!」

「うん? ……1000年ほど前だっけ」



 当惑するミハルに修道女姿の一番年配の女性が穏やかな笑みを浮かべつつガン詰めする。

「かなたの君はまつりごとたみのなりわい(※歴史)にくわしからざり(※授業ちゃんと受けたの)?」


 以降我々にわかりやすく。

「転生者って変なこと時々宣うのは知ってるけどマジで変なこと言ったら教会に『消滅』の奇跡受けるわよ」

「それは困ります。マジ許してください」


 貴族の三女で聖地巡礼のためこのパーティを発起したフミカに言われて平身低頭するミハル。



 なんせ転生者特典ヒャッハーしようとして彼女に『消滅』させられかけた。


 この奇跡はこの世ならざるアンデットやら転生者を一撃必殺できる。我々のミームで言えば『You will be assimilated Resistance is futile.(※抵抗は無意味だ)』。


 消滅というより、強制的に異世界の存在に取り込まれるものなのかもしれないと彼女に消されかけたミハルは考えている。



 ミハルたちは遺跡化した街道を進む。


 約千年前の遺跡街道は『車輪の王国』が敷設した立派なもので、かの王国の騎士団は道路上にあるものは全て破壊して大陸間街道を敷設したとされている。


「めちゃくちゃ強引だな。その国」

「運河とか結構のこっているわよ。ほらあれ見て」


 頬に当たっていた陽光が陰る感覚にミハルが顔を上げる。


「わぁ……」

 巨大な陸橋は陽光を受けて輝きつつ、周囲に虹を振り撒く。


「古代魔導帝国期の農業用水道橋かしら」

 機械教徒のカナエは技術にはうるさい。

「二千年前だっけ。存在も疑われているって話だよね」


 さすがのミハルもこれくらいは知っている。

 なんせ先日はその魔導帝国期のゴーレムに苦戦した。

 元ネタ言語は右から左と知らず『emeth』の『e』を消せ! とか戦場を混乱させた転生者が主な原因である。


 どうもかのゴーレム、かつての『車輪の王国』が道路維持のために置き土産したものらしい。迷惑すぎる。



「この間は『円周率計算のために人類を滅ぼす』とかいう狂った魔導機械と戦ったしな……」

「えっ。なんのこと?」


「オメーだ!」


 とぼけるカナエに一同からツッコミが入った。


 無限に円周率を計算する技術は、無限という極小にものを収容する技術、いわゆるアイテムボックスの根幹技術である。



「あはは。忘れてた」

「忘れんな元帝国奴隷!」


 ハルミは立憲民主主義を唱える太陽王国出身だが、妙に身分にうるさくよくカナエと喧嘩している。仲良しである。


 帝国奴隷は人間を食料とするパラサイトが工場生産する存在だが、カナエのように個性を持つ『型落ち』は一定数存在する。



「だってさー。チューリング式とかなんか知らないけど、スライムや粘菌、人間を食べるために魔導帝国期の今は存在しない美術品や超絶進化した織り機に自己の姿を改変するミミックを用いた既存の魔導知能とは、また違う系統の設計思想で生み出された思考機械なんてロマン溢れているじゃない!」

「おまえのロマンで何回死にかけていると思ってるのよふざけんな『消滅』かけるぞ!」

 フミカのこの発言はあくまで我々の言い回しに翻訳したものである。



「マシンガンとかと戦うとかマジ困るからな」

「ましんがん?を見つけてウエポンミミックに食われかけたミハルくんが言うと説得力あるわね」

 ハルミが笑う。

 そして急になぜか頬を赤らめて「ヨミジ! いまのはなし!」と訂正した。



 ハルミは本来魔導士にして「飛行機乗り」だ。


 飛行機に搭載する機銃は帝国に反旗を翻した人類が起こした王国独立戦争時代には既にあった。

 もちろんプロペラ同調機構も『親愛なるボビィ』が同時期に開発済みだ。


 ハルミは主に歴史学者として今回の旅に参加した。


 魔導とはかつて存在した神々の奇跡や彼らの具現化である『スキル』や『ギフト』を再現する技術である。



「この世界、肉眼で視認しにくい飛行船空母に戦闘機乗っけて魔導陣爆撃する技術あるのに、なんで自動車ないんだよ!」

「地上は危険だから」「大抵ニンフ貝によって水源汚染されていたから」「馬で移動できないほどの遠距離は飛んだ方が安全」「馬の蹄の音、特に『蹄銀』をつけた時の音と、やまとびとの持ち込んだ鏑矢の音を、多くの魔物や帝国のバイドゥが嫌うからよ」


 結局歩き旅である。

 キレキレにミハルが駄々をこねるのは致し方ない。



 人類とバイドゥと呼ばれる生物兵器群を操るパラサイトたちの帝国が『ひざのくに』半島を舞台に地獄の戦いを繰り広げる中、魔物化する病気を媒介する『ニンフ貝』とその修練進化種族『ニンフ』によって旧人類が全滅に追いやられた大陸東部探索の旅路の中にて、英雄時代に繁栄した『魔法王国』が生き残っていたと人類が再認知したのは昨今である。



 人類はニンフ貝が去ったと確認された大陸東部を目指して大冒険を開始した。

 あるものは身分や戦乱から逃れるために、またあるものは新たな冒険を求めて。


 またあるものは失われた学術や歴史や魔導技術を求めてである。



 修道女フミカはかつての聖地を巡るため契約を果たさない限り死の苦痛を与える『使命』の奇跡でミハルを縛り付け、あるいは失機者であるハルミの借金を肩代わりし、元帝国奴隷カナエを買い取りこの旅行を企画した。



「つまり殺す気ですよね!」

 飛行機あらずんば貴族にあらず。ミハルがブチ切れハルミが憤慨しカナエが拗ねる中フミカは飄々としつつ風を楽しみゆびさきにとまった小鳥と会話を楽しんでいる。


 辺境三部族の血を引く人間は口笛言語や手話などに秀でており、香料や花の香を用いた独自の文学を理解し、動植物とある種の香料などを用い『会話』できるものがいる。


 なお、現実世界でもシジュウカラ語を、ルー大柴のルー語的発想を用い解明に導く研究が成されているのは賢明なる読者諸氏ならばご存じであろう。



 鳥の言葉、香りの言語。

 遥かかなたからやってきた風の香りに未知の『花薫文字』を見出したフミカの探索に付き合う羽目に三人がなった理由である。


 ミハルは自業自得として。



「だってさー! 歳上ねえちゃんの巨乳にはあらがえなかったんやー! 全部この巨乳があかんのやーー!」

 元の世界ならコンプライアンス違反なセリフを吐くミハルにフミカは苦笑している。

 ハルミは少し自分の胸元を見て押し黙った。


 ちなみに規格品であるカナエは自分の製造型に満足している。やや旧式なのは否めないが食料品として製造されている分、健康面で支障をきたしたことはなく、何を口にするかわからぬこの旅でもその『健康』は遺憾無く発揮されている。



「ねえねえ。そろそろごはんにしよ」


 カナエのツッコミにポカポカと痛くない程度に叩き合う三人は手を止める。

 この世界の人間は喧嘩っ早い。

 そして男女の体格はほぼ変わらないので格闘能力も大差ない。


 なんでも『ヤマトビト』という民族が『ひざのくに』半島の辺境領主をしており、その血筋がバトルジャンキーなためにその影響を一行の皆が受けたそうだ。


 持ち株会社制度で自領を運営して何百年も帝国とガチってきた辺境伯一族は今なお海賊として有名である。



「今日の悟飯。炊いた米」

 この世界にもある。前の世界のときからキャンプは得意なミハルである。カレーでないのが不満点か。

「虹色飛び鱒の魔導電気圧力鍋フライ」

 ハルミがどこからか調理器具を出す。

「昨日とった変な魔物肉」

 ニンフ貝がいなくなっても魔物はいる。

「よくわかんない草」

 クトゥルフ神話生物の影響受けたなんかみたく風もなく蠢き光ってはいるが多分食える。


『はふはふ。うめー!』

 一同いただきます。


 もっとも日本式のいただきますは、教会関係者前でうっかりやらかすと最後、聖騎士や異端審問官にこんにちはされる案件である。



 あつあつの米にふわふわ浮き上がる鱒のフライを箸で捕まえては口の中で混ぜて味噌汁をかきこむミハル。


 程よい塩気に甘く広がる米の旨み。


 脂の香りを吸い込み陽の光と時々陰る白い雲から歌う鳥たちの声を聞き、行儀悪いけど若草をシーツに寝転んで食べるご飯は格別だ。



「この世界に味噌があると思わなかった」

 ミハルの日本人らしい喜びの言葉にハルミ。


「え。デンベーって人が溶ける塩を運ぶために作ったものよ? やまとびとなら常識」

「マズいけどね」

 ハルミに嫌味を言うフミカ。繰り返しだが我々の言い回しに翻訳済み。


「もう! ご飯で喧嘩しない!」

 帝国奴隷は『何を食べても』基本健康を害さない。『みどりの(ソイレント)藻肉(グリーン)』でもプリオン病にはならない。


 そんな帝国奴隷代表であるカナエは、それこそなんでも美味しそうに食べる。


 トカゲでも遺伝子上では人間に分類するドラゴン(グロンギ)でもカナエには関係ないらしい。


 三人はドン引きしていたが。


 やたら耳かきの上手い謎の言語を用いるヒューマノイド部族に、例によって転生前から童貞のくせに女好きなミハルがとっ捕まったのである。



「大陸東部には未だドラゴニュートが存在する……っと」

 司書魔導で記録を本国と共有化するハルミ。

「危うくゲゲルとこだったわ」

 神に祈りを捧げるフミカ。



 危険な技術をドワーフたちが封印するこの世界においては、教会や冒険者は失われた技術や知恵の保護者である。


 例えばギルドカードによる個人情報把握によって金貨を持ち歩かずとも済む技術などは魔法王国でも通用するし、そのおかげで魔法王国から四人は『大陸東部方面隊臨時探索小隊』の身分を保証されている。


「そろそろいきませう」

 フミカが伸びをすると見事な双峰がミハルを魅了し、『使命』の奇跡が彼に死の苦痛を与える。


 フミカの修道服はミノムシにクズミスリルを食べさせてあらゆる光沢や色を構造色で再現する魔導技術によってもたらされた装甲服であり、当然お高い。

 また太陽光線を受けるたびに自動クリーニングするため洗濯要らずでもある。

 こちらの素材を用いた高性能肌着は主に下着素材やおむつとして一般的なもので、単価は高いが金融商品化とシェアリングの仕組みにより実質無料で冒険者は使用できる。

 冒険者の半数以上が女性である理由の一つだ。


 現実世界でも蚕は人間に有害な炭素繊維混じりの桑の葉を食することで強靭な糸を生産できる。

 共食いする蜘蛛の糸の代わりにミノムシを用いる研究も存在する。



 だからといって己の世界より異世界の技術が先行しているかもしれないと気づかなかったミハルは迂闊にもほどがあり、時折好き勝手する転生者や転移者に対抗する軍事技術や装備が一般的な世界と知らずに育ったのはあまりにも無用心すぎた。



 また、元の世界における勉強不足を機械教徒であるカナエに指摘されるのは不本意であった。


 ハルミが透明マント(※厳密にはミスリル構造色を用いたカメレオンマント。前述した陽光を受けることによる脱臭洗浄機能も有するが、野生の獣の中には『匂いがなさすぎて』感知する個体もいる)を用いて斥候を済ませると四人は再び遺跡街道を進む。



「そういえばさ。鉛が有害って話だけど」

「またその話? 『華麗なるステンノ』が辺境を治めた姉妹時代には都市塩害問題が解決されているし、あなたの元の世界の公害問題はあまりこの世界では問題になっていないわよ」


 戦場においてはコジマ粒子みたいななものの害はあるらしいが。



「何百年も戦争しているのよ。環境問題くらい帝国だって考えるわよ。『環境が悪いと人間が不味くなる』『ひとよ汝は幸せか』って真っ先に考えるのは私たち短命な人類じゃなくてパラサイトたちよ」

 元はパラサイトたちの食料品であるカナエが言うのだから納得である。


「今美白化顔料の主流は電力を用いて大量に生産される軽銀を用いているわね」

「アルミだっけ? それも有害なんだけど」

 生半可な知識を披露するハルミに呆れるミハル。


「だから化粧落としでオフするんじゃない。化粧や医術は日々進歩するものよ。そのうちもっといいものができるし場合によっては廃れて再発見されるわよ。


 この飛行眼鏡だって透明化アルミとガラス繊維板の複合装甲よ。空戦だと液体金属弾は多用されるからね。


 昔は魔導強化した水晶が一般的だったけど最近は透明化アルミが強化ガラスにかわってきているわ」



 透明化アルミなんて聞いたことがない。

 そんなミハルに。


「具体的に述べると、酸化することでアルミニウムは安定化しますが、魔導技術の進歩で構造を極めて一定に保つことができるようになり、透明化アルミ素材が一般化しました。

 今では化粧顔料としても普及しています」

 ハルミに続いてカナエが説明してくれる。


「吸着良すぎてオフるのが大変だから、別の原料も混ぜるのが一般的ね」

 と、本来化粧品の使用を戒められる修道女が述べる。もちろん我々の表現に翻訳済み。


「盾とか装甲板としてこちらからは透けて見えるけど敵からは鏡として見えるというのは一般的よね」

「邪眼能力を防ぎ切ることはできないから既存の鏡もあるけど」



 科学技術に優れた帝国においてアルミ製品は重要な輸出品である。


 かつての独立テロリストたちを融資した人々の債権を帝国銀行が買取り金融商品にしてできた『王国独立債』。

 辺境伯家初代が『ひざのくに』半島復興のためその肩代わりをしたためできた膨大な債権を『ひざのくに』公社が返済しきった昨今でも帝国銀行は未だその経済力を維持している。



「うーん。知らないことはいくらでもあるのか」

「そう言うことね」「その通り」「神ならぬわらわたち、常に謙虚であるべき」


 フミカは聖ユースティティアの警句を口にする。


「『信仰とは神に未来に運命に頼り、偶然を期待し現状を変えてもらおうと怠惰するにあらず。


 そは切り株に兎が頭をぶつけるのを待つに同じ。


 信仰とは自らと友を信じることを神と運命に誓うことに在り。


 人は弱きものにして悪きには友を誘い善きには友を出し抜こうとするもの。

 皆が粉骨砕身して維持する公共を破壊してひとり利得を得んとするもの。


 されど自らの未来少しでも良くして、人々を幸せにすべく生き続けることすなわち真の信仰にて……』」



 ミハルはその長い引用を聞き流しつつ、うまそうな鳥を見つけて石を投げてそれを捕らえる。最近慣れてきた。


「『肉食を禁じる宗派、酒を禁じる宗派、薬を禁じる宗派も本質はそれを述べている。教義に固執し己と他者の幸せ妨げることなかれ』……だったよね。幸せになるためにある程度は今の幸せを見つめろって言うの。でもそのユースティティアさん、一次資料見るにめちゃ乱暴だったって聖マリカが書いてたけどマジかな」



 聖マリカとその配偶者リュゼ、小リュウェインこと辺境伯始祖の妹背いもせは神格化されている。


「わかんない」「だから一次資料を探しに行くんでしょ。もうあきらめた」


 愚痴だか呆れだかを口にする仲間たちに修道女は頷く。



「そういえばさ。冒険者ギルドってあるじゃん。ムラカミの。

 俺のもといた世界、冒険者ってのは職業じゃなくて当然冒険者ギルドってのはなくて、東インド会社とか宣教師とか船乗りとか商人とか地図書きとかが冒険者を兼ねていたけど、独立したギルドはなかったんだよね」


「え、その話聞いたことない!」

「冒険者なくして如何にして古代の技術や化粧品などが存続できたの!?」

「興味ありますわ!」



 ミハルの失言に食いつく三人。



「ゆっくり話すさ。お互いのことを」


 彼は時々出っ張りがある遺跡街道で転ばないように足を進める。

 一歩一歩踏み出す。

 三人の仲間と共に。



 今頬を温める陽の光、あるいは頭上で輝く『輪』や月と二つの浮石、頬にかげる雲の煌めき、鳥の囁き木々のざわめき。


 遥か東より彼らを導く謎めいた『花薫文字』や、遺跡街道を進む中で様々な部族が披露してくれるおかしな珍味たち。


 かつての王国たちが遺した脅威の遺跡群などの素晴らしい物語を、今は話せない元の世界に住む親兄弟や友に話す代わりに今の仲間達へ。



「なー。フミカ。『車輪の王国』遺跡はまだかよ」

「記録によればもうすぐなのですが」


 かのケイブル家のものが『大移動』時代に記したという古びた教会の地図を広げてフミカが思案する中、横から覗き込んだ三人が思い思いに言葉を発する。



 かつてのケイブルと違い、仲間が次々魔物化してはそれを涙ながらに討ち、生き残った人々を導き、極寒の中をあてもなくさすらう必要は今の大陸にはない。



「遺跡じゃないかもしれないよ! 楽しみだよね!」

 敵対的部族なら命に関わる。


 割とシャレにならないことをのべる元飛行機乗りに。


「私、できたら『草原王国』や『東方帝国』がどうなったか知りたい!」

 子供に戻った修道女が答える。


「太陽王国出身者といたしましては、『星を追うもの』たちが旅をした南方諸島の色精霊信仰の遺跡を調べてみたいかも!」

「たべもの! たべもの!」

 己を縛り一族を鎖に捉え続ける身分に、本当は辟易している失機者に元帝国奴隷が同調する。




「それじゃいくかー。『ぽこたんいんしたお!』」

「なにそれ」



 さすがに古すぎたと頭を掻く転生者に三人が疑問を呈する。


「なんでもない」「えーっ。気になる」「また『おやじぎゃく』? もうやめた方がいいよせっかく若返ったんだから」



 冒険者たちは進む。

 知らないものを愛する未来のために。


 ミハルが歌うその歌詞はこの世界にはない。


「何その詩」「ミスチル」「知らない」「教えて!」


 冒険者たちは進む。

 知らないものを愛する未来のために。



 それは如何なる世界でも、種族においても、きっと多分隔たりなどないのだ。

 ミハルが口ずさむ『終わりなき旅』(おわりなきたび)は、日本のバンド・Mr.Childrenによる15枚目のシングル。1998年10月21日にトイズファクトリーより発売された。(Wikipedia日本版より)

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